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- ユーロ圏債券のファンダメンタルズ改善へ
的を絞った財政刺激策と、AI(人工知能)主導の生産性向上により、ユーロ圏の国債および社債市場は一段と安定する可能性があります。
欧州は、成長率と金利がともに高まる新たな時代の入り口に立っています。当社の分析では、今後10年間で欧州の経済成長力は高まり、米国との差を縮めると見込まれます。その投資への影響は大きく、欧州の金融市場がより強固な経済的基盤に支えられることで、通貨ユーロおよびユーロ建て債券は、グローバル債券ポートフォリオにおける戦略的な資産配分先となる可能性があります。
当社では、今後10年間の米国の経済成長率は安定的に推移し、長期的な潜在成長率である2.3%に収束すると予想しています。これは2026年に予想する2.0%をやや上回る一方、過去10年間の平均である2.5%を下回る水準です。こうした安定的な推移は、投資の減速と貯蓄の枯渇が見込まれることを反映しています。過去16年間にわたり、積極的な財政支出と大規模な公共投資によって公的債務はGDP(国内総生産)比約85%から123%まで膨らみましたが、そのような財政拡張局面はすでに過去のものとなりつつあります。
一方、ユーロ圏については、当社モデルは逆の見通しを示しています。防衛、インフラ、AI、グリーン・トランジションを中心とする大規模投資プログラムと、それを支えるより積極的な財政政策により、潜在GDP成長率は1.4%から1.8%へ上昇すると予測されています。米国とは対照的に、ユーロ圏には財政拡張の余地があります。これまでユーロ圏の財政支出はより抑制的であり、債務残高の増加もGDP比85%から89%にとどまっています。
AIの潜在力
欧州における投資拡大は、テクノロジー導入における米国との差を縮小し、AIによる生産性向上の恩恵を最大限に享受することを可能にすると考えられます。当社では、AIによる生産性向上がユーロ圏のGDP成長率を年間0.25%ポイント押し上げると予想しています。
テクノロジー開発では米国が引き続き優位に立つ可能性がありますが、最大の経済効果をもたらすのは、こうした技術を導入・活用する企業です。この点において、欧州も十分に競争力を発揮できると考えられます。欧州投資銀行(EIB)の調査によれば、欧州企業の約77%が高度なデジタル技術を導入しており、37%が生成AIを活用しています。これに対し、米国ではそれぞれ78%、36%となっており、両地域はほぼ同水準にあります。
金利の上昇
欧州の成長見通しが改善することで、より高い中立金利水準を許容できるようになると考えられます。
テイラー・ルールは、名目政策金利を名目GDP成長率に加え、インフレ率の中央銀行目標からの乖離度や、成長率の長期トレンドからの乖離度を反映して決定する代表的な金利モデルです。当社では、このモデルに為替レートの影響を組み込み、過去の実績ではなく将来の予想ファンダメンタルズに着目する形へと修正しました。このアプローチは、中央銀行の金融政策運営の実態をより適切に反映していると考えています。
米連邦準備制度理事会(FRB)が政策運営に対する信認を維持し、インフレ率が目標水準へ回帰すると仮定した場合、当社モデルは米国のFF金利が2035年半ばに3.70%となり、現在の水準と概ね整合的であることを示しています。この実証的結果は、現在のFF金利がほぼ中立水準にあり、現行のマクロ経済環境において金融環境は十分に適切であることも示唆しています。一方、ユーロ圏の政策金利は現在の2.25%から3.68%へ上昇すると予測されています。その結果、現在150ベーシスポイントある利回り格差は、わずか2ベーシスポイントにまで縮小すると見込まれます。
図1:ユーロ圏と米国の収斂
非線形テイラー・ルールに基づくユーロ圏および米国の政策金利と推計値(%)
出所;Bloomberg, Pictet Asset Management.
期間:2002年1月1日~2026年1月1日
インフレ調整後でみると、当モデルは米国およびユーロ圏の長期均衡実質金利が、ともに1.7%となることを示唆しています。
公共投資の拡大、AIの導入、生産性向上によってユーロ圏の経済基盤が強化されるにつれ、同地域の債券市場は、国債・社債を問わず、より強固なファンダメンタルズに支えられるようになるでしょう。
こうした分析結果は、米国と欧州の利回り格差の縮小を見込む当社の長期見通し(Secular Outlook)とも整合しています。利回りを追求する投資家にとって、ユーロ圏債券の相対的な魅力は一段と高まると考えられます。さらに、米国の財政リスクが欧州を大きく上回ることや、米ドルの緩やかな下落が予想されることを踏まえると、ユーロ圏への投資は一層魅力的になるとみられます。米国資産のプレミアムが薄れるなか、強化されるユーロ圏のファンダメンタルズは、リスクの再評価とグローバルな資金配分のシフトから恩恵を受けるうえで有利な条件となるでしょう。
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