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- グローバル・マクロ・ウィークリー・レポート(2026年9月第4週)
ピクテ・アセット・マネジメント マクロ・リサーチ・チームが、世界の主要国における最新のマクロ経済動向を解説いたします。
■米国
9月の地区連銀製造業景況調査はこれまでのところ軟化しており、ISM製造業景況指数については▲0.9ポイントの下押しを示しています。ただし、この弱い先行指標にもかかわらず、ISM指数は引き続き拡張圏を維持する見込みです。これまでに公表された4つの地区連銀のうち、フィラデルフィア連銀、ニューヨーク連銀、リッチモンド連銀は低下した一方、カンザスシティ連銀のみが小幅に改善しました。今後公表されるダラス連銀およびシカゴ購買部協会景気指数(PMI)を踏まえることで、より全体像が明らかになる見込みです。ニューヨーク連銀およびフィラデルフィア連銀調査をみると、企業活動関連項目が大きく低下する一方、価格関連項目はインフレ圧力の高まりを示しており、9月はスタグフレーションリスクが再び強まっています。
一方、地区連銀調査とは対照的に、9月のS&PグローバルPMIは改善しました。製造業PMIは57.0(前月比+3.1ポイント)、サービス業PMIは58.7(同+2.2ポイント)へ上昇し、いずれも拡大圏で一段と持ち直しました。これは、下方修正を見込んでいた市場予想に反する結果です。総じて、地区連銀調査とS&PグローバルPMIは相反するシグナルを示しており、今後のISM指数や製造業の回復ペースを巡る評価はなお分かれています。
8月の耐久財受注は前月比横ばいとなりましたが、減少を見込んでいた市場予想を上回りました。特に、防衛・航空機を除くコア受注は前月比+1.6%と、7月に続いて力強い伸びを示しました。
総合指数が横ばいとなったのは、金属加工製品および輸送機器の新規受注の減少を、電気機器、機械、一次金属の受注増加が相殺したためです。輸送機器を除く耐久財受注(前月比+0.3%)およびコア資本財出荷(同+0.6%)は市場予想をやや下回った一方、コア資本財受注(同+1.6%)は市場予想を上回りました。7月分については、耐久財受注が+0.9%へ下方修正(▲0.2ポイント)された一方、輸送機器を除く耐久財受注(+0.7%)、コア資本財受注(+0.6%)、コア資本財出荷(+1.4%)はいずれも上方修正されました。総じて、コア耐久財受注の底堅い結果は、当社が算出する非住宅投資関連指標が示す前向きなシグナルと整合的であり、今後の設備投資の堅調さを示唆しています。
8月の新築住宅販売件数は、市場予想を大きく上回り、これまで公表されてきた住宅関連指標の弱さとは対照的な結果となりました。新築一戸建て住宅の販売増加は、南部(前月比+6.9%)および中西部(同+84.9%)が主導しました。中西部の増加率は統計開始以来で最大となりましたが、水準そのものは2025年末頃の水準と概ね一致しています。もっとも、住宅投資関連指標は総じて低調な状態が続いています。
■ユーロ圏
9月の総合PMIは53.0(+0.9ポイント)に上昇し、緩やかな低下を見込んでいた市場予想を上回り、4ヵ月連続で拡大圏を維持しました。製造業PMIは52.7と前月から変わらず、小幅な低下を予想していた市場予想に反して9ヵ月連続で拡大圏を維持しました。サービス業PMIは51.7から53.0に上昇し、市場予想を上回りました。
フランスの総合PMIは48.8から51.2に上昇し、市場予想を上回りました。サービス業が51.4(+3.0ポイント)と回復を牽引し、8ヵ月連続の縮小から拡大圏に転じました。製造業は51.5から50.3に小幅低下し、市場予想を下回ったものの、わずかに拡大圏を維持しました。ドイツの総合PMIは51.0から53.8に大幅上昇し、3ヵ月連続の拡大を継続しました。製造業PMIは54.1から53.8とほぼ横ばいで、2022年5月以来の高水準近傍を維持し、市場予想を上回りました。サービス業PMIは48.5から52.9に回復し、5ヵ月連続の縮小に終止符を打ちました。
項目別にみると、需要は改善しており(新規受注52.8、生産53.1で3ヵ月連続の拡大)、製造業の生産指数は52.9と2022年3月以来の最高水準に上昇しました。新規受注と生産はいずれもモメンタムが改善しています。企業はサプライチェーン混乱リスクへの備えとして受注を前倒ししており、これに加えて防衛支出の拡大やインフラ・AI関連投資も追い風となっています。一方、イラン情勢を背景に、エネルギーコストの上昇や金利を巡る不透明感は依然として高い状況にあります。企業の業況感見通しは、製造業で60.8に低下した一方、サービス業では57.6に上昇しました。雇用は50.8で安定しており(製造業は50.0に低下、サービス業は51.1に上昇)、製造業・サービス業ともに投入価格が上昇し、サービス業では産出価格も上昇するなど、価格圧力が高まっています。
総合PMIに基づく実質GDP成長率の推計では、2026年7-9月期の成長率は0.4%となり、欧州中央銀行(ECB)および当社予想を上回る水準が示唆されています。イラン情勢の再緊迫化は、景況感および経済活動の下振れリスクとなっています。また、地政学的緊張の高まりを受けた原油・天然ガス価格の上昇により、インフレの上振れリスクも高まっています。一方で、PMIの改善は、地政学的緊張が緩和した場合、景気がより堅調な成長軌道へ回帰する可能性を示唆しています。
欧州委員会の消費者信頼感指数は9月に5ヵ月ぶりに低下し、▲16.5と市場予想を下回り、長期平均を下回ったままとなっています。中東情勢の再緊迫化を受け、ブレント原油価格が1バレル=105米ドル、TTFガス価格が72ユーロ/MWhに上昇するなか、消費者支出の弱さを示しています。下振れスクとしては、エネルギー価格の上昇による実質所得の圧迫や、不確実性の高まりによる予備的貯蓄行動の継続が個人消費の回復を遅らせる可能性が挙げられます。もっとも、2026年1-3月期の貯蓄率は14.3%と長期平均(13%)を上回っており、家計部門の緩衝材となっています。
信用残高の伸びは8月に前年比+3.1%で安定し、モメンタムも強まりました(前期比年率+3.2%、2026年4-6月期の同+2.8%から上昇)。増加は主として家計向け融資が牽引しています。一方、銀行融資の月次フロー(3ヵ月移動平均)でみた基調的な伸びは、企業向け融資を中心に減速しました。
- 非金融法人(NFC)向け融資残高の伸びは、1月以来の減少となりました(前月比▲0.1%)。もっとも、基調的な伸びは引き続き堅調で、前年比+3.7%、前期比年率+4.5%、2026年4-6月期の同+3.6%から加速しています。満期別にみると、1年超5年以下の融資がマイナス寄与となっています。一方、家計向け融資の伸びは安定しており(前年比+2.5%、前期比年率+2.2%、2026年4-6月期は同+2.3%)、ほぼ横ばいで推移しています。
- 国別では、銀行融資の伸びはドイツ(前期比年率+1.9%)が最も弱く、アイルランド(同+10.1%)が最も高い状況でした。
- 信用インパルスは2026年7-9月期にGDP(国内総生産)比0.6%へ低下しました(2026年4-6月期は同1.1%)。企業向け与信の寄与縮小が主因となった一方、家計向け信用インパルスは3四半期ぶりに小幅ながらプラスに転じました。2026年4-6月期のECB銀行貸出調査では、銀行は信用条件の緩やかな純引き締め継続を見込む一方、2026年7-9月期の企業向け資金需要は引き続き増加すると予想しています。家計向けについては、貸出基準の厳格化が和らぐとともに、資金需要の減少幅が縮小すると見込んでいます。
ドイツでは、9月のifo企業景況感指数が89.9へ上昇し、市場予想を上回りました。
現況指数は89.5(+1.0ポイント)へ小幅上昇し、期待指数は90.4(+1.4ポイント)へ上昇して市場予想を上回りました。改善は建設業を除く幅広い業種に広がっています。製造業のifo・PMI指標は長期平均を0.1標準偏差下回る水準まで改善しており、2021年6月以来の高水準となっています。
地政学的緊張を背景にエネルギーコストの上昇や金利を巡る不透明感は続くものの、防衛支出の拡大やインフラ投資を中心とする財政刺激策が、今後の製造業活動を下支えするとみられます。
■日本
9月のPMIは、サービス業を中心に軟化し、製造業PMIも小幅に低下しました。ただし、いずれも引き続き拡大圏を維持しています。総合PMIは52.5(▲1.0ポイント)へ低下したものの、引き続き拡大圏にあり、2026年7-9月期のGDPが緩やかな成長を維持していることを示唆しています。
■スイス
スイスでは、スイス国立銀行(SNB)理事会がSARON金利(翌日物平均金利)目標を0.0%に据え置きました。会合では概ね中立的なトーンが維持されたものの、短期的にはややタカ派寄りの姿勢が示されました。条件付きインフレ見通しについては、エネルギー価格の上昇による財価格の押し上げとスイスフラン安を背景に、2026年は0.7%(従来0.6%)、2027年は0.8%(同0.6%)へそれぞれ上方修正されました。一方、2028年のインフレ見通しは、0.8%(同0.7%)へ小幅な上方修正にとどまりました。SNBは今後数四半期にわたり原油価格が安定し、その後低下すると見込んでいます。短期的なインフレ率の上昇にもかかわらず、インフレ圧力は依然として低水準であり、現在の金融政策スタンスが引き続き適切であることを示しています。これは、景気見通しに対する慎重ながらも前向きな評価とも整合しています。SNBは2026年4-6月期のGDP成長率が化学・製薬業界の力強い成長を背景に例外的に高かったと指摘した一方、今後数四半期の成長率は潜在成長率に近い水準へ鈍化すると予想しています。理事会は2026年のGDP成長率を1.5〜2.0%と見込む一方、2027年は1.5%程度へと鈍化すると予想しています。総じて、条件付きインフレ見通しとフォワードガイダンスは、現在の緩和的な金融政策スタンスが引き続き適切であることから、SNBが利上げを急いでいないことを確認する内容となりました。当社のメインシナリオでは、SNBはSARON金利目標を当面0%に据え置き、2027年6月に25bpsの利上げを1回実施して金融引き締めを開始すると見込んでいます。もっとも、金利見通しのリスクは上方向に傾いています。原油価格がさらに上昇し、とりわけ貿易加重ベースでスイスフラン安が長期化した場合には、利上げ時期が2027年3月へ前倒しされる可能性があります。市場の反応は、金利市場よりも為替市場で大きく、スイスフランは再び下落しました。これはSNBにとっても歓迎すべき動きであり、金融環境の緩和を通じて経済成長を下支えすることになります。その結果、SNBが外国為替市場へ介入する必要性はさらに低下したと考えられます。今回の声明文で最も大きな変更点は、為替介入に関する表現です。3月に導入され、6月会合でも維持されていた「外国為替市場への介入に対する積極姿勢」との文言は声明文から削除されました。SNBはスイスフランに対する懸念の後退を反映し、「適切な金融環境を確保するため、必要に応じて外国為替市場で行動する用意がある」との、より中立的な表現へ変更しました。
■スウェーデン
スウェーデンでは、リクスバンク(中央銀行)が政策金利を据え置いた一方、タカ派的な姿勢を示しました。理事会は、経済活動が予想を上回って推移していることから、政策金利は6月時点の見通し以上に引き上げる必要があるとの認識を示しました。インフレ率は足元で低水準にとどまっていますが、その主因はエネルギー価格ショックを抑制するために導入された一時的な財政措置にあります。こうした措置の影響を除くと、インフレ率は依然として抑制されているものの、実際には2%近傍で推移しています。また理事会は、複数の指標が通常を上回るインフレ圧力を示しており、GDP成長率の堅調さとともに短期的にはインフレ率の上昇が見込まれると指摘しました。更新された経済見通しでは、CPIFインフレ率は2026年に1.5%(従来1.1%)、2027年に2.1%(同1.7%)へ上方修正されました。一方、2028年は2.4%と、従来の2.8%から下方修正されています。経済見通しについても、GDP成長率予測は2026年が2.8%(従来2.2%)、2027年にさらに2回の利上げが示されました。これは市場の織り込みをわずかに下回る水準です。
こうした見通しを踏まえ、政策金利見通しでは2026年10-12月期に1回、2027年にさらに2回の利上げが示されました。これは市場の織り込みをわずかに下回る水準です。総括すると、当社はメインシナリオを変更し、11月に1回の利上げを実施した後、レポ金利は当面2%で維持されると予想しています。もっとも、金利見通しのリスクは引き続き上方向に傾いています。
■ノルウェー
ノルウェーでは、ノルゲス・バンク(中央銀行)が政策金利を25bps引き上げ、4.5%としました。市場予想通りの結果でしたが、今回の利上げは政策金利が最終到達点に達したことを示唆する、ややハト派的な内容となりました。今回の決定は、インフレ率が長期間にわたり目標を上回る高水準で推移していることを背景としています。ノルゲス・バンクは、インフレ率を2%目標へ押し下げるためには、引き締め的な金融政策スタンスを維持する必要があるとの認識を示しました。フォワードガイダンスでは、政策金利を高水準でしばらく維持する必要性が示されたほか、追加的な金融引き締めが必要となる可能性にも言及しています。一方で、経済活動は鈍化しており、設備稼働率の低下にもその傾向が表れています。総じて、当社はノルゲス・バンクが当面金利を据え置くと予想していますが、そのスタンスは引き続きタカ派的とみています。もっとも、金利見通しのリスクは上方向に傾いており、原油価格のさらなる上昇やノルウェークローネ安が進んだ場合には、追加利上げが実施される可能性も残っています。
■英国
英国では、9月のPMI調査がサービス部門を中心に軟化し、サービス業PMIは51.7(▲0.8ポイント)に低下した一方、製造業PMIは52.0(+0.3ポイント)と小幅に改善しました。総合PMIは51.7(▲0.8ポイント)に低下したものの、引き続き堅調なGDP成長を示唆しています。一方、より良好なシグナルとなったのが9月のGfK消費者信頼感指数です。同指数は▲13(前月▲14)へ改善し、悪化を見込んでいた市場予想に反する結果となりました。改善は幅広い項目に及んでおり、労働市場のモメンタムにはやや鈍化がみられるものの、需給は依然として引き締まっていることから、今後の個人消費を下支えする可能性が示唆されています。
詳細をみると、消費者信頼感の改善は幅広い項目に及んでいます。過去1年間の家計状況に対する見方は▲6から▲3へ改善したほか、先行きの見方を示す指標も4から5へ上昇しました。4月には▲4だったことを踏まえると、家計は生活費上昇による圧迫の最悪期をすでに通過したと考え始めていることがうかがえます。
より広範な景況感指標も同様の改善を示しています。過去1年間の景況感指標は▲40から▲36へ改善し、4月の▲51から大きく持ち直しました。また、1年先の景況感指標も▲23から▲22へ小幅に改善し、4月の▲43から大きく回復しています。期待インフレ率も93から91へ低下し、4月の110から大幅に低下しました。
もっとも、すべての項目が改善したわけではありません。高額商品の購入意欲は▲7から▲8へ小幅に低下した一方、貯蓄意欲は22から27へ上昇しました。ただし、7月から8月にかけての低下が反転したことを踏まえると、全体としては家計に先行きに対する見方が改善していることを示唆しています。
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