「次の局面」と「その先」を見据えた金投資
・金は中長期的な資産保全の手段としての重要性を維持していくと考えられる
金への需要は、金利上昇局面でも底堅さが示されている
金価格は中東情勢の緊迫化を受けて2026年3月に下落して以降、上値の重い展開となっています。この背景には、原油価格の上昇に伴うインフレ懸念から米国の利上げ観測が強まったことが挙げられます。これに伴い米国金利が上昇基調となったことで、利息を生まない資産である金に対する価格下落圧力が強まったものと考えられます。一方で、中長期的に資産価値を守る手段として金を選好する動きも根強いとみられ、金価格の調整局面を投資機会として捉える動きなどを背景に、市場環境が逆風となる中でも金価格は総じて底堅く推移していると評価できます。
一般的に金価格や金利の変動などに敏感に反応しやすいとされる金ETFの資金動向をみると、2026年3月には金利環境見通しの変化などを契機とした利益確定の動きなどから、月間で流出超となりました。しかし、4月には流入超に転じており、金利が高止まりする中でも金への需要が底堅く推移したといえます。また、地政学リスクへの備えや外貨準備の通貨分散などの観点から金を保有している中央銀行の需要動向からは、金に対する需要が引き続き強いことが示唆されています。
情勢変化の先に意識される「次の局面」と、その先を見据えた金投資
米国とイランとの和平やホルムズ海峡の再開を巡る協議が合意に至った場合には、原油価格の安定化を通じてインフレや金融引き締めに対する警戒感が後退し、米国金利が低下することによって、金価格は再び上昇基調を取り戻す可能性があります。
一方で、中東情勢の混迷が長期化した場合においても、世界経済を取り巻く環境の変化が金に対する需要を高める要因になると考えられます。過去に原油などのエネルギー価格が急激かつ大幅に上昇した場面では、その後の景気後退が意識される局面がありました。エネルギー価格高騰のインフレへの影響は時間をかけて広範に及ぶことが予想され、実体経済への下押しや財政への負担拡大といったリスクへと波及する可能性があります。仮に主要国の経済が物価上昇と景気後退が併存するスタグフレーションの環境に陥った場合、通貨価値の目減りや金融資産の調整リスクに備えるための手段として、金に対する需要が高まると考えられます。足元では、インフレ懸念が金利上昇を通じて金価格の逆風となっていますが、本来、希少性の高い実物資産である金はインフレ環境下で資産価値を保全するための手段として選好されるものと考えられます。
このように、短期的な金価格の見通しは依然として不透明な状況にありますが、中長期的な市場環境を踏まえると、資産ポートフォリオにおける金の重要性には大きな変化がないといえます。
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