iTrust世界株式|グローバル株式市場の現状~AI発展の恩恵はより幅広い分野へ拡大~
●2026年7月のグローバル株式市場は全体としては小幅な動き。ただし、引き続きセクター間、地域間に格差
●ハイパースケーラーによる大規模投資とインフラ整備の動きは、一部の大手テクノロジー企業だけでなく、インフラ関連企業や公益企業などを含む幅広い分野の企業の利益成長を後押し
前月末比で小幅な動き。ただし、引き続きセクター間、地域間で格差が存在
7月のグローバル株式市場は全体として前月末比で小幅な動きとなりましたが、引き続き、地域間やセクター間でパフォーマンスに格差がみられました。
セクター別では、米国とイランの間の地政学的緊張の再燃を受けて原油価格が上昇したことなどから、エネルギーが大きく上昇しました。また、底堅い業績動向や金利上昇期待などを背景に、金融も相対的に上昇率が大きくなりました。不動産や一般消費財・サービスなども堅調でした。
一方、情報技術は、7月末にマイクロソフトの好決算などを受けて持ち直したものの、それまではAI(人工知能)関連投資の持続可能性に対する懸念が下押し圧力となり、月間では下落となりました。なお、フィラデルフィア半導体指数(SOX)は年初来では依然として大きなプラスのリターンを維持していますが、月間では20%超下落しました(米ドルベース、配当含まず)。
地域別では、情報技術の構成比率が高い韓国と台湾の下落率が大きくなりました。一方、英国は、情報技術の構成比率が相対的に低い一方、エネルギーや金融の構成比率が高いことなどを受けて、FTSE100指数は過去最高値を更新しました。
※すべて米ドル、配当込みベース
グローバル株式市場の見通し|AI発展の恩恵はより幅広い分野へ拡大
6~7月は世界的な株式市場の上昇ペースが鈍化しましたが、これは一時的な踊り場と捉えています。底堅いマクロ経済環境、良好な企業業績、流動性環境もやや引き締まりつつあるものの、依然として抑制的な水準には程遠い状況であることなどが株式市場を下支えするとみられます。そのなかで、一部の大手テクノロジー銘柄が株式市場をけん引する状態から、より幅広い分野の銘柄に物色対象が広がる局面へと移行しています。
ピクテの分析によれば、株価上昇の広がりを示す指標である「マーケット・ブレス」は足元で改善しており、米国の大手テクノロジー銘柄などの一部の銘柄だけでなく、より幅広い銘柄が買われている状況となっています。
こうした動きは、株式市場におけるローテーションの第1段階に過ぎないと考えられます。今後、このローテーションが進展し、持続するためには、経済成長の加速、スタグフレーション懸念の後退、米ドルの軟化、そしてより幅広い分野で継続的な企業利益の成長が達成されることなどが、必要になるとみられますが、これらについて、楽観的な見方ができると考えています。
ハイパースケーラーによる大規模投資とインフラ整備の動きは、今後も企業利益の成長に強力な追い風をもたらし続けるとみられます。この恩恵は、一部の大手テクノロジー企業だけでなく、インフラ関連企業や公益企業などを含む幅広い分野の企業利益を拡大させると期待されます。
マクロ経済環境も引き続き良好です。AI関連投資、堅調な雇用・賃金の伸び、アジア新興国の持続的な強さなどが主要経済圏の成長を下支えしています。同時に、インフレ再燃への懸念は残るものの、景気拡大を頓挫させるほどの金融引き締めリスクはないとみられます。
米国企業の利益成長の多くはAI関連大手企業による貢献で、貢献度合いは世界的にみても突出しています。AIに対する市場センチメントが悪化した場合、米国株式は大きく調整するリスクがありますが、同時にAIスーパーサイクルの最大の受益者であり続けることも意味しています。ただし、株式のバリュエーション(投資価値評価)は割高な水準にあることも留意すべきです。
その他の先進国株式は、米国株式に比べるとバリュエーション面で魅力がありますが、収益モメンタムは依然として弱く、成長見通しもばらつきがみられます。さらに、これらの市場の多くでは、AI関連の投資サイクルをけん引する企業の存在が限られており、AI発展の恩恵を取り込むという観点からは、米国株式に比べると不利な状況にあるとみられます。
セクター別では、情報技術について、見通しは引き続き良好であると考えます。一部の投資家の間では、高い成長期待に見合う成長が実現できるのかという懸念が高まっていますが、現時点では決算内容はおおむね堅調で、市場予想を上回る業績見通しの上方修正傾向がみられています。こうした点によって、情報技術の高いバリュエーション・プレミアムを正当化できると考えます。また、足元のローテーションでは、情報技術全般から資金流出しているわけではなく、同セクター内でのローテーションもみられます。そのため銘柄選別が重要な局面となることが予想されます。
また、資本財・サービスおよび公益事業についても、AI関連投資の恩恵を受ける機会が増しています。資本財・サービスはインフラ支出による恩恵を享受し続けており、公益事業はデータセンターやAIアプリケーションによる電力消費の増加などが成長の後押しになると考えられます。
金融については、高金利が長期化する環境は銀行の純利息収入を下支えするとみられるほか、底堅い経済成長と健全な企業のバランスシートが信用損失リスクを低下させています。
一方、消費関連は、主に、家計支出の動向に業績が左右されます。現時点で家計支出の動向は、AI関連などの企業投資の動向に比べると、成長の源泉としての魅力に欠けるとみられます。
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