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- AI半導体相場は終わったのか?ここからの注目点
マグニフィセント7主導の米国株相場は、AI推論やAIエージェントへのシフトにより、AI半導体株主導の相場へと劇的に変化している。アンソロピックの急成長・黒字化観測が、AI投資の収益化への期待も高めており、AI半導体相場を新たな成長ステージへ押し上げている。足元ではAI半導体株が大きく乱高下しているが、長期目線の投資スタンスが重要になるだろう。
株高のけん引役はマグニフィセント7からAI半導体株へ変化
米国株式市場の上昇をこれまで牽引してきたのは、いわゆる「マグニフィセント7」(アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、メタ、エヌビディア、テスラ)である。ChatGPTがリリースされた2022年11月末から、2025年12月末までの期間における主要な米国テック関連株指数の推移を見ると、マグニフィセント7が相場を押し上げてきたことは明らかだ(図表1)。
しかし、年初来の動きを見ると、この状況には劇的な変化が生じている。これまで主役だったマグニフィセント7はナスダック100指数をアンダーパフォームし、その一方でSOX(半導体株)指数が急騰している(図表2)。では、なぜSOX指数は、特に4月以降、これほどの大幅高となったのか。
AI相場の「負け組」のレッテルを貼られてしまったインテル株が爆騰
SOX指数の構成銘柄の年初来騰落率(6月26日時点)を見ると、これまでAI相場の盟主とされてきたエヌビディア株の上昇率は3%にとどまる一方、「負け組」とみなされてきたインテル株は248%もの上昇となっている(図表3)。インテル株のこの暴騰ぶりの中に、AI半導体株が物色され始めた背景を読み解くヒントが隠れている。
インテルの1〜3月期決算会見が開催された4月23日、同社CEO(最高経営責任者)のリップ・ブー・タン氏は、AIが学習(基盤モデルの開発段階)から推論(基盤モデルの利用段階)へシフトした場合、「以前はCPUとGPUの比率は1対8だったものが、今では1対4になっており、今後は同等、あるいはそれ以上になると考えている」と発言した。
また、インテルと競合するAMDのリサ・スーCEOも、同じく1〜3月期決算会見の場で「AI推論やAIエージェントの普及に伴い、サーバーCPUの演算需要が高まっている(獲得可能な最大市場規模は2030年までに年率35%超で成長)」とコメントした。
市場関係者は、推論へのシフト後もエヌビディアが得意とするGPUが主役であり続けるとみていただけに、CPU需要急増の見通しはサプライズとなった。ブルームバーグ・インテリジェンスが昨年公表した予測では、2029年にAI推論市場がAI学習市場に追いつき、その後はAI推論市場の方がより速い成長を遂げるとされていたが、この予測よりも早い段階でAI推論市場がAI学習市場を逆転する可能性が浮上している(図表4)。
AIエージェントの台頭もAI半導体株上昇のきっかけに
ChatGPTのようなAIチャットと比べると、AIエージェントはいわば人間に代わって業務を遂行する自律型のAIである。このAIエージェントは、AIがテキストや画像などのデータを理解し処理する際の最小単位である「トークン」(注:100トークンは英語70〜80語に相当)が、AIチャットと比べて3,500倍も消費されるとする論文を、GoogleやMicrosoftなどの研究者が今年4月に発表している(Huang Jiachen ほか「How Do AI Agents Spend Your Money? Analyzing and Predicting Token Consumption in Agentic Coding Tasks」,arXiv:2604.22750,2026)。
クアルコムが示した予測によると、10秒間あたりの世界全体のトークン需要は、2026年時点で317億トークンと見込まれるのに対し、2030年には約40倍の1兆2,700億トークンへ増加するとされている(図表5)。この急増は、AIチャットの普及だけでなく、AIエージェントの台頭が大きく寄与するとの前提に基づいている。
このようにAIエージェントが拡大し、大量のトークンが消費されるようになれば、データセンターや半導体などのAIインフラの重要性は一段と高まる。その象徴的な例が、アンソロピックの急成長である。
ChatGPTを手掛けるオープンAIと比べると、競合するアンソロピックの売上高は昨年末時点ではオープンAIの半分以下にとどまっていた。しかし、今年4月時点ではその差が逆転し、さらに4~6月期には売上高が急伸する可能性があると報じられている。その主な原動力となっているのが、企業によるAIエージェント需要の高まりだ。(図表6)。
さらに衝撃的だったのは、アンソロピックの黒字化観測である。巨額のAI投資が続いていることから、同社の黒字化は早くても2028年ごろになると見込まれていた。しかし、アンソロピックは今年4~6月期時点で5億5,900万ドルの営業黒字を計上する見通しだと報じられた。
実際に報道どおり営業黒字を計上するかはなお不透明だが、もし実現すれば、AI投資の収益化という課題が解消に向かう可能性は高まる。つまり「AIエージェントの普及=AI投資の収益化」と市場参加者に受け止められたからこそ、AI半導体相場が一段と活気づいたとも解釈できる。
AI推論とAIエージェントの普及は始まったばかりであり、長期的には高い成長が期待される。足元では、オープンAIのIPO延期報道などがAI半導体株の利益確定売りを誘発している状況だが、AI半導体相場をけん引するファンダメンタルズは堅調であることから、いずれ上昇トレンドへ回帰すると想定される。
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