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- グローバル・マクロ・ウィークリー・レポート(2026年5月第3週)
ピクテ・アセット・マネジメント マクロ・リサーチ・チームが、米国・ユーロ圏・中国の最新マクロ経済動向を解説いたします。
米国
4月の米国消費者物価指数(CPI)は前年比3.8%(前月3.3%)と、市場予想を上回り、上昇基調が続いています。一方、コア・インフレ率は前年比2.7%(前月2.6%)と小幅な上昇にとどまりました。今回の上昇は主に、エネルギー価格の上昇が変動性の高いCPI項目に波及したことを反映しています(図1)。
短期的な指標である6ヵ月年率換算ベースでは、インフレ率は4.8%まで急上昇し、4年ぶりの高水準を記録しました。なお、統計データの信頼性については依然として重要な課題が残っており、価格データの約40%が類似品目やカテゴリーからの推計値で補完されています(図2)。
今後の見通しとして、インフレのピークを夏場に4.2%(前回予想4.0%)と上方修正しました。その後は、原油価格が緩やかに低下することを前提に、年後半にかけてインフレ率は徐々に低下していくと見込んでいます。最新の予測では、2026年のCPI総合インフレ率の平均を前年比3.7%(従来3.5%)へ引き上げ、2027年も前年比2.5%(同2.4%)へと小幅に上方修正しました(図3)。
コア・インフレ率については、現時点では二次的影響が確認されていないことから、エネルギー価格の影響は限定的とみられます。2026年平均は前年比2.8%(ピーク時3.0%)、2027年平均は前年比2.4%と、従来の見通しを据え置いています。
ユーロ圏
3月の鉱工業生産は前月比0.2%増と、2か月連続で市場予想を下回りました。(前月は+0.2%に下方修正)。国別では、アイルランド(+5.7%)が全体をけん引し、フランスは+1.0%、スペインは+2.3%、イタリアは+0.7%となった一方、ドイツは-1.2%と低調でした。セクター別では、エネルギーおよびコンピューター、電子・電気機器の生産が底堅い伸びを示した一方で、中間財および消費財の生産は勢いを失いました。2026年1-3月期の鉱工業生産成長率は-0.9%となっています(図4)。鉱工業生産はコロナ禍前の水準を1.1%上回っているものの、長期トレンドを11.1%下回っており、ドイツを筆頭に、ユーロ圏の多くの国で生産能力を下回る状態が続いています。
2月の製造業受注は、堅調さを保ちながらもモメンタムの鈍化がみられました。製造業のセンチメントは底打ちしており(平均を0.1標準偏差下回る水準)、活動関連指標はイランでの紛争を背景とした短期的な前倒し発注を反映して反発しました。ただし、サイクル後半には需要への悪影響が生じる可能性があります。実際に、企業の業況期待は製造業・サービス業の両セクターで悪化しました。
今後は、財政出動やインフラ投資が下支え要因となる見込みである一方、イランでの紛争の影響により、エネルギーコストや金利を巡る不確実性は引き続き高水準にとどまるとみられます。
2026年1-3月期のGDP成長率は前期比0.1%で確定しました。イランでの紛争はスタグフレーションリスクを高めており、2026年の実質GDP成長率は平均0.9%と予測されるものの、下振れリスクは高まっています。エネルギー価格の上昇はインフレを押し上げ、家計の実質所得を圧迫することで個人消費を抑制し、生産を下押しする可能性があります。また、金融環境の引き締まりは投資や金利感応度の高い支出を抑制し、需要を一段と冷やす要因となります。一方で、比較的タイトな労働市場、歴史的な低失業率、依然として高い家計貯蓄率がバッファーとして機能し、実質所得を支えることで成長への影響を和らげる可能性があります。
雇用は2026年1-3月期に前期比0.1%増(前年比0.5%増)となり、長期平均を下回る伸びとなりました。失業率は依然として低水準にあり労働市場は逼迫していますが、労働需要には弱まりが見られます。ESI雇用期待指数は、サービスセクターを中心に3ヵ月連続で低下しました。GDPと雇用が同じペースで成長したことから、労働生産性は横ばいとなっています。賃金の伸びは鈍化が続いており、単位労働コストおよび国内の物価上昇圧力は低下しています。
ドイツでは、5月のZEW景況感調査において期待指数が予想以上に改善し、2023年10月以来の水準となる-10.2(前月比+7.0ポイント)となりました。現況指数は予想ほど悪化せず、-77.8(同-4.1ポイント)となっています。業績見通しはIT(情報技術)セクターで改善した一方、輸出志向型セクターでは悪化しています(図5)。
中国
4月の経済指標は、不動産セクターの低迷が続き、対外的な逆風が強まる中で、内需および鉱工業生産が幅広く減速していることを示しています。鉱工業生産は前年比4.1%(前月5.7%)に鈍化し、2023年半ば以来の低水準を記録しました。鉱業(3.8%、前月5.7%)および製造業(4.0%、前月6.0%)が減速する一方、公益事業は加速しました。1-4月累計の鉱工業生産成長率は5.6%となっており、年初来のモメンタム鈍化が示唆されます。
小売売上高は前年比0.2%(前月1.7%)と大幅に鈍化し、市場予想を大きく下回って2022年末以来の低水準となりました。自動車販売が-15.3%と急落するなど、裁量的消費を中心に弱さが目立ちました。サービス分野には一定の底堅さが見られたものの、月次ベースの小売売上高は前月比-0.5%と落ち込み、消費者センチメントの悪化を示しています。
固定資産投資は1-4月累計で前年比1.6%減となり、第1四半期の前年比+1.7%増から反転し、市場予想も下回りました。不動産投資(-13.7%)が引き続き主な下押し要因となっており、インフラ投資(4.3%、前月8.9%)および製造業投資(1.2%、前月4.1%)も勢いを失いました。不動産を除いた投資成長率は1.3%(前月4.8%)に鈍化しており、資本形成の基調的な弱さが浮き彫りとなっています。
不動産セクターは依然として主要な構造的下押し要因であり、新築住宅価格は前年比3.5%下落と、34ヵ月連続の下落かつ2025年半ば以来の最大の下落幅を記録しました。政策支援にもかかわらず、主要都市全体で価格下落が広がっており、住宅需要の脆弱さと消費者マインドの低迷が続いていることを示しています。
労働市場はやや安定し、失業率は5.2%(前月5.4%)に低下しましたが、活動指標全体の減速と比べると改善は限定的です。
対外関係では、トランプ米大統領と習近平中国国家主席による首脳会談を受け、米中二国間関係において限定的ながらも安定化の枠組みが構築されました。経済面での成果は限定的であるボーイング航空機200機の購入可能性や、米国産農産物・エネルギーの輸入拡大が表明されたものの、時期や数量は未定のままです。約300億米ドル相当の物品を対象とする二国間貿易・投資委員会の設置に向けた協議が開始され、10月の期限を前に、現行の貿易休戦の延長が見込まれています。
一方、関税(協議されなかったと報じられています)やレアアース輸出(依然として規制前の水準を約50%下回る)など、主要な懸案事項は未解決のままです。地政学面では、イランを巡る緊張に関連し、ホルムズ海峡の開放維持の重要性についても両国が合意しました。総じて、今回の首脳会談は短期的なエスカレーションリスクを低下させたものの、成長への具体的な支援効果は限定的であり、対外的な不確実性は引き続き高い状態が続いています。
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