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- AI相場の何を見るべきか?
1990年代、IT相場を牽引したのはインテルだった。拡大するPC市場と同社製CPUの高いシェアが、快進撃の原動力である。現在のAI相場において、中核となっているのはNVIDIAだろう。拡大するデータセンター市場、高いGPUのシェアは、極めて強い同社の価格交渉力を示唆する。東京市場ではキオクシアの株価急伸が注目されるが、フラッシュメモリは市況性が高いことに注意が必要だ。
■ 先例としてのインテル
1990年代の株式市場を牽引したIT関連銘柄の主役はインテルと言える。1990年にマイクロソフトがWindows 3.0をリリースしてPCの機能を大きく変え、翌1991年には米国でインターネットの商業利用が解禁された。インテルは「Intel 80286」「Intel 80386」を相次いで投入し、同社製チップがPCの性能と価格を事実上決定した。
“Intel inside(インテル、入ってる)”のコピーは、部品が最終製品の価値を左右した初の例としてマーケティング史に刻まれる。一般に企業の成長は市場の拡大とシェアで決まるが、当時のインテルはその両方を兼ね備えていた。PC需要の拡大に加え、CPUのシェアは2000年に91%に達し、強い価格交渉力を裏付けとした業績の急速な伸長により、同社の株価は90年代を通じてほぼ一直線の右肩上がりとなったのである(図表1)。
しかし、2000年、AMDが世界初となるクロック周波数1GHz超えの「Athlon」を投入、シェアの低下が始まったインテルは価格競争を迫られた(図表2)。また、FRBによる利上げを引き金として、2000年秋にITバブルは崩壊した。2010年代になると、PCの需要が頭打ちになり、インテルの株価は約20年間に亘って停滞を続けたのである。
■ AI産業の中核を担うNVIDIA
現在のAI相場において、業績の裏付けを伴い中核を担っているのはNVIDIAだろう。ゲーム用が主体だったGPUが、2020年頃からデータセンター向けへの転用が本格化するなか、高性能であるディスクリートGPUで同社はシェアを拡大した。ジョン・ペディ・リサーチによれば、2025年10-12月期のシェアは94%に達している(図表3)。
一方、電力・水の供給能力という制約はあるものの、巨大クラウド設備を展開するハイパースケーラーの投資意欲は旺盛であり、当面、データセンター向けの市場は拡大基調が続く見通しだ。圧倒的なシェアを持つNVIDIAは、強い価格交渉力により、高い利益率を維持すると見られる。
■ AI相場の注意事項
エージェント型AIへの期待から、CPUを担うインテルも久々に大きく株価を上昇させるなど、AI関連株にはNVIDIAを大きく超えるパフォーマンスを示す銘柄も目立つようになった。東京市場では、2024年12月に上場したキオクシアが代表例である。AI向けSSDへの需要急増を背景に、NAND型フラッシュメモリの価格急騰が主な要因だ。
もっとも、NANDはサムスン、SKハイニクス、マイクロン、キオクシア、サンディスク、YMTC(長江存儲科技)の寡占市場であり、各社が激しいシェア争いを演じてきた典型的な循環型産業だ(図表4)。需要が増加すると各社が設備投資を積極化し、結果として過剰供給に陥る”boom and bust(好況と不況)”のサイクルを幾度も繰り返してきた。
現在のフラッシュメモリの価格上昇は、急激な需要増に設備投資が追い付かない一時的な現象と言え、いずれ過剰供給に転じるリスクを念頭に置かなければならないだろう。この点は、NVIDIAとキオクシアには大きな違いがあるのではないか。NVIDIAのGPUには今のところ有力な競合がなく、同社は強い価格交渉力を維持している。
現実の社会において、AIの活用はまだ黎明期と言え、今後はさらに多様な発展があり得るだろう。株式市場においては、AI関連を軸とした相場が続く可能性は強い。ただし、主役となる銘柄は変化するだろう。また、現下のマーケットでは、NVIDIAとキオクシアの事業構造の違いについて、十分に認識しておく必要があるのではないか。
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