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グローバル・マクロ・ウィークリー・レポート(2026年7月第3週)
2026/07/22

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概要

ピクテ・アセット・マネジメント マクロ・リサーチ・チームが、世界の主要国における最新のマクロ経済動向を解説いたします。



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■米国

6月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は予想を大幅に下回り、前年比3.5%(前月4.2%)へとピークから大きく低下しました。コア指数の上昇率も予想以上に鈍化し、前年比2.6%(同2.9%)となりました。これらは、財価格のディスインフレが加速したことが主因であり、同価格の伸び率は前年比0.8%まで低下しました。特に家庭用家具(前年比△2.9%)が主な押し下げ要因となりました。家賃も前年比3.2%と長期トレンドに近い水準で安定したほか、家賃を除くコアサービスも前年比3.1%へと低下しました。一方で、他のCPI項目の割合は39%(前月37%)へ再び上昇しており、データの信頼性には引き続き疑問が残ります。先行きについては、ディスインフレの進展ペースはより緩やかになると見込んでおり、CPIインフレ率は12月に前年比2.7%(従来予想3.6%)で着地すると予想しています。こうした結果を受けて、2026年の平均インフレ率予測を前年比3.1%(同3.5%)、2027年を前年比2.4%(同2.7%)へそれぞれ下方修正しました。総じてみれば、今回のCPI統計は、今後予想されるディスインフレの軌道の下では現在の金融政策スタンスが適切であり、追加的な金融引き締めは不要との見方を裏づけるものであり、米連邦準備制度理事会(FRB)が今後1年間にわたり政策金利を据え置くとの基本シナリオを一段と支持する内容となりました。

7月のフィラデルフィア連銀製造業景気指数は予想を大幅に上回りました。新規受注や出荷などの実体経済関連項目に牽引されて改善し、景気拡大を示す水準へ上昇した一方、価格関連指数は軟化しており、供給サイドからのインフレ圧の低下を示唆しています。これに加え、先に発表されたニューヨーク連銀製造業景気指数の大幅改善も踏まえると、製造業活動は回復基調にあるとみられ、スタグフレーションリスクに対する懸念も一段と後退しています。

6月の小売売上高は堅調な内容となりました。特に、自動車およびガソリンを除くコアグループは2ヵ月連続で伸びが加速しており、消費者センチメントが比較的低調な中でも底堅さを示しています。全体として、小売売上高は名目・実質ペースともにパンデミック前のトレンドおよび長期平均を大きく上回る水準で推移しており、歴史的に低い貯蓄率(3%)と大幅な資産効果に支えられています。

一方、6月の鉱工業生産は期待外れの結果となり、製造業生産が横ばいにとどまったことに加え、設備稼働率(76.1%)の低迷を背景に、2ヵ月連続でほぼ横ばいとなりました。ただし、既に発表されている7月の地区連銀製造業調査は、今後数ヵ月にわたる製造業活動の大幅な回復を示唆しています。

7月のミシガン大学消費者信頼感指数は2ヵ月連続で大幅に反発したものの、依然として低水準にとどまりました。改善は現況指数と期待指数の両方が改善を牽引しました。ミシガン大学は「最近のガソリン価格の下落が反転した場合には、センチメントの改善基調を維持することが難しくなる可能性がある」と指摘しています。また、「今回の調査は6月23日から7月13日にかけて実施されたが、回答の70%以上は、7月7日の米国による対イラン攻撃再開とそれに伴うガソリン価格上昇以前に取集されていた」とも述べています。改善が見られたものの、現在の消費者センチメントの水準は家計消費の本格的な回復を支えるには不十分であり、対イラン攻撃を受けたガソリン価格の上昇が見込まれることから、8月にはセンチメントが再び悪化する可能性があります。

重要な点として、インフレ期待は一段と安定化しています。1年先のインフレ期待は前年比4.2%(前回4.6%)へ低下しました。一方、金融政策上重要な5〜10年先インフレ期待は3.3%で横ばいとなりましたが、依然としてFRBのインフレ目標とは整合的ではありません。一方、市場ベースの5年先5年間インフレ期待は2.4%で安定しており、インフレ期待のアンカーが維持されていることを示す、より説得力のあるシグナルが見られます。

■ユーロ圏

5月の鉱工業生産は、先に発表された小売売上高の反発とは対照的に、また最近の製造業調景況感調査の低調な結果とも整合的な内容となり、市場予想を下回りました。鉱工業生産は製造業生産の低迷を主因に前月比0.2%減少しました。製造業の内訳では、自動車生産が最大の押し下げ要因となった一方、コンピューター・電子・電気製品の生産は大幅に増加しました。全体としては、資本財および中間財生産の改善がみられたものの、消費財生産の大幅な落ち込みによって相殺されました。

6月のCPIの確報値は速報値と一致し、総合指数は2.8%、コア指数2.4%とそれぞれ確認されました。これにより、前回のエネルギー価格上昇を受けたインフレ率のピークが5月であったことが改めて確認されました。先行きについては、緩やかなディスインフレが続くと見込んでおり、総合指数は2027年下半期に2.3%前後まで低下すると予想しています。もっとも、足元のインフレ鈍化の勢いの弱さや二次的波及効果のリスクを抑制する観点から、ECB(欧州中央銀行)は年内に追加利上げを実施する必要があると見ています。実施時期としては、9月の理事会が最も有力であると考えます。

■スイス

6月の生産者輸入価格指数は、前年比0.8%低下し、輸入インフレのピークが過ぎ、インフレ圧力が安定化しつつあることを示しました。内訳を見ると、最大の押し上げ要因であるエネルギー製品価格の上昇率は依然として高水準にあるものの、前年比35.2%(5月;55.2%から低下)へと鈍化し、輸入インフレへの寄与度は+1.3ポイント(5月;+2.0ポイント)に縮小しました。一方、輸入製品価格は前年比0.7%低下し(5月;△0.5%)、引き続きディスインフレ要因となりました。セクター別では、医薬品が最大の押し下げ要因となり(△1.5ポイント)、次いで化学品(△0.2ポイント)、IT製品(△0.2ポイント)、機械(△0.2ポイント)が続きました。生産者輸入物価指数の上昇率は前年比△2.1%(5月:△1.8%)へと低下しており、輸入ディスインフレ圧力の継続を示唆しています。このため、国内インフレ率も引き続き抑制された状態が維持されると見込まれます。

スイス国立銀行(SNB)2026年6月の政策決定会合の議事要旨は、政策金利誘導目標を0%に据え置いた決定について金融緩和的な政策スタンスを維持する姿勢を示す内容となりました。議事要旨では、現在の緩和的な金融政策スタンスが適切であることが強調されるとともに、地政学的ショックに対するリスク管理重視の政策運営姿勢が示されています。また、金利見通しに関するフォワードガイダンスは極めて限定的なものにとどまっています。

対外環境については、中東紛争とホルムズ海峡を巡る同行が主要なグローバルリスクとして認識されています。主な懸念材料は、エネルギー価格の上昇とサプライチェーンの混乱です。SNBは、世界経済の基本シナリオとして、堅調ながらも緩やかに減速する成長と、資源価格を主因とする高めのインフレを想定しています。また、海外主要中央銀行は、引き続き金融引き締めに前向きな姿勢を維持すると見込まれています。こうした状況を背景に、スイスと海外との金利差は拡大しており、これに加えて地政学リスクの一部緩和も相まって、スイスフランに対する短期的な上昇圧力は後退しています。これは、SNBにとって非常に好ましい環境と評価されています。

国内では、2026年3月以降、スイスフラン安、資産価格の上昇、マネーサプライおよび信用供与の堅調な拡大を背景に、金融環境は緩和方向へ進んでいます。実質金利はマイナス圏にあり、長期均衡実質金利を下回っていると評価されています。また、金融政策の波及メカニズムは円滑に機能しており、超過流動性の増加や貸出拡大が経済活動を下支えしています。インフレ率は輸入エネルギー価格の影響を受けて0.6%へ上昇していますが、コア指数は0.5%前後にとどまっており、賃金・物価の二次的波及効果は今のところ限定的です。

SNBの条件付きインフレ見通しは、政策金利が2026〜2028年を通じて0%に据え置かれることを前提としています。この前提の下で、インフレ率は物価安定の定義である0~2%の範囲内にとどまり、平均インフレ率は2026〜2027年に0.6%、2028年に0.7%となる見込みです。また実質GDP(国内総生産)成長率は2026年に1.0%、2027年に1.5%と予測されています。議事要旨では、エネルギー価格、地政学リスク、通商政策、さらには潜在的な二次的波及効果など、インフレの上振れリスクが依然として高いことが強調されています。しかしながら、現行の金融政策スタンスの下では物価安定が損なわれるリスクは限定的であり、現在の政策運営は引き続き適切であるとの結論が示されました。

総じて、SNBのフォワードガイダンスはほぼ完全にデータ依存型となっています。SNBは「必要に応じて」政策を調整する方針を維持しており、とりわけスイスフランの急速かつ過度な上昇に対しては、為替市場介入を実施する用意があることを明確にしています。このことは、短期的なマクロ経済ショックへの対応において、為替介入が引き続きSNBの主要な政策手段となることを示唆しています。

■英国

スターマー前首相より左派色が強いものの、一般的には穏健左派と見なされているアンディ・バーナム氏が、労働党政権下で過去4年間に5人目となる新首相に就任しました。新首相は、権限の集中するウェストミンスターから地方への移譲を進める方針を示しており、今週後半の演説で今後10年間の国家計画を発表する予定です。ただし、主要な財政政策の詳細については、秋季予算案まで判断が先送りされる見通しです。当面の政策措置は対象を限定したものが中心であり、マクロ経済に大きな影響を及ぼすというよりも、今後の政策運営の方向性を示すシグナルとしての意味合いが強いと考えられます。同政権は、財政規律を維持しつつ生活費の負担軽減を目指し、財源裏付けのない大規模支出策ではなく、選択的かつ重点的な政策対応を重視しています。具体的には、戦略的重要産業に対する公的関与の強化(一部国有化のリスクを伴う)、雇用拡大を通じた就業率向上による社会保障支出の抑制、住宅供給不足の解消および賃貸住宅市場の需給逼迫の改善を目的とした公営住宅の建設促進などが挙げられます。また、インフレおよび家計所得対策として、VAT(付加価値税)や環境関連賦課金の調整を通じたエネルギー料金負担の一時的かつ部分的な軽減措置が検討されており、その対象は低所得世帯に限定される見通しです。市場への影響は総じて限定的でした。英国国債利回りへの影響は小幅にとどまり、ドイツ国債および米国債に対するスプレッドはやや縮小しました。これは、従来懸念されていた財政拡張リスクと、バーナム政権が財政規律の維持を重視する姿勢を示し、大型政策の導入を10月末から11月初旬に公表予定の秋季予算案に先送りしたことへの安堵感が相殺し合った結果と考えられます。

5月の月次GDP速報値は、低調な水準から予想を上回り小幅回復しました(前月比+0.1%)。成長の押し上げはサービス部門(前月比+0.3%、前月△0.1%)が主導した一方、鉱工業(前月比△0.5%)および建設(前月比△0.5%)の両部門は大幅な減少となりました。なお、製造業の生産高は小幅に増加し(前月比+0.1%)、3ヵ月連続の改善となりました。もっとも、今回のGDP統計は、2026年4-6月期GDPに関するKOFナウキャストの強気な見通し(前期比+0.6%)とは大きく乖離しており、同見通しは当社の予測である前期比+0.1%を大幅に上回っています。

■カナダ

カナダでは、カナダ銀行(BoC)が7月の会合で政策金利を2.25%に据え置きました。これは市場のコンセンサスに沿った決定でしたが、声明文および見通しにはやや引き締め方向を意識したトーンが見られました。具体的には、中東情勢およびUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)を巡るリスクに加え、新たに「インフレ見通しに対する国内要因のリスク」が明示的に織り込まれました。一方で、「現在の政策金利水準は、経済回復を持続させつつインフレ率を目標へ回帰させるうえで適切である」との認識もしめされており、基本的には現行の金融政策スタンスを維持する姿勢が確認されました。

4月の金融政策報告(MPR)と比較すると、2026年4-6月期の成長は上向いていると見られており、経済成長の源泉が広がりつつあります。足元の経済指標は個人消費の底堅さを示しており、住宅投資、輸出、設備投資についても回復傾向にあることがうかがえます。

また、USMCAが今後は毎年見直しの対象となるものの、委員会は従来ほど悲観的な見方を示していません。企業からは、不確実性への対応策を講じながら事業運営を継続しているとの報告が増えており、通商環境を巡る不透明感への適応が進みつつあることが示唆されています。インフレ動向については、5月の総合インフレ指数が主にガソリン価格の上昇を背景に前年比3.2%まで加速した一方、ガソリンを除くコア指数は2.2%にとどまり、エネルギー価格上昇の波及効果は限定的でした。また、中東情勢に起因するコスト上昇圧力が一部の消費者物価に波及しているものの、依然として存在する需給ギャップに伴う他の財・サービス価格への下押し圧力によって概ね相殺されています。

経済見通しについては、2026年の実質GDP成長率が0.7%(前回1.2%)へ下方修正されました。一方、景気回復の進展とともに需給の緩みが徐々に解消されるとの見通しから、

2027年および2028年の成長率予測はいずれも1.8%(前回1.6%および1.7%)に引き上げられました。インフレ予測については、原油価格昇を受けて2026年の見通しが2.5%(前回2.3%)へ引き上げられたことを除けば、概ね据え置かれています。その後、2027年初に2.0%(前回2.1%)、2028年には2.1%(前回2.0%)となる見通しです。総じてみれば、現行の金融政策スタンスの下でインフレ率は目標近傍で安定的に推移するとBoCは判断しています。もっとも、委員会は見通しが原油価格およびガソリン価格の動向に大きく依存している点を強調しています。BoCは、原油価格が1バレル当たり70〜75米ドルの水準まで低下した後に安定することを前提としていますが、この見通しが確定された先週末以降、先物カーブは上昇シフトしており、エネルギー価格動向を巡る不確実性は依然として高い状況にあります。

こうした環境を踏まえると、当社はBoCが年内を通じて政策金利を据え置くとの見方を維持しています。ただし、中東情勢の展開、それに伴う原油市場の動向、さらには国内経済回復の進捗次第では、従来と比較して追加引き締めの方向のリスクが高まっていると見ています。

■中国

2026年4-6月期のGDP成長率は予想を下回り、前期比0.5%(2026年1-3月期:1.5%)へと減速しました。実質GDP成長率は前年比4.3%(2026年1-3月期;5.0%)、年初来成長率は4.7%(同5.0%)へ鈍化しました。今回の減速は、主として家計消費と投資の弱さによるものです。家計消費は前期比0.9%(2026年1-3月期:1.4%)と伸びが鈍化し、軟化傾向が継続しています。また、投資は前期比△2.9%と、2026年1-3月期の+5.4%から大幅に落ち込みました。6月の月次経済指標をみても、不動産固定資産投資の大幅な下押しと全般的に低調な投資活動が引き続き確認されており、輸出・輸入の双方で改善が見られる貿易動向とは対照的な状況となっています。こうした環境を踏まえ、2026年の実質GDP成長率予測を4.7%から4.4%へ下方修正しました。一方、2027年の予測は潜在成長率(2027年;4.9%)をわずかに下回る4.6%で据え置いています。

鉱工業生産は製造業生産の伸びに支えられ、前年比5.3%と5月の4.5%から加速し、市場予想を上回りました。一方、鉱業生産は減少したほか、化学、石炭採掘、非金属鉱物製品といった伝統的なセクターは引き続き低調でした。

6月の貿易統計は非常に堅調で、貿易黒字は1,256億米ドルに拡大し、月次ベースで過去2番目の高水準を記録しました。輸出はAI関連製品、半導体、コンピューターおよび関連部品に支えられ、前年比27%増の4,124億米ドルと過去最高を更新し、市場予想を大幅に上回りました。輸入も、半導体価格の上昇、域内サプライチェーン需要の堅調さに加え、天然ガス・石炭・銅・鉄鉱石・大豆などの商品輸入の増加を背景に、前年比36%増の2,868億米ドルと過去最高を更新しました。主要なアジアの貿易相手国およびEU向けで幅広く堅調な伸びが見られたほか、米国およびEUに対する貿易黒字はさらに拡大しました。

労働市場は小幅ながら改善しました。都市部調査失業率は6月に5.0%と5月の5.1%から低下し、市場予想と一致するとともに2025年6月以来の低水準となりました。戸籍ベースの登録失業率は5.0%へ低下した一方、出稼ぎ労働者の失業率は4.9%で横ばいとなりました。また、主要31都市の調査失業率も5.0%へ低下した一方、平均労働時間は48.2時間と引き続き高水準を維持しました。

不動産セクターの調整には、なお時間を要しており、安定化は緩やかなペースにとどまっています。70都市ベースの新築住宅価格は6月に前年比3.3%下落しました(5月△3.5%)。前年比での住宅価格下落は36ヵ月連続となりましたが、下落率は2月以来最小となりました。




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