プレミアム・ブランド|運用チームの見方~2026年年初来の動向と今後の注目ポイント~
●年初来、消費関連分野の銘柄にとって厳しい投資環境が続くなか、プレミアム・ブランド企業の株価も低調
●ただし、底堅い米国消費、超高価格帯の高級ブランドに対する根強い需要、「コト」消費を選好する動きなど、プレミアム・ブランド企業を支える動きもみられている
●魅力的なバリュエーション水準が株価の下支えになるとみられるほか、消費者心理の好転やセクター・ローテーションが進んだ場合などには、プレミアム・ブランド企業の株価は急反発する可能性もあるとみられる
年初来、消費関連分野の銘柄にとって厳しい投資環境が続く
2026年年初来の先進国株式市場では、イラン情勢を受けた原油価格の上昇を背景にエネルギーセクターが大きく上昇しているほか、引き続きAI(人工知能)の成長性への期待から情報技術セクターなどが上昇し、相場をけん引しています。一方、消費関連分野の銘柄にとっては、イラン情勢をはじめとした地政学リスクの高まりは消費者心理を冷え込ませる要因となるほか、原油価格の高騰や主要国の長期金利上昇が家計の購買力を低下させるとの懸念などが重荷となっています。こうしたことから、エネルギーセクターや情報技術セクターと、一般消費財・サービスセクターでは大きなパフォーマンス格差が生じています。
※記載内容はすべて9月11日時点
年初来の当ファンドの基準価額動向
このような市場全体の流れを受けて、当ファンドの基準価額は2026年年初来(9月11日まで)で-11.6%となりました。2月末に米国とイスラエルがイランへの軍事攻撃を開始して以降、停戦への期待などから持ち直す局面もありましたが、消費者心理の冷え込みに対する懸念は根強く、プレミアム・ブランド企業の株価の下押し圧力となっています。また、9月以降も、特に欧州の高級ブランド企業の下落率が大きくなっていますが、円高の進行が日本のインバウンド需要にマイナスの影響を及ぼすとの見方や、中国の個人消費低迷が改めて意識されていることなどがその背景にあるとみられます。
【ご参考情報】当ファンドの年初来のパフォーマンスに対する寄与度
(マイナス寄与度が大きかった銘柄)
エシロール ルックスオティカやエルメス・インターナショナル、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトンなどが挙げられます。
エシロール ルックスオティカは、AI搭載のスマートグラス事業を中心に業績は引き続き堅調に推移していますが、同事業への投資拡大やAIスマートグラス市場にテクノロジー大手企業が参入するとの観測などを受けて、今後の収益性や成長率の維持に対する懐疑的な見方が強まったことなどから、株価が下落しました。
また、エルメス・インターナショナルやLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトンをはじめとした欧州の高級ブランド企業は全般的に、年初来で低調な株価推移が続いています。中東情勢の影響を受けた中東地域での減収のほか、欧州でも中東からの旅行客による購入が減少したことを懸念する見方が株価の重荷となりました。加えて、中国の消費低迷が続いていること、さらには、これまで概ね堅調であった日本についても、足元の円高進行がインバウンド需要にマイナスの影響を及ぼすとの懸念なども逆風となっています。
(プラス寄与度が大きかった銘柄)
ガーミン、アップル、ウィリアムズ・ソノマのほか、マリオット・インターナショナルやインターコンチネンタル・ホテルズ・グループなどのホテル運営企業などが挙げられます。
ガーミンは、フィットネス向け高機能ウェアラブル端末に対する旺盛な需要を背景に成長が加速しています。また、製品ミックスの改善などから利益率も拡大しています。ランニング人気やアウトドア体験の普及といった消費トレンドが、今後も同社の成長の追い風になるとみられます。
アップルは、堅調な業績動向、AI戦略の再構築や新製品への期待感のほか、自社株買いの発表などを受けて、年初来で株価は上昇しました。ウィリアムズ・ソノマは、底堅い消費動向が続く米国市場を中心に事業展開を行っており、そのなかで高いブランド力とデジタル主導の直販モデル、法人向け(ホテルなど)事業の拡大などから、堅調な業績動向であることなどが好感されました。
マリオット・インターナショナルをはじめとしたホテル運営企業については、旅行需要の底堅さに加え、客室単価・稼働率の改善を示すRevPARの伸び(特に北米)、アセットライトなビジネスモデル(保有資産を低く抑え、財務負担を軽くする)が市場で再評価されたとみられます。
※上記はすべて2026年9月11日までの状況です。
2026年4-6月期の決算|全体的に底堅い。ただし、サブセクターや銘柄ごとに強弱も
プレミアム・ブランド企業の2026年4-6月期決算は、全体的には底堅い内容でした。ただし、サブセクターや銘柄ごとに強弱がみられました。
サブセクター別にみると、食品・飲料分野とスポーツ関連分野の銘柄からは、相対的に低調な決算が発表されました。食品・飲料分野については、生活費高騰や消費者の習慣の変化、健康への懸念などを背景に、主要国のアルコール消費量は減少傾向にあり、そうした消費トレンドの変化の影響を受けています。ただし、そのなかでもプレミアム・スピリッツの需要は底堅く、革新的なRTD飲料(Ready to Drink(レディ・トゥ・ドリンク)の略。蓋を開けてそのまま飲めるアルコール飲料)に消費者の関心が集まっています。
スポーツ関連分野では、既存のスポーツ関連大手企業による値引き販売を中心とした販促強化の動きが、業界全体に悪影響を及ぼしており、革新的な製品を提供し、市場シェアの拡大に成功している新興企業にも、暗い影を落としています。
一方、明るい兆しもいくつかみられています。
● 底堅い米国消費
米国の消費は、高所得層のみならず全体的に引き続き底堅く推移しています。これらは、AIの成長期待を背景とした株価上昇による資産効果やカリフォルニア州に集積するテクノロジー産業の活況による恩恵などによってもたらされているとみられます。特に顕著なのは、旺盛な宝飾品などのハードラグジュアリー需要です。「カルティエ」や「ヴァン クリーフ&アーペル」などを傘下に有するフィナンシエール・リシュモンから発表された4-6月期の米州における売上高は、前年同期比+27%(為替変動の影響を除いたベース)と、旺盛な宝飾品需要が示されました。フェラーリでは、受注残が積み上がり、平均販売価格が上昇しています。購入者がカスタマイズオプションを選択する傾向が強まっており、カスタマイズ費用が平均車両価格の約20%を占めるとされています。
ラルフローレンやタペストリーといった米国の高級ブランド企業も、底堅い米国の消費動向堅調が成長ドライバーの1つとなっています。
● 超高価格帯のブランドに対する根強い需要
超富裕層(UHNI)は一貫して消費を続けており、高級ブランドのなかでも特に高価格帯の“超”高級ブランド(例:ブルネロ・クチネリ、ヴァン クリーフ&アーペル、フェラーリなど)は、根強い需要を維持しています。
アメリカン・エキスプレスのカード発行数は増加傾向にあります。米国部門の売上高はプラチナカードのリニューアルなどの効果が奏功し、成長を続けています。アメリカン・エキスプレスの顧客は、他社カード保有者と比べて支出額が多く、主に旅行とエンターテインメントに支出を続けています。
● 「モノ」消費より、「コト」消費を選好
ホテル運営企業から発表された直近四半期決算は、旅行需要が底堅いことを示しています。イラン情勢などを受けて、旅行先の変更や遠方への旅行を控える動きもみられるものの、旅行そのものに対する需要は失われていません。「モノ」消費より「コト」消費を選好する消費トレンドの変化から、ホテル運営企業は恩恵を受け続けています。
●アジャイルで革新的なブランドに優位性
(中堅ブランド)
モンクレールやラルフ ローレンなどの企業のファンダメンタルズ(基礎的条件)は良好です。両社とも、米国およびアジア市場で売上を伸ばしており、さらなる成長余地があります。モンクレールは、傘下の「ストーン アイランド」(2020年12月に買収)が2ケタ成長を達成しています。また、米国市場では、マンハッタン全域で屋外展示会を開催し、五番街に新しい旗艦店のオープンに向けた機運を高めています。ラルフ ローレンは、高マージンのハンドバッグ事業を中心に成長が加速しています。ウィメンズ、メンズ、キッズ、ホームコレクションという4つの成長軸を活用できる柔軟性も備えています。
(スポーツ関連)
スポーツ関連分野では、ナイキなどの大手企業が在庫調整のために値下げを中心とした販売促進活動を実施し、同分野全体に影響を及ぼしています。短期的には、こうした負の影響が、スポーツ関連銘柄の株価の重荷になることも懸念されますが、イノベーションを推進し、プレミアム価格を維持できるほど差別化された商品を提供できる能力があれば、それが株価の下支えになると考えられます。例えば、世界中で人気が高い「オニツカ タイガー」を傘下に有するアシックスや、フィットネス向け高機能ウェアラブル端末を展開するガーミンについては、年初来で株価は上昇しています。
今後のポイント
1.魅力的なバリュエーション水準
足元のプレミアム・ブランド企業のバリュエーション(投資価値評価)水準をみると、予想株価収益率(PER)では、足元の悪材料を織り込み、過去10年間の平均を下回っています。さらに、先進国株式の予想PERに対するプレミアムも、過去10年間の平均を大きく下回る水準へと低下しています。
また、LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトンやエルメス・インターナショナル、ロレアルなど、当ファンドのポートフォリオにおいてコアとなるような長期保有銘柄の多くが、過去10年間の平均を下回る予想PER水準にあります。
プレミアム・ブランド企業の相対的な高収益性や健全な財務基盤などの良好なファンダメンタルズ(基礎的条件)に変わりはなく、魅力的なバリュエーション水準が株価の下支えになるとみられます。
2.銘柄選別の重要性がいっそう高まる
同一分野のなかでも、銘柄間で株価パフォーマンスの格差が生じており、このような市場環境において、銘柄選別の重要性はいっそう高まっています。当ファンドの運用チームは、20年以上にわたってプレミアム・ブランド業界を専任で調査・分析、運用を行ってきた豊富な経験と実績を有しています。短期的にボラティリティが高まる局面を、ファンダメンタルズが良好で、中長期的に成長が期待できるとの確信度の高い銘柄については、良好な投資機会と捉え、ポートフォリオを構築していきます。それと同時に、機動的に市場の変化に対応したポートフォリオの調整を行っていきます。
3.反発のきっかけとなりうる事象を注視
中国の需要回復の兆しがみられた場合、世界的に消費者心理が好転した場合、あるいはテクノロジーやエネルギー主導の相場展開から、より幅広いセクターの銘柄が上昇する市場の局面へと移行した場合などには、当ファンドの投資先であるプレミアム・ブランド企業の株価は急反発する可能性があります。
4.業績動向は底堅く推移すると予想
プレミアム・ブランド企業にとってのハイシーズンは、年末商戦が含まれる10-12月期です。また、前年のハードルが比較的低いことから、売上・利益成長率は高まる公算が大きいとみられます。
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