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- 4%が視野?10年国債利回り
長期金利が上昇、10年国債利回りは3%台が目前に迫った。もっとも、潜在成長率、期待インフレ率、リスクプレミアムを見れば、3%は通過点の可能性が強い。金利の上昇は、国債利払い費の急増を通じて財政を圧迫するため、それそのものが金利の上昇要因だ。金融政策による期待インフレ率の抑制、財政への信頼維持が鍵となるが、高市政権が歳出の見直しを図るとは考え難い。
■日銀に必要な利上げは6、7回
一般に金利の構成要素は「潜在成長率+期待インフレ率+リスクプレミアム」だ。このうち、10年国債と物価連動債から算出した期待インフレ率は、足下、2%前後で推移している(図表1)。
一方、潜在成長率については様々なモデルがあるが、日銀の計算だと2025年度下半期に0.7%だった。また、内閣府による四半期ベースの潜在成長率を日銀と同じく半期ベースに計算し直した結果、同時期に0.4%である(図表2)。どちらもここ数年は安定しており、日本の潜在成長率は概ね0.6%程度と判断して良いだろう。
そこで、潜在成長率を0.6%、期待インフレ率を2.0%とすると、2つの合計は2.6%だ。これは、リスクプレミアムを含まない理論値であり、政策金利、即ち無担保コール翌日物の中立金利に近似すると考えられる。この前提に立つ場合、日銀にとってターミナルレートは2.50~2.75%になり、利上げはあと6、7回必要なのではないか。
一方、リスクプレミアムだが、信用リスクと期間のリスクに分けて考えなければならない。このうち、信用リスクについては、日本国債に関するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のプレミアムが、近似的な数字として1つの参考指標になる。
S&Pによる日本国債の格付けはA+だ。格付けとCDSのプレミアムの相対的な関係から、A+格ソブリンの理論的なCDSプレミアムは、8月21日現在0.40%である。日本国債のCDSプレミアムは0.26%であり、A+格のソブリンのなかでは、少なくとも当面の信用リスクが相対的に低いと市場に意識されているようだ。
従って、10年国債利回りの理論値を推計すると、「潜在成長率(0.6%)+期待インフレ率(2.0%)+信用のリスクプレミアム(0.3%)+期間のリスクプレミアム(x%)」となり、「2.9+x」(%)になった。
■ 金利上昇が即ち金利上昇要因
期間のリスクプレミアムは、財政の見通しに強く影響されると考えられる。高市政権が掲げる2年間の飲食料品の消費税実質ゼロ化とその後の給付付き税額控除、防衛費の増額、成長投資などは、期間のリスクプレミアムを高める要因だろう。
また、金利の上昇は国債の利払い費を増加させ、歳出増加要因になる。1990年代後半にデフレが深刻化して以降、普通国債の加重平均利回りは低下を続けた。結果として、国債発行残高が急増したにも関わらず、利払い費が増えない状況が続いた(図表4)。しかし、金利のある世界へ移行したことにより、それは大きな転換点を迎えている。
これまで、財務省は、予算策定時に利払い費の前提となる想定金利を実勢より高めにすることで、予算のバッファーとしてきた。例えば、2025年度までの10年間だと、その額は年平均1.2兆円程度になった(図表5)。これが、補正予算や剰余金の財源として活用されてきたのである。
しかし、10年国債の利回りが今年度の想定である3%に接近、国債費の不用額は大きく減少する可能性が否定できない。利払い費の大幅な増加と共に、このバッファー部分の喪失により、財政へのプレッシャーはさらに強まることが想定される。
つまり、将来へ向け財政の不透明感が強まることで、期間のリスクプレミアムは拡大を想定しなければならない。結果として、10年国債利回りは、4%へ向け上昇するのではないか。金利上昇の抑制には、金融政策が期待インフレ率をコントロールすると共に、財政政策が期間のリスクプレミアムを抑制することが鍵となる。もっとも、財政に関して、高市政権が歳出を抑える努力をするとは考え難い。
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