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分断下の世界秩序と投資戦略
2026/07/09

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概要

本年は、絶え間なく押し寄せる金融ニュースや地政学的事象により、市場参加者の多くが圧倒的な不確実性を感じる局面が続いています。2026年1-3月期においては、ベネズエラ、グリーンランド、イランを巡る地政学的動向が市場のボラティリティを高める一因となりました。同時に、人工知能(AI)ツールが既存のビジネスモデルを根本から変革し得る可能性を示しています。



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◆ポイント

地政学的イベントを踏まえた実物資産と分散投資

・実物資産はポートフォリオ分散に寄与

変化する世界環境において、不動産やインフラなどの実物資産は、ポートフォリオの分散効果を高める可能性があります。

・不確実性への対応にはアクティブ運用とリスク管理が重要

変動が続く地政学および市場環境に対応するには、規律ある運用と堅固なリスク管理が不可欠です。

・分散投資の重要性は継続

資産クラスを横断した分散投資は、長期的なリスク管理の観点から引き続き有効である。



短期的なニュースフローに翻弄される中で、長期的な資産形成を支える構造的トレンドを見失いがちです。こうした時代だからこそ、一歩引いて市場の根本的な変化要因を把握し、それに応じて投資戦略を適切に調整することが重要です。

世界秩序の断絶

注目すべき主要トレンドの一つが「多極的競争」の進展と、主要経済国間で戦略的自立性を確保する動きが強まっていることです。カナダのマーク・カーニー首相は、この変化を「断絶」と表現しました。

同首相は、2026年1月の世界経済フォーラムにおいて「旧来の秩序が復活する可能性は低い」と指摘し、「多くの国が同じ結論に達しています。すなわち、エネルギー、食料、重要鉱物、金融、サプライチェーンの各分野において、各国が一層の自律性強化を図らなければならないということです。」と述べました。

こうした変化を背景に、各国政府は高水準の財政赤字を抱えながらも、防衛およびインフラ分野への国内支出を拡大しています。その結果、通貨や国債といった政府発行資産には下押し圧力が生じています。

従来、国債は市場混乱時における分散効果を提供してきましたが、直近ではその機能が限定的となっています。特に、イラン情勢を受けてインフレ懸念が高まる中、利回りの上昇により債券価格が下落し、国債はその役割を十分に果たせていません。

また、プライベート・クレジット市場の引き締めが進む中、米国の一部大手銀行では融資姿勢の慎重化が確認されています。



アクティブ運用

このような環境下では、アクティブ運用および銘柄選択の重要性が一段と高まっています。

すべての企業、業界、国が新たな経済・技術環境に適応できるわけではありません。コロナ禍以降、インフレの発生源および伝播経路は変化しており、AIインフラ、エネルギー、素材関連分野では需要が堅調である一方、その他の分野では混乱が生じています。

AIの急速な成長に伴い、データセンターおよび関連インフラへの需要が拡大しています。AI特化型データセンターへの投資額は、2025年の約350億米ドルから2030年には約940億米ドルへの増加が予想されており、年間成長率は約22%と見込まれます。

強固なブランド力、価格決定力、そして高品質インフラへのアクセスを有する企業は、インフレ環境下においても安定的に配当を創出しやすいため、長期的に競争優位性に優れる企業を見極める能力が極めて重要です。

アクティブ運用、強固なリスク管理、そして実物資産を含む広範な分散投資は、
分断された世界秩序という不確実な状況を乗り越えるうえで投資家の助けと
なるでしょう。

リスク管理

市場リスクおよび非市場リスクの双方を踏まえた規律あるリスク管理が、ポートフォリオの強靭性を高める上で不可欠です。

近時の事例は、紛争、気候変動対策、規制変更、サプライチェーンのボトルネックといった地政学的リスクの重要性を改めて示しています。

イランによるホルムズ海峡封鎖は、石油、液化天然ガス、肥料、硫黄、ヘリウム、メタノール、アンモニア等の重要資源のサプライチェーンが特定地域に集中することのリスクを顕在化させました。

さらに、中国によるレアアース等の輸出規制の動きは、資源供給の脆弱性を浮き彫りにし、価格変動の拡大要因となっています。


◆中央銀行の外貨準備高に占める金の割合

出所: Pictet Wealth Management, Bloomberg L.P.,  2025年12月31日時点

分散投資

分散投資は、資産クラスを横断してリスクを抑制しつつ投資機会を捉えるうえで、依然として最も効果的な手法の一つです。

株式と債券を60対40の配分比率とする従来の手法は、長年にわたり有効とされてきましたが、現在の環境下では、より広範な資産クラスへの分散が求められています。

不確実性の高い環境下において強靭なポートフォリオを構築するためには、
規律ある運用、分散投資、そして長期的視点の維持が不可欠です。


貴金属、不動産、インフラ等の実物資産は引き続き投資妙味を有すると考えています。これらの資産は安定的インカム、インフレ耐性、分散効果を提供するとともに、構造的需要の変化の恩恵を受ける可能性があります。

重要素材のサプライチェーンの集中および電化の進展を背景に、実物資産の重要性は一段と高まっています。短期的な価格変動に過度に反応することなく、本質的価値に着目した投資判断が求められるでしょう。

まとめ

不確実性の高い環境下において強靭なポートフォリオを構築するためには、規律ある運用、分散投資、そして長期的視点の維持が不可欠です。

アクティブ運用、強固なリスク管理、実物資産を含む広範な分散投資は、分断された世界秩序という不確実な状況を乗り越えるうえで投資家の助けとなるでしょう。

 

 


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