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- 世界公益株式の足元の投資環境
●世界公益株式は、長期金利の上昇を主因として軟調に推移
●長期的なファンダメンタルズ(基礎的条件)は、AI・データセンターの増加、電化の進展などによる電力需要拡大を背景に、引き続き魅力的
●長期金利の急上昇局面では注意が必要だが、中長期的には投資機会を提供している可能性
■ 世界公益株式は、長期金利の上昇を主因として軟調に推移
世界公益株式は、長期金利の上昇を主因として、テクノロジー株の回復、公益企業の決算に対する過度な期待の反動や円高などを背景として、直近1カ月では軟調に推移しました。
公益株式の下落要因は一時的なものと考えており、長期的なファンダメンタルズは、AI(人工知能)・データセンターの増加、電化の進展などによる電力需要拡大を背景に、引き続き魅力的であると見ています。そのため、今回の調整局面は投資機会を提供する可能性があると考えます。
世界公益株式は、世界株式との相関が比較的小さく、異なる動きをするため、世界株式の下落局面では逆に底堅く推移しながら、2024年2月26日を直近のボトムに世界株式を上回って推移しています。
金利上昇の背景には、政策金利の上昇観測やインフレ圧力の拡大、先進国の財政悪化懸念、米AI関連の巨額投資(ハイパースケーラーの大型起債)などがあげられます。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は7月29日に政策金利を3.50~3.75%で据え置きましたが、3人の当局者が利上げを支持して反対票を投じ、複数のFRB高官が根強いインフレに対応するため追加引き締めの可能性が残っていることを示唆しました。また、継続する米国・イラン間の対立により、期間中の大半で原油価格および欧州ガス価格が高止まりし、インフレ懸念が再燃しました。
■ 長期金利の急上昇局面では注意が必要だが、中長期的には投資機会を提供している可能性
過去の実績では、長期金利の急上昇局面では、世界の公益株式は下落する傾向がみられました。ただし、金利急上昇による株価の調整はその後の長期金利の落ち着きとともに、比較的短期間で終わり、中長期的な長期金利上昇局面では、公益株式は底堅く推移しています。このため、金利急上昇による株価の調整は、中長期的には投資機会を提供している可能性があると考えます。
金利上昇は、短期的には配当利回りの相対的な魅力の低下やバリュエーション調整、資金調達コスト上昇への懸念などから、世界公益株式の株価の重石となります。一方、中期的には、資金調達コストや、金利上昇局面でみられるインフレに伴う各種コストの電力料金への転嫁が進むことで、収益や株価にプラスに寄与します。中長期的には、インフレによる発電設備などの資産価値の上昇が公益企業の利益拡大を支えます。さらに、AI・データセンターの普及、電化の進展による電力需要の増加を背景に設備投資の拡大が見込まれており、これらも収益や株価の押し上げ要因になるとみられます。
■ (詳細)インフレ時の金利上昇と公益株式の株価との関係(短期、中期、中長期)
金利が急上昇する局面では、短期的には以下の理由から株価の調整が起こると考えられます。
1)公益株式は景気変動の影響を受けにくく、配当利回りが高い傾向があるため、債券の代替投資先として選好されます。このため、債券利回りが上昇すると配当利回りの相対的な魅力が低下します。
2)金利上昇は、将来の利益や配当の現在価値を押し下げる要因となります。
3)公益企業は設備投資が大きく負債比率も高いため、利払い負担や資金調達コストの上昇が懸念されます。
一方、中期的には、金利上昇は以下の点を通じて、タイムラグを伴いながら世界公益株式の収益や株価にプラスに作用すると考えられます。実際、過去の多くの中長期的な金利上昇局面では世界公益株式は上昇しています。
1)金利上昇局面では、物価や燃料費、利払い費用などのコストが上昇する傾向がありますが、規制下の公益事業では、これらのコストを一定期間後に電力・ガス・水道料金へ転嫁できるため、収益への影響は限定的となります。
2)米国では、規制下の電力料金の算定基準となる収益率が長期金利を参考に算定されるため、金利上昇はタイムラグを伴って公益企業の収益押し上げ要因となります。
また、中期的には、電力料金算定の基礎となる設備資産価値も重要です。発電設備などへの新規投資が増えるほど資産ベースが拡大し、料金と利益の増加につながります。インフレによる設備投資コストの上昇も、結果として投資機会や料金算定基準の拡大要因となります。
さらに、中長期的には、AI・データセンター、電化の進展による電力需要の増加が見込まれています。電力供給が逼迫するなか、設備投資の拡大や発電能力の増強、インフレによる資産価値の上昇を通じて、公益企業の収益拡大と株価上昇が期待されます。
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