ピクテ・ゴールド|需要動向が示す、金価格を支える構造的な要因

2026年05月14日

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・金への需要の背景にある、中長期的かつ構造的な要因は変わらない



金への需要の背景にある、中長期的かつ構造的な要因は変わらない

金価格は2026年2月末以降、中東情勢の緊迫化を背景として下落しました。一般的に「有事の際には安全資産として金に資金が流入する」との見方が市場で意識されていたものの、今回は原油価格の急騰に伴ってインフレ再燃の可能性が意識されたことで米国の利下げ期待が急速に後退し、米国の短期金利や米ドルの上昇という金価格にとっての逆風が短期的に強まる環境となりました。足元でも、中東情勢の混迷や金融政策の見通しに関する不確実性の高まりを受けた米国金利の上昇などから、金価格は上値の重い展開となっています。

もっとも、原油高がもたらす影響は、実体経済への下押しや財政への負担拡大といったリスクへと波及する可能性があるとみられます。米国の景気減速の可能性が高まった場合には、緩和的な金融政策が実施されることで米国金利の低下や米ドルの下落といった環境変化につながる可能性があります。さらに、インフレや財政拡張に伴う通貨価値の下落リスクが高まる中、中長期的に資産価値を保全する手段として、希少性の高い実物資産である金に対する需要は今後も継続するものと考えられます。


価格変動の大きい環境下でも金への需要は高水準で推移

このような見方は、ワールド・ゴールド・カウンシル(以下、WGC)が公表した金の需要主体別の動向についてのレポートにおいても確認されます。金の需要主体は「中央銀行」、「投資(金の現物や金連動型上場投資信託(ETF)など)」、「宝飾品」および「工業用品(電子機器向けなど)」に大別されますが、同レポートでは、2026年1‐3月期の中央銀行による金購入が、金価格が乱高下する中でも高水準を維持したほか、投資需要も金の現物を中心として底堅く推移したことが示されました。本稿では次ページにおいて同レポートを基に金の需要動向の振り返りと今後の見通しについて整理します。



中央銀行:戦略的需要は引き続き堅調

2026年1‐3月期の中央銀行による金の純購入量(推定)は244トンと前四半期を上回る水準となりました。ポーランドや中国などが主要な買い手となり、外貨準備の通貨分散や地政学リスクへの備えとして金を保有する意向は引き続き強いものとみられます。トルコなどの一部の国による売却なども報告されましたが、これらは自国通貨防衛のための資金確保など短期的な資金繰りのための売却であり、戦略的に金の保有を増加させる方針には変化はないと推測されます。なお、WGCでは、2026年通年の中央銀行の金需要は概ね前年並みの高水準(700~900トン)を維持すると見込んでいます。



投資需要:アジア地域を中心として旺盛な需要が継続

2026年1‐3月期の金の投資需要は前年同期比で減少しましたが、内訳を見ると、現物の金に対する需要が約474トンと高水準となり、投資需要全体を下支えしました。地域別では中国やインドを中心としたアジア地域での需要が顕著となりました。地政学リスクの高まりや金価格の上昇などが高水準の需要につながったとみられますが、地政学リスクやインフレへの警戒感などを背景に、今後も底堅い需要の推移が予想されます。ETFなどを経由した金の投資需要は、前四半期と比較して減少しました。3月に金価格が下落した場面での米国からの投資資金の流出などが投資需要の減少に影響しました。ただし、中国などのアジア地域では投資資金の流入が継続したことが確認されており、地域差が鮮明となりました。WGCは、2026年通年では前年を下回る水準となる可能性がある一方で、不確実性の高い市場環境などを背景として投資資金の流入が継続すると見込んでいます。



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