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- グローバル・マクロ・ウィークリー・レポート(2026年8月第2週)
ピクテ・アセット・マネジメント マクロ・リサーチ・チームが、世界の主要国における最新のマクロ経済動向を解説いたします。
■米国
7月のISM製造業景況指数は実体経済関連項目、とりわけ新規受注および雇用の改善に支えられ、市場予想を上回る55.6(前月比+2.3ポイント)へ上昇しました。両項目とも拡大局面をさらに強める結果となりました。一方、ISM製造業の支払価格指数は低下したものの、依然として高いインフレ圧力を示す水準にとどまりました。また、この上昇幅は、地域連銀の製造業景況調査が示したポジティブなシグナルを上回るものでした。ISM非製造業景況指数は7月に54.1とわずかに上昇(+0.1ポイント)しましたが、市場が予想していたより大幅な上昇には至りませんでした。内容はまちまちで、事業活動指数は59.1(+3.7ポイント)、新規受注指数は57.2(+2.1ポイント)へ上昇した一方、雇用指数47.4(△3.8ポイント)へ低下し、6月の大幅上昇を打ち消す形で再び縮小圏に入りました。
サプライヤー納品指数は52.8と前月から1.6ポイント低下し、納品遅延の悪化を報告した回答者の割合が減少したことを示しています。新規輸出受注指数は52.0(+1.6ポイント)、輸入指数は51.8(+2.4ポイント)と、いずれも上昇しました。支払価格指標は70.3と2.6ポイント上昇し、7月にイラン情勢が再激化したことに伴うエネルギー価格の上昇を反映したものとみられます。その結果、同指数はおおむね3月から5月にかけての水準にまで回復しました。
ISMのプレスリリースでは、サービス業全体の活動について「底堅い」と評価し、6月と同様にサッカーワールドカップが事業活動および新規受注の増加に寄与し続けていると指摘しました。また、「関税の影響と中東情勢については依然として回答者から言及されているものの、以前のレポートと比べればその頻度は大幅に低下した」としつつ、最近の原油価格上昇が投入コストに与える影響に対する懸念は依然として残っていると述べています。総じて、最新の景況感調査は、2026年7-9月期の経済活動が主としてサービス部門に牽引されながら堅調に拡大することを示唆しています。
6月の製造業受注は、総合ベース・除く輸送用機器ともに市場予想に反して前月比で減少しました。ただし、水準としては依然として良好であり、コロナ禍前のトレンドを大幅に上回るとともに、当社のポジティブな設備投資総合シグナルとも整合的です。また、製造業受注の弱さは、改善傾向にあるコア資本財受注とは対照的な結果となりました。
7月の雇用統計は総じて期待外れの内容となり、労働市場の軟化が続いていることを示しました。特に、非農業部門雇用者数(NFP)は、前月比2.3万人減と市場予想を大幅に下回る結果となりました。なお、6月分は当初発表の5.7万人増から2.0万人増へと下方修正されました。さらに、過去2か月分の雇用者数改定は合計で10.3万人の下方修正となりました。雇用増加の鈍化は主として民間部門によるものでしたが、政府部門、レジャー・ホスピタリティ業、小売業でも弱さがみられました。過去3ヶ月間平均でみると、 NFPの増加数は2万人まで減速しており、米国経済が潜在成長率並み、またはそれをやや下回るペースで成長する際の新たな均衡的雇用創出ペースとみられる7万人を下回っています。一方、失業率は 4.1%と前月から0.1ポイント低下し、市場予想に反して自然失業率近辺の水準となりました。ただし、全体としては横ばい傾向が続いています。今回の低下は主に労働参加率が61.4%へ0.1ポイント低下したことによるものであり、同率は引を続き明確な低下トレンドにあります。U-6失業率(広義の失業率)は7.9%と高水準ながら横ばいでした。賃金動向を見ると、平均時給の伸びは前年比 3.2%(△0.2ポイント)と市場予想を下回りました。2022年に6%近くまで上昇したピーク以降、賃金上昇率は明確な減速トレンドを続けています。ただし、依然としてインフレ率が目標水準と整合的な2.5%〜3%のレンジを上回る伸びを維持しています。総じて、7月の雇用統計は弱めの内容となり、労働市場が徐々に軟化していることを示しました。一方で、労働市場は依然として過度に逼迫しているわけでも、過度に弱いわけでもなく、政策金利が中立水準近辺にあるとの見方と整合的です。この結果は、最近の米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派的な姿勢をやや和らげ、市場で高まっていた追加利上げ観測を後退させる可能性があります。全体として、今回の統計は、今後1年間にわたり政策金利が据え置かれるとの当社の基本シナリオをさらに裏付ける内容となりました。
■ユーロ圏
6月の小売売上高は、市場予想に反して0.3%の減少となりました(前月は+0.4%へ上方修正)。2026年4-6月期のモメンタムは前期比年率+0.8%と鈍化し(前期:同+1.0%)、前年比では+0.9%と長期平均の+1.1%を下回りました。
2026年4-6月期の個人消費は引き続き回復傾向にあり、主に財支出(前期比+0.9%)が牽引しました。一方、サービス支出は比較的緩やかな伸びにとどまりました(前期比+0.3%)。こうした改善にもかかわらず、個人消費全体は依然としてトレンドを約7%下回っており、財支出はトレンド比△8%と、サービス支出(トレンド比△6%)に比べてより大きく遅れている状況です。
消費者センチメントには安定化の兆しが見え始めています。欧州委員会の消費者信頼感指数は7月に過去4ヵ月で3回目の上昇となり、米国とイランの停戦を背景とした消費支出の改善を示唆しています。これは、の家計の先行きに対する見方、高額商品の購入意向、および経済情勢全般に対する認識の改善を反映しています。
米国とイランとの枠組み合意により、ブレント原油価格はすでに70米ドル台まで低下しており、エネルギー価格上昇による実質所得への追加的な下押し圧力のリスクは後退しています。ただし、その後の緊張再燃を受けて原油価格は再び上昇しています。下振れリスクとしては、エネルギー価格の上昇による家計所得への圧迫や、不確実性の高まりによって予備的貯蓄行動が継続し、個人消費の正常化が遅れる可能性が挙げられます。2026年1-3月期の貯蓄率は14.3%と長期平均(13%)を上回っており、家計の緩衝材として機能しています。不確実性の低下やマイナスの実質金利は予備的貯蓄行動を減少させ、消費支出の正常化ペースを加速させる可能性があります。
ドイツでは、6月の鉱工業活動データがインフラ投資や防衛支出に支えられた内需主導の景気回復の兆しを示しています。6月の鉱工業生産は、自動車産業を中心に前月比+0.2%となり、市場予想と一致しました(前回は+0.7%から下方修正)。エネルギーおよび建設を除く鉱工業生産は横ばいでしたが、消費財および資本財生産が、それぞれ前月比+1.0%、同+0.2%と増加しました。2026年4-6月期の生産モメンタムは前期比年率+2.4%へ改善し(前期△2.4%)、生産水準は依然としてエネルギー危機前の水準を11%、トレンドを21%下回っています。
6月の製造業受注は前回の0.3%増から3.1+%増となり、市場予想を大幅に上回りました。資本財(前月比+2.2%)と国内受注(同+7.8%)が牽引しました。海外需要はわずかな増加にとどまり、ユーロ圏諸国からの受注は急減しました(それぞれ前月比+0.2%、同△14%)。製造業受注のモメンタムは2026年4-6月期に前期比で年率+5.8%と改善したものの(前期△15.8%)、依然としてトレンドを9.9%下回っています。
6月の貿易黒字は154億ユーロ(GDP(国内総生産)比4.1%)へ縮小しました。輸出は前月比+0.9%と増加し、トレンドを1.2%上回る水準となりました。一方、輸入は前月比+4.4%と大幅に増加し、トレンドを5.7%上回っています。製造業PMIの新規輸出受注は2ヵ月連続で好不況の分岐点である50を上回り(7月は52.3)、先行きの海外需要改善を示唆しています。
製造業のセンチメントは底打ちし、景気循環的な回復の兆しを示唆しています(長期平均を0.4標準偏差下回る水準ながら、2022年6月以来の高水準)。イラン情勢により、エネルギーコストと金利は高止まりしているものの、今後は財政刺激策が下支え要因となる見込みです。
■日本
6月の賃金上昇率は前年同期比3.4%へ加速し、年初以降モメンタムを高めています。また、実質賃金も前年比1.9%増となりました。力強い実質賃金の伸びと逼迫した労働市場環境は、引き続き家計支出を下支えするとみられます。こうした状況は、日本銀行が金融引き締めをさらに進める必要があるとの見方を裏付ける主要因の一であり、少なくともあと1回の利上げが2026年10-12月期に実施されるとの見通しを支持しています。
■スイス
7月のスイス国立銀行(SNB)の外貨準備高は2ヵ月連続で堅調なペースで増加しました。前月の大幅な増加(+6.7%)に続き、7月の外貨準備高は1.2%増の7,682.6億スイスフランとなり、GDP比88%に達しました。これにより、短期的な上昇トレンドが確認されています。また、この動きは、通常SNBの為替介入の代理指標として見なされる金融機関のSNB当座預金残高の大幅な増加とも整合的です。外貨準備高の増加は主として市場要因および為替評価要因によるものであり、特に最近のスイスフラン安を反映しています。年初来の外貨準備高の増加額は374億スイスフランに達していますが、これはSNBがこれまで公表した実際の為替介入額(2026年1-3月期は39.4億スイスフラン)を部分的に反映しているに過ぎません。今後も、為替および市場の評価効果が外貨準備高の押し上げ要因になると見込まれます。
SNBはまた、2026年4-6月期の外貨準備の通貨別構成比も公表しました。ユーロは引き続き最大の準備通貨であり、総準備高の39.1%を占めています。これに、米ドルが同36.9%で続いています。その他の通貨では、円の構成比は7.4%と概ね横ばいでした。英ポンドも5.8%と同様に大きな変化は見られませんでしたが、中長期的には低下傾向が続いており、その分、その他の準備通貨の構成比が8.0%へ緩やかに上昇しています。
7月のSECO消費者信頼感指数は、依然としてマイナス圏にとどまっているものの、緩やかな改善が続いており、指数は△34.8(6月:△35.8)となりました。今後、原油価格が安定し、地政学的緊張が緩和すれば、消費者マインドは引き続き改善し、家計支出を支える要因となるとみられます。
■中国
民間調査会社RatingDogによるPMI調査では、景気の基調に関して強弱入り混じる内容が示されました。製造業PMIは51.7から50.9へ低下し、市場予想を下回りました。サービス業PMIは54.1から50.4へ急低下し、前月から大幅に悪化したことで、サービス業のモメンタムが著しく鈍化していることが示されました。
総合PMIは53.6から50.8へ大幅に低下し、数ヵ月ぶりの低水準となりました。今回の結果は、景気循環の悪化をより明確に示しています。公的・民間双方の調査でモメンタムの大幅な低下が確認されており、国家統計局(NBS)の製造業PMIは50.3から49.2へ低下して縮小圏に入り、総合PMIも50.6から49.3へ低下しました。これは異常気象による混乱、新規受注の減少、根強い需要不足を背景としており、追加的な政策支援の実施に向けた当局への圧力を高めています。
7月の貿易統計は引き続き非常に堅調でした。貿易黒字は1,125億米ドルへ縮小したものの、月次ベースで過去3番目の高水準となりました。輸出はAI関連製品に支えられ、前年比24%増の3,979億米ドルに達しました。半導体輸出は年初来でほぼ倍増したほか、電気自動車やリチウム電池を含むグリーンテック関連製品に対する旺盛な需要も追い風となりました。輸入も半導体価格の上昇やアジア地域内におけるサプライチェーン需要の強さを背景に前年比28%増の2,854億米ドルと大幅に増加しました。コモディティ輸入は強弱まちまちで、原油輸入は6月の約10年ぶりの低水準から持ち直した一方、ホルムズ海峡を巡る混乱は引き続き見通しの重荷となっています。天然ガス輸入は概ね横ばいで推移しました。主要なアジアの貿易相手国向け取引は総じて堅調でしたが、対米貿易黒字は縮小しました。
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