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- 新興国通貨と株式
●新興国通貨は、財政や貿易収支の悪化などを背景に対外通貨に対して為替が大きく下落する場合があります。
●為替が下落する局面では、名目上の企業利益や株価が上昇する傾向がみられます。
●また、通貨下落は新興国全体で一斉に起こることではないことから、新興国平均でみると、中長期的には、通貨も上昇しており、為替リスクを回避するためにも分散投資は重要です。
■ 新興国通貨と株式
新興国通貨は、財政や貿易収支の悪化などを背景に対外通貨に対して為替が大きく下落する場合があります。
為替が下落する局面では、通貨価値の減価によりインフレ率が上昇し、当該国の名目上の企業利益や株価(現地通貨ベース)が上昇する傾向がみられます。特に、外貨建ての収益の比率が高い企業ほど為替下落の恩恵を受けやすく、利益が拡大しやすい傾向にあります。このため、過去の実績では、為替が大きく下落した国においても、株価が中長期的に上昇するケースが多く確認されています。
また、為替の下落は新興国全体で一斉に起こるわけではありません。新興国全体でみると、過去15年間(2011年3月末~2026年3月末)では、対円で新興国通貨は上昇トレンドとなっています。こうした為替変動リスクを回避するためにも分散投資が重要と考えられます。
次に、為替(対円)が、15年間(2011年3月末~2026年3月末)で-93%と大きく下落したトルコの例を取り上げてみます。(ご参考:2026年3月末トルコ株式の当ファンド組入比率1.0%)
■ 通貨大幅下落と株価~トルコの事例
トルコリラは長期的な下落基調にあります。背景には、外貨依存型の経済構造に加え、金融政策運営を巡る信認の低下が段階的に重なったことがあげられます。
こうした環境下、債券市場は高インフレおよび通貨安の進行により実質価値が毀損し総じて低調に推移しました。トルコの債券はトルコリラ建てが中心であるため、海外投資家にとっては、利回りが高く見えても、通貨の下落によって外貨ベースでは損失が拡大する局面が多く見られました。その結果、外国人投資家の資金流出が続き、債券価格の下押し圧力となりました。また、金融政策の信認低下も債券市場には不利に働きました。特に低金利政策が継続した局面では、インフレ抑制への信頼が損なわれ、長期国債を中心にリスクプレミアムが上昇しました。これは、利回り上昇(価格下落)要因となりました。
一方、株式は、大きく変動を伴いながらも、名目インフレの進行や外貨建て収益の拡大を背景に、現地通貨(トルコリラ)ベースでは15年間でおよそ24倍となり、中長期的には為替下落によるマイナスを相殺する形で上昇しました。ただし、銘柄によっては市場平均を大きく上回って大幅上昇した銘柄がある一方で、マイナスとなった銘柄もみられました。為替が大幅に下落する局面においても、市場環境の特性を踏まえた銘柄選別を行うことによって、より大きな投資機会を得る可能性があると考えられます。
■ (ご参考) トルコリラ大幅下落と株価上昇の背景
【トルコリラ大幅下落の背景】
2010年代前半のトルコ経済は、高い成長率を維持していましたが、その成長は海外からの資本流入に依存した内需主導型であり、慢性的な経常収支赤字と外貨建て債務への依存が拡大していました。2013年以降は、米国の金融政策正常化や国内政治を巡る不確実性を受け、トルコリラは緩やかな下落基調に入りました。
2018年には米国との外交摩擦をきっかけに投資家心理が急速に悪化し、トルコリラは対米ドルで大幅に下落しました。その後、低金利政策の推進により金融政策の信認が低下する中、トルコリラは2021年単年で対米ドル約44%下落し、2022年10月には消費者物価指数(CPI)が前年同月比約85%上昇と、数十年ぶりの高水準に急上昇しました。
2023年以降は、正統派の金融政策へ回帰し、大幅な利上げを通じて安定化が図られ、足元ではインフレ低下と市場の信認回復が進んでいます。
【トルコリラ下落でも株価が堅調だった理由】
1)名目インフレの加速が株価を押し上げ:インフレ率が極めて高い水準に達する中で、企業の売上高や利益は名目ベースで大きく拡大し、株価指数が上昇しやすい状況となりました。
2)外貨建ての収益の比率が高い企業の増益:輸出比率の高い企業や、ドル建て・ユーロ建て収益を持つ企業では、トルコリラ安によって外貨収益のリラ換算額が増加し、利益が拡大しました。
3)インフレヘッジとしての株式需要の高まり:高インフレ・通貨安の環境下では、預金や債券といった現地通貨建て資産の実質価値が大きく目減りしました。その結果、国内投資家を中心に、実物資産に近い性格を持つ株式市場へ資金が流入する動きが強まりました。
4)低金利政策局面では株式市場に資金が流入:低金利政策が続く中で、インフレ以上のリターンが期待できる金融商品の選択肢が限定され、相対的に株式が選好される環境が生じました。これは、通貨防衛とは逆に、株式需給を押し上げる要因として作用しました。
【主な上昇率の高かったトルコ株式銘柄の上昇要因】
アセルサン・エレクトロニキ・サナイ・ヴェ・ティジャレ(航空・宇宙・防衛):防衛・電子産業に対する国家予算の増加や輸出拡大により為替下落局面でも価格転嫁が進みやすく、収益成長を実現。
フォード・オートモーティブ・サナイ(自動車製造): 通貨安による部品輸入コストの増加が利ざやを圧迫したものの、輸出比率の高さが収益に寄与。
トルコ航空(旅客航空輸送):国際航空主体のためドル建てが主体で収益は堅調。トルコリラ基準では航空券や貨物料金への影響があったが、燃料コストはドル建てで連動するため、利幅は比較的安定。
■ アクティブ運用で魅力的な銘柄を選別し、分散投資を行うことで為替の減価を大きく上回る投資収益率も期待できる
トルコのように、為替が暴落する局面でも、株価が大きく上昇する銘柄が存在します。新興国の株式投資において、アクティブ運用で魅力的な銘柄を選別し、分散投資を行うことで為替の減価を大きく上回る投資収益率も期待できると考えられます。
■ 新興国の労働人口増加国の株式市場の銘柄に厳選投資
当ファンドでは、新興国の労働人口増加国の株式市場の銘柄について、詳細な分析を行い、バリュエーション(投資価値評価)等を勘案し、中長期的な業績成長が期待される銘柄を選別してアクティブ運用を行っています。
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