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- グローバル・マクロ・ウィークリー・レポート(2026年6月第4週)
ピクテ・アセット・マネジメント マクロ・リサーチ・チームが、世界の主要国における最新のマクロ経済動向を解説いたします。
米国
5月の経済指標は総じて市場予想を上回る強さとなりました。個人消費支出は前月比+0.7%(前回+0.4%)と加速し、実質ベースでも前月比+0.3%(前回は横ばい)となりました。個人所得もここ数ヵ月は伸びが鈍化しているものの、前月比+0.7%となりました。(前回は横ばいであったものの、実質ベースでは下方修正されています)。貯蓄率は前回の2.6%から3.0%へと小幅に改善したものの、依然として非常に低い水準にあり、長期平均を大きく下回っています。これらは、今後数ヵ月にわたり家計消費の伸びが正常化に向かう可能性を示唆しています。総じて、最新の指標は2026年4-6月期の経済活動が従来予想よりも堅調であることを示しています。
インフレ面では、5月のPCE価格指数(個人消費支出デフレーター)は前年比+4.1%(前回+3.8%)と上昇し、インフレ率は高止まりしています。この上昇は主として非耐久財価格の上昇によるものであり、耐久財価格の寄与は相対的に小幅でした。コアPCE価格指数も予想通り上昇基調を維持し、前年比+3.4%となり、7月に見込まれるピーク(+3.5%)に近づいています。コアPCEの上昇は主にサービス価格が牽引した一方、財価格のインフレは高水準から鈍化しました。先行きについては、コアPCE価格指数は特に2027年にかけて緩やかに低下し、2027年12月には前年比+2.1%に達すると予想されます。これは、現行の金融政策スタンスを前提とした場合、米連邦準備制度理事会(FRB)の目標と概ね整合的な水準です。コアPCE価格指数の年間平均は、2026年が前年比+3.4%、2027年が同+2.4%と予測されます。
2026年1-3月期のGDP(国内総生産)成長率は再度修正され、今回は上方修正となり、前期比年率+2.1%(前回推計+1.6%)となりました。ただし、この上方修正は、資本財輸入の急減に伴う純輸出の寄与拡大が主因です。一方、家計消費支出は市場予想に反して年率1.4%から0.5%へと大幅に下方修正され、個人消費支出が緩やかに減速するという当社の基本シナリオを裏付ける結果となりました。以上を踏まえ、2026年のGDP成長率見通しは前年比平均+2.0%で据え置きとし、潜在成長率の推計値(+2.2%)やや下回る水準と見込まれます。
ユーロ圏
6月の総合PMIは予想を上回り上昇し、49.5(+1.0ポイント)となりました。これは、過去16ヵ月で3度目となる景気収縮圏での推移です。製造業PMIは51.3と、昨年10月以来5回目となる拡張圏を維持しましたが、市場予想(横ばい)に反して前月の51.6から低下しました。防衛費の増加やインフラ投資の拡大は今後の下支え要因となる見込みですが、中東における紛争によりエネルギーコストや金利の不確実性は引き続き高止まりしています。サービス業PMIは48.9(+1.1ポイント)と予想以上に改善しました。ただし、依然として低水準にとどまっており、消費者マインドの低迷を反映した需要面への懸念が残っています。
フランスの総合PMIは47.6(前月44.9)に上昇しました。サービス業が改善を牽引し47.4(+3.1ポイント)となり、製造業は50.7(前回49.7)と拡張圏に回帰しました。一方、ドイツの総合PMIは48(前回48.8)と、2024年12月以来3度目の縮小局面に入りました。サービス業は46.8(前回48.1)に低下し、製造業は50.0(前回50.1)とほぼ横ばいでした。
項目別にみると、需要は増加しました。新規受注は49、生産高は49.5で、それぞれ2025年4-6月期以降4回目および3回目の縮小局面となりました。製造業の活動指数は50.8に上昇し、新規受注と生産高はいずれも勢いを増しています。景気見通しは製造業で58.7、サービス業で57.3と加速し、雇用は49.7に改善しました。製造業では、投入価格の低下と納期短縮を背景に価格圧力が緩和されたものの、2022年に記録した最高水準に近い状態が続いています。
総合PMIに基づく実質GDP成長率の予測は、2026年4-6月期に0%となる見通しで、欧州中央銀行(ECB)および当社の予測を下回っています。ただし、この予測は2022年のエネルギーショック時と同様に、景気後退リスクを過大評価している可能性があります。価格上昇圧力は製造業およびサービス業の双方で緩和しつつあり、主に投入コストの低下が要因です。両セクターとも、投入コストの低下ペースは販売価格の低下ペースを上回っており、企業がコストの低下分を段階的にしか価格へ転嫁していないことを示唆しています。結果として、企業の利益率は一定程度回復しています。一方で、サービス業における需要の鈍化は、販売価格の積極的な引き下げを抑制しています。そのため、石油などの投入コストが低下しても、価格圧力は持続する可能性があります。
ユーロ圏消費者信頼感指数は、-17.7となり、中東における紛争を背景とした消費支出の弱さを反映し、2023年1月以来の低水準近辺にとどまっています。エネルギーコストの上昇と金融環境の引き締まりが個人消費の重荷となっています。2025年10-12月期の貯蓄率は14.4%(長期平均の13%を上回る)で、一定の緩衝機能を果たしていますが、不確実性の高まりと金利リスクにより予備的貯蓄が増加しています。一方、米国とイランの枠組み合意を受けて、ブレント原油価格は1バレル当たり80米ドル台前半から半ばへと戻っており、エネルギー価格上昇による実質所得への圧力が緩和する可能性があります。ただし、消費者マインドや消費支出の改善には時間を要する可能性があります。
6月のESI(経済信頼感指数)は95(+1.3ポイント)に上昇し、建設業を除く全セクターで改善が見られましたが、2020年11月以来の低水準近辺にとどまっています。製造業(+0.9ポイント)は生産見通しの改善に支えられた一方、需要は横ばいでした。サービス業(+0.5ポイント)は需要への期待を背景に回復しました。消費者信頼感の改善は、財務状況の見通しや高額商品の購入意欲、全般的な経済状況の見通しの改善を反映しています。小売業の信頼感は小幅に上昇(+1.2ポイント)した一方、建設業では低下(-0.6ポイント)しました。
雇用見通しは建設業を除く全セクターで低下し、製造業と小売業は長期平均を下回っています。販売価格見通しは引き続き低下しましたが、依然として長期平均を大きく上回っています。今後12ヵ月間の消費者物価に対する期待は大幅に低下しました。ECBの消費者インフレ期待調査では、5月の1年先期待は3.9%に低下し、3年先期待は2.9%で横ばいとなっており、消費者がエネルギー主導のショックを一時的とみていることが示唆されます。
ESIは2026年4-6月期の成長率を0.2%と示唆しており(PMIとESIの双方を考慮すると0%)、低成長が続く見通しです。
融資成長率は5月に前年比+2.7%へ加速し、前期比年率換算では+2.6%と堅調な伸びを維持しました。企業向け貸出が主な牽引役です。一方、銀行融資の月次フロー(3ヵ月移動平均)は、家計向けを中心に鈍化しています。
- 非金融法人(NFC)向け融資残高は5月に前月比+0.3%と小幅に増加し、基調的な伸びを維持しました(前年比+3.1%、前期比年率+2.6%)。満期別では、1年以内、1年~5年、5年超のいずれの期間でもプラスの寄与が見られました。家計向け短期融資も堅調に推移しています(前年比+2.4%、前期比年率+2.6%、前回+2.7%)。
- 国別では、銀行融資の伸びはドイツが最も低く(前期比年率+1.4%)で、ポルトガル(同+10.4%)が最も高い状況です。
-新規与信のGDP比の前年差(変化率)は2026年1-3月期初頭に+0.4%へと上昇し、企業向けが牽引しましたが、家計向けは低下しました。2026年1-3月期のECB銀行貸出調査(BLS)では、銀行は2026年4-6月期に企業向け融資条件の一層の締めを見込んでおり(2023年1-3月期以来最も厳しい水準)、企業の需要は低下する見込みです。また、住宅ローンおよび消費者信用についても条件の引き締めと需要の増加が見込まれています。
ドイツでは、6月のIFO企業景況感指数が予想を上回る85.6に上昇しました。現況判断指数は87、期待指数は84.1(+0.2ポイント)と小幅に上昇したものの、市場予想を下回りました。この改善は幅広い業種に及んでいますが、製造業のIFOおよびPMIは依然として平均値を0.7標準偏差下回っています。製造業の活動は、財政刺激策(防衛支出およびインフラ投資)の恩恵を受けており、今後も同セクターの下支えとなる見通しです。また、米国とイランの合意により、エネルギーコストの低下や金利を巡る不確実性の緩和が期待されます。
6月の各国企業調査では、フランスのINSEE企業景況感指数は94となり、2021年4月以来の低水準となりました。一方、ドイツは85.6、イタリアは88.4といずれも景況感の改善が見られました。主要ユーロ圏3か国を比較すると、ドイツの企業センチメントは平均を1.5標準偏差下回り、フランスおよびイタリアはそれぞれ平均を0.7および0.3標準偏差下回っています。
消費者信頼感は、イタリアでは低下92.4(-1ポイント)と低下した一方、フランスとドイツではそれぞれ、84(+1.6ポイント)、-29.7(+3.4ポイント)と上昇しました。主要ユーロ圏3か国を比較すると、消費者センチメントはドイツとフランスでそれぞれ平均を2.3および1.3標準偏差下回っており、イタリアは概ね平均並みの水準となっています。
中国
5月の海外直接投資(FDI)流入額は引き続きマイナス圏で推移し、前年同月比8.6%減となりました(4月は同10.3%減)。前年同期比の落ち込みはやや縮小したものの、依然として慎重な投資家センチメントと国内需要の低迷を背景に、海外からの投資の勢いは弱い状況が続いていることを示しています。
2026年1-3月期の経常収支黒字は1,843億米ドルに拡大しました(2025年1-3月期は1,636億米ドル)。また、速報値の1,841億米ドルからも小幅に上方修正されました。改善の主因は貿易黒字の拡大にあり、輸出が14.6%増の1兆610億米ドルへと大きく伸びたことにより、貿易黒字は1,879億米ドルに拡大しました。輸出の好調は、製造能力の拡大と国内需要の低迷との乖離が続いていることを背景に、生産者が海外市場への依存度を高めている状況を反映しています。
一方、サービス収支の赤字は596億米ドルとなり、2025年1-3月期の593億米ドルからほぼ横ばいでした。第一次所得収支の赤字は155億米ドルから74億米ドルへと縮小し、第二次所得収支の黒字は28億米ドルから38億米ドルへと小幅に拡大しました。
工業部門はさらに加速し、2026年1月〜5月累計で前年同期比18.8%増の3兆1,400億人民元となりました(1〜4月は同18.2%増)。改善は所有形態を問わず広範にわたっており、国有企業の利益は19.6%増の1兆500億人民元、株式会社は24.1%増の2兆4,300億人民元、民間企業は10.7%増の7,727億人民元となりました。
セクター別では、製造業が引き続き主要な牽引役となり、利益は74.3%増となりました。次いで公益事業(+63.7%)、鉱業(+54.4%)が続きました。最も大きな伸びを記録したのは非鉄金属の製錬・圧延(+117.1%)、コンピューター・通信機器(+103.9%)、化学製品(+71.6%)でした。5月単月の工業利益は前年同月比21.1%増となり、2023年11月以来最高の伸びを記録した4月の24.7%増からはやや鈍化しました。
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