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- AI時代の電力需要拡大~公益株投資に好機到来か
●公益企業の転換点|電力需要増加が加速する時代が始まっているとみられる
●AI・データセンターの増加が電力需要増のドライバーの一つ
●電力需要の加速をけん引している要因は幅広い分野にわたる
■ 公益企業の転換点|電力需要増加が加速する時代が始まっているとみられる
2020年あたりを境に、AI(人工知能)・データセンターの増加、電化の進展、米国の再工業化などを背景に、米国を中心に世界の電力需要の増加が加速すると予想されています。
世界公益株式市場の過半を占める米国の電力販売量の推移をみると、1980年から2000年にかけては、力強い産業成長の時期であり、1)当時米国は製造業比率が高かったこと、2)エアコンなどの家電の普及、3)IT化によるPCサーバーの立ち上がりなどを背景に、電力販売量は年率2.5%で増加しました。この期間、世界公益株式は年率14.6%で上昇しました。その後、2000年から2020年にかけては、1)建物の断熱性能の向上、電球からLEDへの置き換え、冷蔵庫の効率改善など様々な分野でのエネルギー効率化、2)中国の世界貿易機関(WTO)加盟以降、低価格品の輸入拡大による製造業の停滞などが進みました。その結果、電力販売量の伸びは年率0.4%に鈍化し、世界公益株式の株価パフォーマンスも年率6.4%の上昇にとどまりました。
しかし2020年以降、電力需要は再び加速し、年率2.3%の成長ペースに戻っているとみられます。さらに、今後10数年にわたりこの傾向が続くことを示す明確な兆候があります。AI・データセンターや電気自動車(EV)の増加、電化の進展がその主な要因です。また、トランプ政権による米製造業の国内回帰も増加を後押しすると考えられます。株価もすでに再加速しており、2020年から2026年5月末までで年率8.7%で上昇しています。この流れは今後も続く可能性が高いと考えられます。
■ AI・データセンターの増加が電力需要増のドライバーの一つ
AI・データセンターは、電力消費の重要な源泉となっています。複数のシナリオに基づくと、今後10年にわたり、その電力需要は年率11%から23%程度のペースで増加すると見込まれています。さらに、こうした見通しはデータセンターの建設が進むにつれて、継続的に上方修正されています。
例えば、メタ・プラットホームズ(米国)はコンステレーション・エナジー(米国、電力)と20年間の契約を締結し、1.1GWの原子力発電による電力を調達することになりました。これは原子力発電所1基分の発電容量に相当します。
電力会社の利益は、契約済み電力と計画した設備投資のコストの回収がベースとなります。AI・データセンター関連の他業種の企業とは異なり、業績予想の下振れリスクは相対的に限定的と予想されます。
その理由は、
1)信用力が高い巨大大手顧客(アマゾン・ドット・コム、マイクロソフト、メタ・プラットフォームズ、アルファベット(グーグル))などと長期大型契約(10~20年)を結んでおり、設備投資の前に「ほぼ需要が確定」される場合が多いこと、
2)資材・労働ひっ迫によるコスト増加は、電力料金への転嫁が比較的容易に可能であること、
3)建設段階ごとに設備投資の計画・認可が行われており、計画と実績の差が拡大しにくいこと、などがあげられます。
米国のデータセンターの電力需要予測では、既に建設開始済み、計画の進行後期案件の一部のみを勘案した実現可能なシナリオ(低成長シナリオ)でみても、年率+11%超と高い電力需要の増加が予想されています。さらに、原子力発電所の建設や用地取得などをはじめとした認可プロセスなどの規制緩和などで、ボトルネックが解消された場合には、さらに上振れする可能性があるとみられます。
■ 電力需要の加速をけん引している要因は幅広い分野にわたる
電力需要の加速をけん引している要因は、データセンターだけではありません。その要因は非常に幅広い分野にわたっています。
データセンターは、過去5年間の電力需要の増加においてすでに重要な役割を果たしており、今後その存在感はさらに高まると見込まれます。加えて、冷暖房、電気自動車(EV)をはじめとした交通、建物、ロボティックスや製造業などの産業分野などでも力強い増加が見られ、データセンターの需要増加予測に匹敵する規模です。
2025年から2030年までの約420TWhの追加需要は、カリフォルニア州とニューヨーク州の合計や、東京電力と関西電力の合計などの直近の年間電力消費量に近い規模です。
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