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4月の中国貿易統計、中東情勢の影響がじわり
梅澤 利文
2026/05/12

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概要

中国の4月の貿易統計で、輸出入はともに堅調に推移した。特に輸入の伸びが顕著だった。輸出の地域別動向を見ると、米国向け輸出は昨年の大幅減の反動が見られた。その他の輸出先で地域分散が進んでいる。輸出品目では自動車や集積回路、コンピュータが伸びた。一方、輸入はエネルギー価格の上昇により急増した。輸出は今年も中国の成長を押し上げそうだが、輸入の動向には注意が必要だ。




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中国の4月の貿易統計で、輸出と輸入はともに市場予想を上回った

中国税関総署が5月9日に発表した4月の貿易統計(ドル建)によると、輸出は前年同月比で14.1%増と、市場予想の8.4%増、前月の2.5%増を上回った。輸入は25.3%増と、市場予想の20.0%増を上回った。前月は27.8%増だった(図表1参照)。貿易収支は約848億ドルの黒字で、3月の511億ドルを上回った。なお、人民元建の輸出は4月が前年同月比で9.8%増、輸入は20.6%増だった。

図表にあるように、中国の1-3月期の貿易データは、春節(旧正月)に伴い大型連休の日程が異なるためデータが大幅に変動する傾向がある。1-3月期のデータで均してみると、輸出(ドル建)は前年同期比で14.7%、輸入は22.7%増だった。

中国の輸出は集積回路(半導体)や自動車が押し上げ要因だった

中国は昨年、貿易収支が約1兆1850億ドルと、2024年の9930億ドルを上回った。輸出が堅調だったことが背景で、輸出は2025年の中国経済をしっかり支えた。今年最初の4ヵ月の貿易統計を見ると、輸出の伸びは昨年通期の伸びを上回る。しかし、エネルギー価格上昇などを背景に輸入も大幅に増加している点に注意が必要だ。

中国の輸出を地域別、品目別に振り返る。中国の主な輸出先である米国、欧州連合(EU)、アジア(ASEAN)、日本との輸出を見ると、昨年4月の相互関税発表後、中国は米国の輸出を減らす一方で、他地域への輸出先を拡大した(図表2参照)。輸出先拡大が功を奏し、通商問題で混乱した昨年においても貿易黒字を拡大させた。

なお、26年4月の米国向け輸出は前年同月比で約11.4%増とプラスに転じたのは、単に、昨年4月の輸出が通商問題を背景に大幅減となったことの反動に過ぎない。米中首脳は5月14日、15日に北京で会談する運びだが、通商問題の先行きは見通しにくい。地域分散による輸出先確保は今年も続くことが見込まれる。

なお、輸出先を4月データについて見ると、EU、日本、ASEAN 向け輸出の伸びは1-3月期の伸びを下回り、やや鈍化している点は注意が必要だ。

次に、輸出品目を見ると、押し上げ要因として電気自動車を含む自動車は昨年秋からの好調を維持しており、4月の伸びも前年同月比で4割を上回った。足元の伸びがより顕著なのは集積回路で、世界的なAI需要を背景に、前年比でほぼ倍増となった。コンピュータ(含む部品)も4月は4割を超える伸びで輸出の伸びを支えた。

ただし、衣料品や玩具など労働力を必要とする品目は4月も軟調だった。鋼材も伸び悩んでいる。雇用への影響が懸念される。

中国の輸入はエネルギー価格の上昇などもあり急増した

今回の貿易統計では輸入にも注意が必要だ。

まず、全体的な伸びを確認する。25年の中国の輸入の伸びは前年比ほぼ横ばい(ほぼ0%)だった。しかし、26年1-3月期は前年同期比27.8%増、4月は25.3%増と明確に昨年を上回っている。

輸入先の動向を年初来前年比でみると、韓国は前年比49.5%増、台湾は18.9%増と、取引が活発であったことがうかがえる。EUからの輸入も11.5%増と比較的堅調だ。ロシアも17.0%増と取引が拡大した。一方で米国からの輸入は10.9%減とマイナス圏だ。ただし、足元の3月や4月を前年同月比で見ると伸びはプラスに転じている

輸入品目を見ると、4月の伸びが大きかった品目としてコンピュータ(同部品)や集積回路が挙げられる。中国の集積回路(半導体)の自給率は調査によりバラつきはあるが、おおむね3割を下回るようだ。中国政府の目標は2025年で7割となっているが、これに届いていないと見られる。半導体需要を満たすには輸入に頼る必要があることが、韓国や台湾との取引が増えている背景でもあろう。また、将来の国産化に向けた半導体製造装置の輸入も、輸入の押し上げ要因と思われる。

4月の輸入品目では原油の輸入額が大幅に増加した点に注目したい。しかも、数量ベースでは前月に比べ減少している。原油価格上昇の影響がうかがえる。

貿易統計を離れ、物価統計でエネルギー価格上昇の影響を確認する。中国国家統計局が11日に発表した4月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.2%上昇した。原材料価格などを反映する生産者物価指数(PPI)は前年同月比で2.8%と急上昇した(図表3参照)。PPIを生産財と消費財に分けると、消費財は4月が前年比1.0%減とマイナス圏での推移であった。一方、生産財、その中でも鉱業は原油価格上昇の影響等を受け10.6%と、前月の2.0%上昇を大幅に上回った。生産財には半導体装置なども含まれよう。中国は半導体の自給が遅れているうえ、エネルギーは輸入国だ。輸出は今年も中国経済を支えると見込むが、輸入は成長押し下げ要因である。当面は輸入動向を注視する必要がある。


梅澤 利文
梅澤 利文
ピクテ・ジャパン株式会社
シニア・ストラテジスト

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)


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