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- 4月のFOMC:反対票増加とパウエル議長の去就
4月のFOMCでは政策金利が据え置かれたが、反対票が4人と異例の多さとなった。3人は声明文の金融緩和示唆に反対し、1人は利下げを主張した。パウエル議長は議長退任後も理事に留まる意向を表明し、中銀の独立性維持を理由とした。次期議長ウォーシュ氏の承認も進み、今後の理事構成や政策運営への影響が注目される。経済認識や声明文の変化は限定的だった。
4月のFOMC、市場予想通りの据え置きながら、4名が反対票を投じた
米連邦準備制度理事会(FRB)は4月28日~29日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、市場予想通り政策金利(フェデラルファンド(FF)金利)の誘導目標を3.50%-3.75%で据え置いた(図表1参照)。今回のFOMCでのサプライズは反対票を投じたのが合計4人にとなったことだ。3人(クリーブランド連銀のハマック総裁、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁、ダラス連銀のローガン総裁)は据え置きについては支持したものの、今回の声明に将来的な金融緩和を示唆する文言を盛り込むことに反対した。残り1人はミラン理事で0.25%の利下げを主張した。タカ派(金融引き締めを選好)寄りのFOMCを受け、当日の米2年国債利回りは前日比で0.1%ポイント超上昇した。
パウエル議長は5月に議長を退任しても、理事にはとどまることを示唆
無風の可能性もあった4月のFOMCだが、何点か注目ポイントがあった。1点目は4人の反対票、2点目はパウエル議長が、5月の議長退任後も理事にとどまる意向を明言したことだ。景気認識に関する声明文の表現にはほぼ変更がなかったものの、若干、ニュアンスに注意が必要だ。
まず、4名もの反対票はサプライズだった。投票は賛成8、反対4となった。FOMCの決定で4人もの反対が出たのは1992年以来だ。もっとも、ミラン理事は反対票の常連で驚きはない。
3名は反対票を投じたものの、政策金利の据え置きは支持している。反対したのは声明文における将来的な金融緩和を示唆する文言についてだ。おそらく、「追加的な調整の程度とタイミングを検討する」の箇所などであろう。追加的とは利下げを示唆するからだ。これに反対した3名のFOMCメンバーは利下げバイアスを取り除くことを求め、タカ派姿勢を打ち出した。
しかし、最終的に声明文に緩和バイアスは残されていること、緩和バイアスを取り除くことは求めても、利上げまで求めているわけではないことから、過度にタカ派的ということでもなさそうだ。
2点目のサプライズはパウエル議長が理事留任の意向を表明したことだ。パウエル議長の議長としての任期は5月15日までだが、理事としての任期は28年1月末迄だ。議長任期の終了とともに理事会を去るのが慣例だ(過去に例外はあった)。パウエル議長は理事留任の理由に、中銀の独立性がリスクに直面していると記者会見で率直に語った。
なお、次期FRB議長に指名されたケビン・ウォーシュ氏は、4月29日に上院銀行委員会で承認を受けた。5月15日までに、上院本会議での採決が行われる見通しで、6月のFOMCでは新議長となる可能性が高い。
委員会でのウォーシュ氏承認の道筋は混乱したが、米司法省が4月24日、FRB本部改修工事に関するパウエル議長の議会証言についての捜査を打ち切ったことで、承認に難色を示していた共和党議員が賛成に回り、承認にこぎつけた。
パウエル議長は上院銀行委員会でのウォーシュ氏承認については歓迎を表明した一方、捜査が完全には終わっていないことへの懸念を示した。「捜査再開をためらわない」とするピロ連邦検事のコメントを引用するなど、政権からの中銀独立性に対する攻撃が残る懸念を指摘した。そのうえで、「透明性を持って完全に終了するのを待ち、適切な時期に理事会を離れる」意向を表明した。
パウエル議長が退任後も理事として残るとした場合、何点か注意したいポイントがある。
まず、パウエル氏が『影の議長』となることへの懸念だ。トランプ大統領が指名したことから、ウォーシュ氏はハト派(金融緩和を選好)的な政策運営をする一方で、タカ派はパウエル氏のもとに結集するという構図などが、早くも市場で語られている。興味深い分析ではある。しかし、会見でパウエル議長は『影の議長』になることを強く否定している。慣例を破って理事にとどまるのは、あくまで中央銀行の独立性維持が本意であると思われる。
ただし、現段階で特定するのは困難かもしれないが、理事にとどまる期間があいまいなのは気がかりだ。不必要に長期化しない明確な方針を、適切な時期に説明する必要がありそうだ。
次に、金融政策への影響としては、ハト派化が薄まることも想定される。FRB議長は7人の理事の中から、上院の承認を受け選出される。現在の7人の理事のうち、ミラン理事の任期はすでに終了しているが、後任が決まっていないので業務を続けている。パウエル氏が理事に留任した場合、ミラン理事の後任にウォーシュ氏が就く公算が高い。その場合、トランプ大統領が指名した他の2人を加えてもトランプ指名の理事は3名にとどまると見られる。パウエル氏が理事を退任しないとなれば、理事会にトランプ派を増やす目論見は難しくなるかもしれない(別の手段を考えるかもしれないが)。
パウエル氏の理事留任となれば、ウォーシュ新議長の下、ハト派寄りの政策運営が行われるという期待を市場はやや後退させたようだ。パウエル氏自身は、仮に理事になった場合、政策の合意プロセスで建設的(協力的)な参加者になると説明しているが、それだけにとどまるのは意外と難しいかもしれない。6月以降のFOMCではこのような問題も頭に入れて注視する必要がありそうだ。
経済認識の変化は限定的で、声明文の表現に変化は乏しかった
最後に、経済情勢について声明文を見ると、前回FOMCから変化は限定的だった。労働市場について需要は伸び悩み、失業率も変化はないとしている。労働市場は依然弱含みとみているようだ。
一方、インフレについて声明文でエネルギー価格の影響が加えられた。パウエル議長は会見で、物価については関税の影響は徐々に緩和していくことと、エネルギー価格の上昇は中東情勢が長期化しなければ、短期的に押し上げるにとどまる可能性があると指摘した。今は不確実性が高く、据え置きが当面の選択肢だろう。しかし、中東の状況が短期的に収束するなら、次の一手として利下げは温存しているように思える。
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