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グローバル・マクロ・ウィークリー・レポート(2026年8月第6週~9月第1週)
2026/09/09

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概要

ピクテ・アセット・マネジメント マクロ・リサーチ・チームが、世界の主要国における最新のマクロ経済動向を解説いたします。



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■米国

8月のISM製造業景況感指数は予想以上に低下し、8月上旬に公表された地区連銀製造業景況調査が示唆していた以上の悪化となりました(地区連銀調査では△0.4ポイント)。もっとも、指数は54.6(△1.0ポイント)と低下したものの、引き続き拡大圏を維持しており、製造業セクターの緩やかな回復基調に変化はみられません。内訳を見ると、活動関連項目が全体の重荷となっており、新規受注や雇用の弱さが指数の押し下げ要因となりました。一方、仕入価格は71.1と高水準で横ばいとなり、供給面からのインフレ圧力が引き続き強いことを示しています。

項目別に見ると、新規受注、生産、雇用がそろって前月から低下しました。新規受注は53.7(前月比△3.0ポイント)、生産は58.3(同△0.2ポイント)、雇用は51.2(同△1.6ポイント)となっています。もっとも、雇用は低下したものの、前月に2023年9月以来初めて拡大圏へ回復した後、2ヵ月連続で拡大圏を維持しています。ISMのプレスリリースによれば、製造業活動は引き続き拡大圏にあるものの、「新規受注など主要項目のいくつかで勢いが鈍化している」と指摘されています。また、仕入価格は71.1で横ばいでしたが、多くの回答者が引き続き、価格やサプライチェーンを巡る問題を指摘しています。具体的には「AI関連で需要が急増しているコモディティの価格上昇」、「イラン紛争の終結時期を巡る大きな不確実性」、そして「米国の関税政策の再変更」などが挙げられました。サプライヤー納期は59.3(前月比+0.4ポイント)と2ヵ月連続で上昇しました。これは納期の長期化を報告する企業の割合が増加したことを示しており、短期的な供給制約やインフレ圧力の高まりを示唆しています。

8月のISM非製造業景況感指数は市場予想を上回って上昇し、55.4(7月は54.1)と拡大ペースを一段と強めました。上昇は幅広い項目に及びましたが、懸念されるのは仕入価格が7月の70.3から72.6へ急上昇し、約4年ぶりの高水準に達した点です。これは、供給面からのインフレ圧力が再び強まっていることを示唆しています。活動項目をみると、新規受注が57.2から60.9へと急上昇し、2023年2月以来の高水準となりました。需要の底堅さが引き続き確認される内容です。一方、雇用は47.4から47.8へ小幅に上昇したものの、依然として50を下回っており、サービス業における雇用の縮小が続いていることを示しています。総じて、8月の結果はサービス業の底堅い成長を改めて確認する内容となりました。活動水準は当社のメインシナリオが想定するペースを上回っていますが、物価上昇圧力の再加速は今後のインフレ見通しを複雑にする要因となっています。

7月の製造業受注は総合およびコア(除輸送機器)ともに市場予想を上回り、過去2ヵ月の弱さを取り戻す結果となりました。総合指数は前月比+0.9%(前月は△0.2%から小幅上方修正)、輸送機器を除くコア指数は同+0.6%(前月は△0.1%から上方修正)となりました。いずれもコロナ禍前のトレンドを大きく上回る水準を維持しており、設備投資の底堅さを示す内容となっています。一方、やや弱かったのはコア資本財受注(非国防・除航空機)で、6月の前月比+1.7%という力強い伸びの後、7月は前月比横ばいとなりました。ただし、これは小幅な調整にとどまっており、設備投資の前向きな見通しを変えるものではありません。総じて、7月の結果は投資活動の底堅さが続くとの当社のメインシナリオと整合的な内容となりました。また、変動の大きい製造業受注全体に対し、コア資本財受注の基調は安定しており、この対照的な動きが引き続き統計上の特徴となっています。

8月の雇用統計は総じて市場予想を上回る強い内容となり、労働市場の回復を示しました。特に非農業部門雇用者数(NFP)は16万2,000人増と市場予想を大幅に上回りました。7月分も従来の2万3,000人減から2万1,000人増へと上方修正されており、2ヵ月間合計の改定値は5万5,000人の上方修正となりました。雇用の増加は主に民間部門、とりわけレジャー・ホスピタリティ部門が牽引しています。直近3ヵ月間の雇用者数増加は平均7万1,000人まで持ち直しました。この水準は、米国経済が潜在成長率並み、もしくはやや上回るペースで拡大する際に見られる標準的な雇用創出ペースと整合的です。一方、失業率は市場予想通り4.1%で横ばいとなり、均衡的な水準で安定的に推移しています。労働参加率は61.6%へ0.2ポイント上昇し、約1年ぶりの改善となりました。これまでの低下傾向に変化の兆しが見られます。U6失業率(広義の失業率)は7.7%と前月から0.2ポイント低下しましたが、依然として高めの水準にあります。賃金動向を見ると、平均時給の伸びは前年比3.1%と前月から0.1ポイント鈍化し、減速基調が続いています。2022年のピーク時に6%近くまで上昇した後は明確な低下傾向をたどっています。ただし、賃金上昇率は依然としてインフレ率が目標水準で推移する場合と整合的とされる2.5%〜3.0%のレンジを上回っています。

総じて、8月の雇用統計は市場予想を上回る内容となり、7月の弱い結果からの回復を示しました。雇用者数の増加ペースは持続可能な水準へ回復しており、経済が潜在成長率並み、もしくはやや上回るペースで拡大する状況と整合的です。こうした結果は、労働市場の需給が再び引き締まりつつあることを示唆しています。このため、最近のFRB(米連邦準備制度理事会)高官によるややタカ派的な発言を後押しし、市場では利上げ時期の見通しが前倒しされる可能性があります。したがって、今回の結果は、今後1年間のFF金利据え置きを前提とする当社のメインシナリオに対して上振れ要因となる可能性があります。

■ユーロ圏

8月の総合CPI(消費者物価指数)は前月比+0.4%と、7月(同+0.3%)および6月(同△0.1%)から伸びが加速しました。中東における地政学的緊張の高まりを受けた原油価格の上昇を背景に、前年比でも市場予想通り+3.3%へ加速しました。一方、コアインフレ率は前年比+2.4%へ低下し、市場予想の横ばいを下回りました。前月比では+0.2%と長期平均を上回る伸びとなったものの(7月+0.3%、6月+0.1%)、コアCPIインフレのモメンタムは前期比年率+2.6%へ鈍化しました。

- 財価格インフレ率は前年比+1.2%と、2024年2月以来で最も高い伸びとなりました(前回+0.9%)。企業は原油・ガス価格の上昇による新たなコスト圧力に直面しており、国内需要が底堅く推移すれば、エネルギー関連コストの上昇を企業が最終価格に転嫁する動きが強まる可能性があります。一方、サービスインフレ率は前年比+3.0%へと3ヵ月連続で低下しました。依然として高水準ながらも鈍化傾向にある賃金上昇が背景にあり、月次CPI上昇率への寄与は42%となっています。前期比年率で見たモメンタムも+3.0%へと鈍化しました。食品インフレ率は前年比+1.2%で横ばいとなった一方、エネルギー価格は前年比+14.3%と2023年1月以来の高い伸びとなり、8月のCPI上昇への寄与は41%に達しました。

- 国別では、ドイツが前年比+2.8%、フランスが+2.4%、スペインが+3.5%へ上昇した一方、イタリアは+2.9%へと低下しました。

- インフレ圧力は製造業を中心に緩和が続いており、その主因は投入コストの低下です。製造業・サービス業ともに、投入価格の低下ペースが産出価格を上回っています。このことは、企業はコスト低下を販売価格に十分には反映しておらず、その結果として利益率の回復が進んでいることを示しています。販売価格見通しはすべての業種で低下が続いていますが、依然として長期平均を大きく上回る水準にあります。また、消費者の今後12ヵ月のインフレ期待は大幅に低下しました。もっとも、中東情勢を巡る地政学的緊張の高まりを受けて原油価格が4月以来の高水準へ上昇したことで、インフレの上振れリスクは高まっています。

- 中期的なインフレ期待はECB(欧州中央銀行)の目標近傍で安定しています。2026年7-9月期のECB専門家予測調査(SPF)では、5年先の期待インフレ率は2.0%で据え置かれた一方、1年先の期待インフレ率は2.2%へ上昇しました(前回2.1%)。また、8月の5年先5年物インフレスワップレートは前年比+2.2%へ小幅上昇しました。交渉賃金の伸びは2026年4-6月期に前年比+2.4%へと鈍化しました(前回+2.6%、2024年7-9月期のピークは+5.6%)。一方、Indeed賃金トラッカーは7月に前年比+3.3%となり、3ヵ月移動平均ベースでも+3.0%へ加速しました。労働市場は引き続き逼迫しており、失業率は7月も過去最低水準の6.4%にとどまっています。また、雇用の伸びは2026年4-6月期に前期比+0.1%(前年比+0.5%)と長期平均を下回る水準にとどまったものの、足元では労働需要に改善の兆しがみられます。GDP(国内総生産)成長率が雇用の伸びを上回っていることから、2026年4-6月期には労働生産性が上昇しました。これに賃金上昇率の鈍化も加わり、単位労働コストおよび国内的なインフレ圧力の低下が続いています。もっとも、労働需要の回復は賃金上昇を下支えし、サービスインフレ率の一段の低下を抑制する可能性があります。

-当社では、インフレ率は2026年平均で+2.9%、2027年平均で+2.6%になると予想しています。前年比上昇率は10月に+3.4%でピークを迎えた後、2027年4月に基準効果による大幅な低下が生じるまで、概ね+3.3%前後で推移するとみています。

7月の小売売上高は前月比△0.6%と、市場予想に反して減少しました(前月は+0.2%へ上方修正)。モメンタムは前期比年率+1.0%へ鈍化しており、2026年4-6月期の同+1.3%を下回りました。前年比では+0.8%と、長期平均の+1.1%を下回っています。

個人消費は2026年1-3月期も回復基調を維持しており、主に財消費(前期比+0.9%)が牽引した一方、サービス消費の伸びは前期比+0.3%と比較的緩やかにとどまりました。前年比でみると、財消費は+0.6%と長期平均並みの伸びを維持している一方、サービス消費は+2.8%と、長期平均の+5.0%を大きく下回っています。また、水準でみると、個人消費全体は依然としてトレンドを7%下回っています。内訳では、財消費がトレンド比△8%と、サービス消費(同△6%)に比べて回復の遅れが目立っています。

消費者センチメントには安定化の兆しが見られます。欧州委員会の消費者信頼感指数は8月も上昇し、4ヵ月連続の改善となりました。今後の消費支出の回復を示唆する内容です。

下振れリスクとしては、エネルギー価格の上昇による家計所得の圧迫に加え、景気見通しを巡る不確実性が家計の慎重姿勢を長引かせることで、民間消費の正常化が遅れる可能性が挙げられます。もっとも、2026年1-3月期の貯蓄率は14.3%と長期平均の13%を上回っており、家計の緩衝材として機能しています。今後、不確実性の低下や実質金利のマイナス圏での推移が続けば、予備的な貯蓄需要が弱まり、消費回復のペースが加速する可能性があります。

ドイツでは、7月の鉱工業関連指標は強弱入り混じる内容となりましたが、全体としてはインフラ投資や防衛支出を背景とした内需主導の景気回復の兆しが見られます。7月の鉱工業受注は前月比+2.5%と市場予想を上回る増加となりました(前月は+3.7%へ上方修正)。資本財受注(前月比+2.4%)や国内受注(同+9.1%)の増加が主な押し上げ要因となりました。一方、海外需要は前月比△2.1%と減少したものの、ユーロ圏向け受注は同+12.1%と大きく持ち直しました。鉱工業受注のモメンタムは改善が続いており、前期比年率では+12.0%と、2026年4-6月期の+6.6%から加速しています。防衛・弾薬関連産業に加え、輸送機器でも軍事支出の波及効果が見られ、防衛関連分野が全体を牽引しています。前年比で見た受注の伸びは長期平均を上回っているものの、水準ベースでは依然としてトレンドを7.3%下回っています。

7月の鉱工業生産は前月比△1.1%と、市場予想に反して減少しました(前月は0.0%へ下方修正)。主な下押し要因は自動車部門で、数週間にわたる生産停止の影響から前月比△9.2%となりました。エネルギーおよび建設を除く鉱工業生産は前月比△2.2%となり、消費財生産(同△2.2%)および資本財生産(同△3.4%)の減少が重荷となりました。もっとも、生産のモメンタムは引き続き底堅く、前期比年率では+1.8%と、2026年4-6月期の+2.1%に近い水準を維持しています。前年比では△1.6%と長期平均(+0.6%)を下回っており、水準ベースでは、コロナ禍前を12%、トレンドを22%下回っています。

製造業のセンチメントには底入れの兆しがみられ、景気循環的な回復を示唆しています。製造業関連の景況感指数は長期平均を0.1標準偏差下回る水準まで回復しており、2021年6月以来の高水準となっています。地政学的緊張を背景にエネルギー価格や金利を巡る不確実性は残るものの、防衛支出やインフラ投資を中心とする財政刺激策が製造業活動を下支えするとみられます。

ザクセン=アンハルト州議会選挙では、AfD(ドイツのための選択肢)が過去最高となる44%の得票率を獲得した一方、CDU(キリスト教民主同盟)は17.5%へ低下しました。もっとも、AfDは単独過半数には届かず、政権獲得には他党との協力が不可欠です。しかし、これまでのところ主要政党はAfDとの協力を拒否しており、いわゆる「防火壁」が維持されています

この防火壁が維持される限り、連邦レベルの財政・防衛・インフラ政策への直接的な影響は限定的とみられます。一方で、政治的な分断が強まることで、州レベルでの政策実行が遅れる可能性があります。仮に防火壁が崩れた場合には、移民政策や再生可能エネルギー投資、労働供給、財政規律を巡る不確実性が高まる可能性があります。また、メルツ首相に対して、成長、生活コスト、移民問題への迅速な対応を求める政治的圧力が強まると見られます。

■中国

直近のPMIは、民間部門の活動が引き続き減速していることを示しており、製造業・サービス業ともに8月は縮小圏にとどまりました。

NBS総合PMIは8月に49.5と、7月の49.3から小幅に上昇したものの、2ヵ月連続で50を下回りました。製造業・サービス業ともに活動の減速が続いていることを示しています。製造業PMIは49.8と、7月の49.2から持ち直し、市場予想の49.5を上回りました。ただし、生産や需要の改善だけでは国内需要の弱さによる下押し圧力を吸収し切れず、2ヵ月連続で縮小圏にとどまりました。

NBS非製造業PMIは49.0と前月から横ばいとなり、市場予想を下回りました。2ヵ月連続で縮小圏にとどまる中、新規受注は引き続き低迷しており、雇用も減少が続いています。労働市場の軟調な状況に改善の兆しはみられません。

価格動向をみると、方向感に乏しい状況が続いています。燃料費や人件費の上昇を背景に、一部業種ではコスト上昇圧力が残る一方、サブ指数が示す広範な需要の弱さを踏まえると、企業の価格転嫁力は依然として限定的です。産出価格には引き続き下押し圧力がかかっており、9月に需要が回復しなければ、企業収益環境は一段と厳しくなる可能性があります。国務院は国内需要の拡大に向けて「強力な」政策措置を講じる方針を示しており、今後数ヵ月の景気を一定程度下支えすると見られます。

RatingDog総合PMIは52.1と、前月の50.8から上昇し、数ヵ月ぶりの低水準から回復しました。縮小圏にとどまるNBS調査とは対照的に、民間調査では景況感の改善がうかがえます。

RatingDog製造業PMIは50.9から51.5へ上昇し、市場予想を上回りました。生産および新規受注の持ち直しを背景に、9ヵ月連続で拡大圏を維持しています。RatingDogサービス業PMIは50.4から51.4へ持ち直しました。ただし、サービス業の勢いは引き続き緩やかな拡大にとどまっていることを示しています。



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