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金利上昇の逆風下で最高値更新 なぜS&P500は強いのか?
田中 純平
2026/08/27

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概要

S&P500指数は、長期金利の上昇やイラン情勢を巡る不透明感といった逆風が意識される中でも、過去最高値を更新するなど、堅調な推移を続けている。背景には、米国企業の市場予想EPSが上方修正されていることに加え、とりわけ指数寄与度の大きいITセクターの好調な業績が相場を下支えしていることがある。



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S&P500指数は8月13日に史上最高値を更新

世界的な長期金利の上昇やイラン情勢を巡る不透明感が意識される中でも、S&P500指数は8月13日に史上最高値を更新するなど、総じて底堅い推移を維持している(図表1)。

その背景には、米国企業の業績モメンタムの強さが、バリュエーション面の逆風を吸収している点が挙げられる。

好調な企業業績が米国株式市場のけん引役

2026年4-6月期決算に対する市場予想EPS成長率は、6月26日時点の前年同期比23.9%増から、8月21日時点には同32.5%増へと上方修正された。事前期待が高かったにもかかわらず、実績は市場予想をさらに上回る内容となった(図表2)。

けん引役となったのは、7月末時点で指数全体の37%を占める情報技術(IT)セクターだ。同セクターの市場予想EPS成長率は同65.1%増から同70.7%増へと切り上がっており、半導体やハードウェア関連の好調が全体収益を押し上げている。足元のAI相場は、堅調なファンダメンタルズに支えられている側面が大きい。

米長期金利上昇はS&P500指数の市場予想PERを押し下げた

他方、長期金利の上昇は、割引率の上昇を通じてPERに下押し圧力をもたらす。

実際、S&P500指数の12カ月先予想PERは、25年12月末の22.0倍から26年8月26日時点には19.7倍へと低下した。ただし、市場予想EPSの増加率(+25.7%)が市場予想PERの低下率(-10.8%)を上回ったことで、指数は年初来で上昇基調(+12.1%)を維持している(図表3)。

米大手ハイパースケーラーによる社債発行の影響は?

巨大なデータセンターを運営する米国の大手ハイパースケーラー(アマゾン、アルファベット、メタ、オラクル)は、年初来で合計約2,200億ドルの社債を発行しており、これが長期金利の上昇圧力につながっているとの指摘がある(図表4)。

前述のとおり、米長期金利の上昇は市場予想PERの押し下げ要因となるため、株式市場にとってはマイナス材料となる。しかし、財務面からみると、これらの企業のROA(総資産利益率)は負債利子率(注:ここではWACCで用いる負債コストを参照)を上回っており、ROE(株主資本利益率)の向上に向けて、財務レバレッジを活用する余地がなお残されていることがうかがえる。また、米国企業全体でみても、ROAが負債利子率を上回っていることから、一定の債務増加を許容し得る状況にあると考えられる(図表5)。

以上を踏まえると、米国株は長期金利の上昇や中東情勢を巡る警戒感といった逆風に直面しつつも、企業業績の堅調さを背景に高値圏を維持していると考えられる。とりわけ、S&P500の収益をけん引するITセクターでは、AI関連を中心に利益成長期待が一段と高まっており、相場の下支え要因となっている。金利上昇はPERの低下要因として作用する一方、高い収益力を背景に企業が財務レバレッジを活用し得る余地も残されていることから、米国株の基調は引き続き底堅いと判断される。 

 


田中 純平
田中 純平
ピクテ・ジャパン株式会社
投資戦略部長

日系運用会社に入社後、主に世界株式を対象としたファンドのアクティブ・ファンドマネージャーとして約14年間運用に従事。北米株式部門でリッパー・ファンド・アワードの受賞歴を誇る。ピクテ入社後はストラテジストとして主に世界株式市場の投資戦略等を担う。ピクテのハウス・ビューを策定するピクテ・ストラテジー・ユニット(PSU)の参加メンバー。日経CNBC「朝エクスプレス」、テレビ東京「Newsモーニングサテライト」、BSテレビ東京「NIKKEI NEWS NEXT」に出演。週刊エコノミスト「THE MARKET」で連載中。日本経済新聞やブルームバーグではコメント多数引用。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)


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