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- グローバル・マクロ・ウィークリー・レポート(2026年8月第5週)
ピクテ・アセット・マネジメント マクロ・リサーチ・チームが、世界の主要国における最新のマクロ経済動向を解説いたします。
■米国
8月の地区連銀製造業景況調査は、今後発表されるISM製造業景況感指数に対してやや弱めの示唆を与えています(△0.4ポイント)。これは、同指数が0.5ポイント低下するとの市場予想とほぼ一致しており、それでもなお景況拡大を示す水準を維持する見込みです。こうした動きは、引き続き、製造業セクターの緩やかな回復を示す内容といえます。
7月の個人所得・個人消費支出統計は、家計支出の伸びに鈍化の兆しが見られたことを示しています。これにより、これまで拡大していた所得と支出の乖離は、今後徐々に縮小していくとみられます。実際、可処分所得の伸びは鈍化し、長期平均に近づいています。一方、家計支出はこれまで堅調な伸びを維持しており、大幅な貯蓄取り崩しに支えられてきた結果、貯蓄率は長期平均を大きく下回る水準にあります。こうした大幅な乖離を踏まえると、個人消費の伸びは今後数四半期にわたって鈍化するとみられ、これが今後のGDP(国内総生産)成長率の減速要因になると考えています。
インフレ動向をみると、コアPCEデフレーターは7月も前年比3.3%と横ばいとなり、市場予想と一致しました。今後数ヵ月は高止まりが続き、12月時点でも前年比3.2%となる見込みです。その後は2027年を通じて徐々に鈍化し、特に下期に減速ペースが強まることで、FRB(米連邦準備制度理事会)の目標に近い水準まで低下すると予想しています。(2027年12月時点の予想は前年比2.1%)。コアPCEデフレーターは、2026年平均で前年比3.3%、2027年平均では同2.3%になると見込まれます。
■ユーロ圏
7月の信用残高の伸びは前年比+3.1%へ加速し、モメンタムも強まりました(前期比年率+3.1%、2026年4-6月期同+2.8%)。増加は主として企業向け融資が牽引しています。一方、銀行融資の月次フロー(3ヵ月移動平均)でみた基調的な伸びは、企業向け融資を中心に減速しました。
- 非金融法人(NFC)向け融資残高は前月比+0.4%増加し、基調的な伸びも引き続き堅調です(前年比+3.8%、前期比年率+4.2%、2026年4-6月期同+3.6%)。満期別にみると、すべての期間でプラス寄与となっており、特に5年超の融資の寄与が大きくなっています。一方、家計向け融資の伸びは引き続き鈍化しており(前年比+2.5%、前期比年率+2.2%、2026年4-6月期同+2.3)、勢いを欠く状況が続いています。
- 国別では、銀行融資の伸びはフランス(前期比年率+1.0%)が最も弱く、ポルトガル(同+9.4%)が最も高い状況でした。
- 信用インパルス(経済に供給される新規信用の伸びの加速・減速を表す景気の先行指標)は2026年7-9月期初にGDP比0.5%へ低下しました(2026年4-6第期は同1.1%)。企業向け与信の押し上げ効果が弱まったことが背景ですが、企業向け信用インパルスは引き続き2022年7-9月期以来の高水準を維持しています。一方、家計向け信用インパルスは2四半期連続でマイナスとなりました。2026年4-6月期のECB銀行貸出調査では、銀行は信用条件の緩やかな引き締め継続を見込む一方、企業向け資金需要は2026年7-9月期も増加が続くと予想しています。家計向けについては、貸出基準の厳格化が和らぐとともに、資金需要の減少幅も縮小する見通しです。
8月のESI(ユーロ圏景況感指数)は98.4と4ヵ月連続で上昇し(前月比+1.3ポイント)、市場予想を上回るとともに長期平均に近い水準まで回復しました。製造業、サービス業、小売業で景況感が改善した一方、建設業および消費者の信頼感はほぼ横ばいでした。製造業では、受注残高に対する見方は悪化したものの、生産見通しの改善と完成品在庫の減少を背景に景況感が小幅に上昇しました(+0.4ポイント)。サービス業の景況感は、将来需要に対する見方の改善を受けて比較的大きく上昇しました(+1.1ポイント)。消費者信頼感はほぼ横ばい(+0.1ポイント)となりました。家計収支の先行きに対する見方はやや改善したものの、高額商品の購入意欲の低下や景気見通しの悪化によって、その効果の大半が相殺されました。小売業の景況感は事業見通しの改善を受けて上昇しました(+0.7ポイント)。一方、建設業はほぼ横ばい(△0.2ポイント)となり、受注残高の改善が雇用見通しの悪化によって打ち消されました。雇用期待指数は98.9へ上昇しました。製造業とサービス業で採用計画が改善したことが押し上げ要因となりましたが、小売業と建設業では採用意欲がやや弱りました。販売価格見通しは製造業と小売業で低下し、建設業では小幅に上昇、サービス業では概ね横ばいとなりました。ただし、いずれの業種でも依然として長期平均を上回る水準にあります。一方、消費者の今後12ヵ月のインフレ期待は大幅に上昇しました。
8月の景況感調査では、フランスのINSEE企業景況感指数が98(前月比+1ポイント)へ上昇し、2月以来の高水準となりました。ドイツでも企業景況感が88.8(同+2.1ポイント)、イタリアでは96.9(同+1.2ポイント)へ改善しています。ユーロ圏主要3ヵ国を比較すると、ドイツの企業景況感は長期平均を1標準偏差下回る水準にある一方、フランスとイタリアはそれぞれ0.3標準偏差、0.1標準偏差下回る水準まで回復しており、4月の底入れ以降、改善傾向が続いています。
消費者信頼感はイタリアで94.5(+0.3ポイント)へ上昇し、フランスは86で横ばい、ドイツは△26.6(+2.8ポイント)へ改善しました。主要3ヵ国で比較すると、消費者センチメントはドイツで長期平均を2.2標準偏差、フランスで1.1標準偏差下回る一方、イタリアでは0.3標準偏差上回っています。
ドイツでは、2026年4-6月期のGDP成長率が前期比+0.3%へ上方改定されました(速報値は+0.2%)。輸出が前期比2.0%増、輸入が同1.5%増となったことから、純輸出が成長率を0.2ポイント押し上げました。個人消費は前期比+0.1%と小幅な増加にとどまった一方、設備投資を含む投資は同0.2%減少しました。先行指標は景気回復の継続を示しており、今後は重点的な財政支出が主要な牽引役になると見られます。GDP成長率は2026年平均で1.0%となる見通しです。
8月のifo企業景況感指数は88.8へ上昇し、市場予想を上回りました。現況指数は88.5(+2.0ポイント)、期待指数は89.1(+2.3ポイント)へ上昇し、いずれも市場予想を上回っています。改善は幅広い業種に広がりました。製造業関連の景況感指数は長期平均をほぼ回復し、2021年6月以来の高水準となっています。製造業は、防衛支出やインフラ投資を中心とする財政刺激策の恩恵を受けるとみられ、エネルギー価格や金利を巡る不確実性が残る中でも、回復基調を維持する見通しです。
フランスでは、2026年4-6月期のGDP成長率が前期比0.0%へ下方改定されました(速報値は+0.2%、2026年1-3月期は△0.2%)。主な下押し要因は在庫の減少で、前期比△5.0%、成長率への寄与度は△0.8ポイントとなりました。民間投資は前期比△0.3%(寄与度△0.1ポイント)となった一方、個人消費は前期比+0.3%(寄与度+0.2ポイント)と底堅く推移しました。また、輸出が前期比+2.0%、輸入が同+1.1%となったことで、純輸出は成長率を0.6ポイント押し上げました。GDP成長率は2026年平均で0.5%となる見通しです。
■日本
7月の経済指標は、特に需要面を中心に総じて市場予想を上回る強い内容となりました。小売売上高は名目・実質ともに力強い伸びを示し(前年比+4.0%)、増加基調が続いています。供給面では、鉱工業生産も市場予想に反して増加したものの、需要回復のペースにはなお及んでいません。需要・供給の両面で関連指標の改善が続いており、景気の底堅さを示しています。総じて、今回の結果は、2026年のGDP成長率が潜在成長率並みの0.8%、2027年には潜在成長率をやや上回る1.0%になるとする当社の基本シナリオと整合的な内容となりました。
8月の東京都区部消費者物価指数(CPI)速報値は前年比+1.9%と落ち着いた伸びを維持しました。生鮮食品とエネルギーを除くコア指数も前年比+2.0%で横ばいとなり、日本銀行の物価目標と一致しています。総じて、先行性の高い物価指標からは、インフレの勢いが一段と強まる兆候は確認されていません。この点は、2026年10-12月期に追加利上げが1回実施されることで、その後のインフレ動向は引き続き抑制されたものにとどまるとの当社の見方と整合的です。
■スイス
8月のKOF景気先行指数は106.7へ上昇し、再び市場予想を上回りました。指数はトレンド水準を大きく上回っており、前月分も上方修正されたことから、景気見通しはさらに改善しています。内訳を見ると、今回の上昇は製造業、その他サービス業、海外需要関連の項目が牽引しました。一方、個人消費関連の指標にはやや弱さが見られます。生産部門(製造業・建設業)では、多くの項目で改善がみられます。特に、中間財在庫、雇用見通し、生産活動、受注残高に関する項目が、先行きの改善を示しています。
製造業内の業種別指標についても、総じて前向きな内容となりました。金属産業および繊維産業では良好な動きが続いている一方、紙・印刷産業のサブ指標はやや弱含みとなっています。
総じて、今回の結果は、2026年4-6月期にみられた力強いGDP成長モメンタムが同7-9月期も維持される可能性を示唆しています。また、2026年の成長率が潜在成長率を上回るとする当社の見通しを改めて裏付ける内容となりました。
■中国
2026年1月から7月までの工業利益は4兆5,800億人民元と前年比17.6%増加しました。1月から6月の同18.7%増からは鈍化したものの、引き続き高い伸びを維持しています。業種別では、コンピュータ・通信・その他電子機器(前年比+110%)、非鉄金属の製錬・圧延(同+91.8%)、化学(同+56.6%)が特に大きく増加しました。7月単月では工業企業利益は前年比11.2%増となり、6月の同15.1%増から減速し、年初来で最も低い伸びとなりました。
8月の製造業PMI(公式)は49.8と、7月の49.2から上昇し、市場予想をやや上回りました。ただし、2ヵ月連続で景況感の分岐点である50を下回っており、引き続き縮小圏にあります。内訳を見ると、生産は50.4と拡大圏に復帰し、新規受注も50.6へ上昇するなど、活動指標には改善が見られました。一方、雇用は48.7へ低下し、原材料在庫も引き続き減少しました。価格面では、仕入れ価格が56.6へ上昇し、出荷価格も50.4と拡大圏に回復するなど、価格圧力は強まりました。一方、企業の業況見通しは53.8と5ヵ月ぶりの低水準へ低下しました。
非製造業PMI(公式)は8月も49.0と前月から横ばいとなり、市場予想を下回りました。サービス業活動は引き続き縮小を示しています。建設業は46.9へ小幅に低下しました。サービス業の内訳にはばらつきが見られ、卸売、小売、金融・資本市場関連サービスは50を下回った一方、郵便、通信、IT関連サービスは引き続き堅調でした。新規受注は44.1へ一段と低下し、サービス需要の弱さが重荷となりました。雇用も45.4と低迷が続いています。また、仕入価格は再び拡大圏に入り、企業の業況見通しは55.0へ小幅に低下しました。
総合PMIは8月に49.5と、7月の49.3から小幅に上昇しましたが、2ヵ月連続で縮小圏にとどまりました。製造業の生産活動が拡大圏に復帰したことが押し上げ要因となった一方、サービス業の弱さが引き続き全体の重荷となっています。国内需要の弱さと不動産市場の低迷が引き続き景気の主な下押し要因となっているほか、貿易摩擦も外部環境の不確実性を高めています。
■スウェーデン
スウェーデンでは、2026年4-6月期のGDP成長率が大幅に加速し、好調な国内需要が成長を牽引しました。今後も潜在成長率を大きく上回るペースでの拡大が続く見込みです。特に、民間投資の大幅な増加に加え、政府消費と個人消費も堅調に推移しました。純輸出も成長を押し上げています。こうした状況を踏まえ、当社は成長率見通しを大幅に上方修正し、2026年は前年比3.0%(従来予想2.0%)、2027年は同2.9%(従来予想2.5%)と予想しています。また、インフレ率は今年も低位で推移し、来年も十分に抑制された状態が続く見通しです。このため、マクロ経済環境は極めて良好であり、リスク資産にとって追い風になると考えられます。
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