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- グローバル・マクロ・ウィークリー・レポート(2026年8月第3週)
ピクテ・アセット・マネジメント マクロ・リサーチ・チームが、世界の主要国における最新のマクロ経済動向を解説いたします。
■米国
7月の消費者物価指数(CPI)は総合指数が前年比+3.4%(前月+3.5%)、コア指数数が前年比+2.5%(前月+2.6%)とともに低下し、市場予想と一致する結果となりました。推計項目の割合は37%(前月39%)へわずかに低下したものの、依然として高水準にあります。内訳を見ると、財コアとサービスコアはそれぞれ前年比+0.8%、+3.0%へ低下しました。特に注目されるのは、ディスインフレの進展が、家賃を除くサービスコアというより基調的な指標によって牽引されている点です。同指標は大幅に減速しており、前年比上昇率は2.8%まで低下しています。
先行きについては、インフレ圧力は今後も緩やかに後退すると予想しています。12月のインフレ率は前年比2.9%、2026年平均は3.2%と見込んでいます。2027年にはディスインフレが一段と進展し、4月と5月には一時的にインフレ率が目標を下回った後、年末にかけて2.2%程度で安定すると予想しています。財コアのインフレ率が極めて抑制的に推移するとの見通しを踏まえれば、2027年の平均インフレ率は2.1%になると見込まれます。こうした見通しは、金融環境が引き続き適切な水準に維持されるなか、米連邦準備制度理事会(FRB)が今後1年間にわたり政策金利を据え置くとのシナリオと整合的です。金利見通しに関するリスクは、引き続き下方に偏っていると考えられます。
7月の小売売上高は、底堅い伸びが続くとの市場予想に反して前月比で減少しました。総合およびコア指数の小売売上高がともに幅広く落ち込んだことから、個人消費の減速を示唆する内容となっています。また、今回の結果は、足元で見られている景況感の悪化や消費者センチメントの弱含みとも整合的です。
実際、8月のミシガン大学消費者信頼感指数は市場予想に反して低下しました。主因は期待指数で、50.6(前月比△4.8ポイント)と低下しました。現況指数も51.8(同△3.0ポイント)に低下しました。
また、インフレ期待については、1年先の期待インフレ率が上昇したことを受けて関連指標全体が持ち直した一方、政策運営上より重要とされる5〜10年先の期待インフレ率は、市場予想通り3.3%で横ばいとなりました。ミシガン大学は「特に高齢層、低所得層および大学教育を受けていない層において、大幅なセンチメント低下が見られた。これらの層はいずれも、インフレによる購買力低下の影響を受けやすい」と指摘しています。総じて、今回の調査結果は、今後の個人消費の伸びが鈍化していく可能性を示唆しています。
■ユーロ圏
6月の鉱工業生産は市場予想通り前月比横ばいとなり、2ヵ月連続で伸び悩みました(前月は前月比+0.3%へ上方修正)。もっとも、生産は2月以降増加基調を維持しています。国別では、フランスが前月比+0.1%、スペインが同△0.7%、イタリアが同△1.0%、ドイツが同+0.2%となりました。四半期ベースでは、2026年4-6月期にそれぞれ前期比で+0.7%、+1.7%、+0.4%、+0.6%の伸びとなっています。セクター別では、消費財および中間財の生産が底堅く推移する一方、エネルギーおよび自動車生産は弱含みとなっています。2026年4-6月期の鉱工業生産は前期比+0.9%となり、2025年1-3月期以来の高い伸びを記録しました(2026年1-3月期は前期比△0.8%)。
鉱工業生産はコロナ禍前の水準を2.0%上回っているものの、長期トレンド対比では依然として10.6%下回っています。とりわけドイツではトレンド比20.9%下振れており、ユーロ圏の多くの国で生産活動は依然として潜在的な生産能力を下回る水準にとどまっています。
製造業受注は2ヵ月連続で減少し、モメンタムは引き続き弱含んでいます。製造業センチメントは底打ちの兆しを示しており(長期平均を0.2標準偏差下回る水準)、7月の製造業PMIは51.9と2022年3月以来の高水準となり、新規受注や生産にも改善が見られました。企業の業況期待も改善しており、製造業では59.2、サービス業では58.1へ上昇しました。また、ESI製造業指数は、生産見通しと需要見通しの改善を背景に、2023年5月以来の高水準となりました。今後は、財政支援策やインフラ投資が景気の下支え要因となる見込みです。ただし、イラン情勢を巡る不透明感を背景に、エネルギーコストや金利見通しに関する不確実性は引き続き高い水準にあります。
2026年4-6月期のGDP成長率は前期比+0.4%で確定しました。2026年の実質GDP成長率は平均0.9%と予想されており、従来の0.5%から上方修正されています。一方、イラン戦争の再激化はセンチメントや経済活動に対する下方リスクとなっています。エネルギー価格の上昇はインフレを押し上げるとともに家計の実質所得を圧迫し、個人消費の減速や生産活動の下押しにつながる可能性があります。また、金融環境の引き締まりは、投資や金利感応度の高い支出を抑制することで需要を下押しするとみられます。もっとも、戦略的な公共支出、依然としてタイトな労働市場、過去最低圏にある失業率、なお高水準にある家計貯蓄は景気の緩衝材として機能する可能性があります。これらは実質所得を支え、経済成長への悪影響を和らげる要因となるでしょう。2026年7-9月期入り後のセンチメント改善は、地政学的緊張の緩和が景気の持ち直しを後押しし、経済が堅調な成長軌道へ復帰することを示唆しています。
2026年4-6月期の雇用者数は0.1%増加しました(前年比+0.5%と長期平均を下回る)。失業率は過去最低水準にあり、労働市場は引き続きタイトな状態が続いています。また、労働需要にも足元で改善の兆しがみられます。ESI雇用期待指数は3ヵ月連続で改善し、サービスを除くすべてのセクターで紛争前の水準に近づくとともに長期平均を上回りました。GDPが雇用を上回るペースで拡大したことから、2026年4-6月期の労働生産性は上昇しました。また、賃金上昇率の鈍化を背景に、単位労働コストの伸びは低下しており、国内インフレ圧力も引き続き和らいでいます。
■日本
2026年第4-6月期の実質GDP(国内総生産)成長率は前期比+0.3%と、市場予想を下回り、2026年1-3月期の+0.5%から減速しました。主因は、個人消費が前期比横ばい(前期+0.5%)にとどまったことに加え、民間設備投資が同△0.9%(前期△0.3%)と減少幅を拡大したことです。一方、政府消費は前期比+1.6%(前期+0.4%)と大幅に増加しました。また、純輸出も成長押し上げに寄与したものの、その主因は輸出の伸びが前期比+0.5%(前期+1.7%)へ減速する中、輸入が同△1.5%(前期+0.3%)と減少に転じたことにあります。こうした結果を踏まえ、2026年の成長率見通しを0.7%から0.8%へ小幅に上方修正する一方、2027年の予想は1.2%から1.0%へ下方修正しました。それでも、来年の成長率は引き続き潜在成長率を上回る水準で推移すると見込んでいます。この基本シナリオは、日銀による追加利上げ1回と整合的です。ただし、現時点ではそれ以上の金融引き締めは想定していません。基本シナリオのもとでは、インフレ圧力は引き続き抑制された状態にとどまると見られるためです。
■スイス
連邦経済省経済管轄局 ( SECO )が発表した 2026年4-6月期のGDP(スポーツイベントを除く)速報値は、前期比+1.5%と2021年以来の高い伸びを記録し、市場予想を大幅に上回りました。この力強い結果は、エネルギー価格ショックに対するスイス経済の高い耐性を示すものであり、製造業セクター、なかでも化学・医薬品セクターの好調な活動に加え、サービス業の堅調な生産が成長を牽引しました。また、AIデータセンター向け設備需要の拡大も製造業の追い風となっています。もっとも、今回の速報値は四半期中45日分のデータに戻づいて推計されたものであり、解釈には一定の留意が必要です。この結果は、2026年のGDP成長率が2.0%(従来予測1.2%)、2027年が1.7%(同1.4%)となる可能性を示唆しており、いずれも従来見通しを上回る内容となっています。なお、全ての経済活動データを反映した2026年4-6月期の確報値は9月3日に公表される予定です。
7月の生産者輸入物価は前年比△2.1%と前月から変わらず、3ヵ月連続で下落しました。内訳を見ると、輸入物価の下落幅が前年比△1.5%(前月は△0.7%)へ拡大した一方、生産者物価は9ヵ月連続の下落に歯止めがかかり、おおむね横ばいとなりました。セクター別では、エネルギー製品によるインフレ寄与度は+0.4ポイントと、6月の+1.3ポイントから大幅に縮小しました。スイスフラン安にもかかわらず寄与度が縮小したことは、エネルギー価格上昇局面の終了を改めて示す結果となりました。先行きについては、足元のスイスフラン安を踏まえると、輸入インフレは概ね安定的に推移すると見込まれ、大幅な下押し圧力は想定していせん。
■英国
2026年4-6月期のGDP成長率は前期比+0.4%(前期+0.6%)と、市場予想通り小幅な減速にとどまりました。最も大きな上振れ要因となったのは設備投資で、前期比+1.2%(前期+0.4%)と大幅に加速しました。一方、政府消費は前期比△0.3%(前期+1.3%)と市場予想を下回る結果となりました。純輸出の寄与は概ね中立的でしたが(輸出・輸入ともに前期比+0.5%)、市場予想は上回りました。成長モメンタムの改善は6月の月次GDP推計値にも表れており、前月比+0.3%と、市場が減少を予想していたのに対して増加となりました(5月は横ばいへ下方修正)。セクター別では、サービス業活動が前月比+0.4%(5月+0.1%)と大きく持ち直した一方、製造業活動は同△0.5%(5月△0.2%)と低迷が続きました。建設業も引き続きマイナス寄与となったものの、減少幅は前月の△0.8%から△0.1%へ縮小しました。こうした状況、とりわけ設備投資の力強さとサービス業活動の回復を踏まえ、GDP成長率見通しを上方修正しました。2026年の平均成長率は1.2%(従来予測1.0%)、2027年は1.3%(同1.2%)と見込んでいます。2027年には成長率が潜在成長率に近い水準まで回復すると予想しています。
■中国
7月の経済指標は総じて軟調な内容となり、特に需給面の弱さが目立ちました。小売売上高の前年比成長率が市場予想を大幅に下回ったことが、その代表例です。一方、供給面は比較的底堅さを維持しました。実際、鉱工業生産の前年比成長率は堅調であり、輸出の拡大を下支えするとみられます。引き続き、成長の牽引役は輸出から内需へ、とりわけ個人消費へとシフトしていくと見込んでいます。政府によるターゲットを絞った政策支援と緩和的な金融環境が、家計支出の拡大を後押しすると考えています。
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