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- 4月の米CPI上昇要因の内訳と今後の注目点
4月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.8%上昇し、市場予想や3月を上回った。エネルギー価格の鈍化が総合CPIの伸びを抑えたが、ガソリンは依然高水準。食品やサービスも上昇し、テクニカルな理由だが、住居費の上昇がサービス全体を押し上げた。中東情勢の長期化した場合の物価動向には注視が必要だ。実質賃金は前年同月比で減少し、消費意欲への影響などが懸念される。
4月の米総合CPIは前年同月比で3.8%上昇と2023年以来の伸びとなった
米労働省が5月12日発表した4月の消費者物価指数(CPI)は総合CPIが前年同月比3.8%上昇と2023年以来の大きな伸びとなり、市場予想の3.7%上昇、3月の3.3%上昇を上回った。物価の瞬間風速を映す前月比の上昇率は0.6%と、市場予想に一致し、3月の0.9%上昇を下回った(図表1参照)。
食品とエネルギーを除いたコアCPIは前年同月比2.8%上昇し、市場予想の2.7%上昇、3月の2.6%上昇を上回った。前月比では0.4%上昇と、市場予想の0.3%上昇、3月の0.2%上昇を上回った。前年比でコアCPIは総合CPIを下回ったことから、エネルギーの高騰は依然押し上げ要因だった。
4月のサービス価格上昇の背景は特殊要因の可能性も含まれる
中東情勢を背景に、4月の米総合CPIは前月比0.6%と市場予想と一致し、エネルギー価格高騰を受け依然高い伸びとなったが、前月からは鈍化した。コアCPIは前月比で、市場予想、前月を上回った。まず、これらの背景を確認する。
総合CPIの前月比の伸びを、エネルギー、食品、財、及びサービスの4項目に分けて寄与度を示した(図表2参照)。総合CPIの伸びはエネルギー価格高騰を受け依然高水準だが伸びは鈍化した。主な理由はガソリンが前月比で5.4%上昇と依然高水準だが、3月の21.2%上昇からは大幅に鈍化したからだ。エネルギー全体で4月は3.8%上昇し、3月の10.9%から鈍化した。変動幅などを見ると、ガソリンの影響の大きさがうかがえる。
市場がインフレ指標に注目する理由はエネルギー価格上昇の直接効果に加え、波及効果への関心が高いだろう。そこで他の項目も確認する。
まず、食品は前月比で0.5%上昇し、前月の0.0%を上回った。品目では野菜・果物、肉類、シリアル、そして前月まで下落傾向だった卵が前月比で上昇に転じた。一方で、外食は0.2%上昇と前月と変わらず落ち着いており、食品価格の上昇は個別品目要因が大きいだけなのかもしれない。しかし、中東は肥料の主要産地だがイラン紛争を受け出荷が滞っている。この影響により食品価格がさらに押し上げられることがないか、今後も注意が必要だ。
財価格は前月比0.03%増と、ほぼ変動がなかった。個別品目では上下もあったが全体では相殺された。財の品目の中には衣料や玩具など関税の影響を受けるものもあるが、関税の影響は徐々に後退しているように思われる。
サービスは前月比0.5%上昇と、3月の0.2%上昇を上回り、4月に寄与度は拡大した。サービスの中で構成割合が6割弱を占める住居費が0.6%上昇し、3月の0.3%上昇を大幅に上回ったことがサービス全体を押し上げた(図表3参照)。しかし、この上昇はテクニカルな要因が背景だ。労働省の説明資料の要点を述べると、昨年10月1日~11月12日の政府機関閉鎖の間、家賃データを収集できなかったため、昨年10月データを同年4月データで置き換えた。米CPIで家賃等は半年ごとに順繰りに6地域を調査する。昨年10月は置き換えられたため、今回は昨年4月との比較となり、通常より住居費が押し上げられたようだが、今後は正常化しそうだ。
サービス項目の他の品目では、変動が大きい航空運賃を含むことからぶれが大きい輸送サービスは4月が0.3%増にとどまった。航空運賃は4月が2.8%上昇と、3月の2.7%上昇と同様の伸びだった。また、自動車修理、自動車保険、宿泊などが上昇した。サービスの中で住居費だけが押し上げ要因ではない点に注意が必要だ。
一方で、インターネットサービスやレンタルカーなどは下落し、娯楽サービスも前月比の伸びは小幅にとどまった。賃金動向を反映しやすいサービス項目だが、幅広い上昇とは言い難いようだ。
米国のインフレ率上昇にともない、実質賃金はマイナス圏となった
さりとて、中東情勢の悪化が長期化すればするほど物価への影響は大きくなるとみられるだけに、今後も注視が必要だ。
なお、米労働省は12日に実質賃金指標も発表した。4月の実質平均週賃金は前年同月比で0.2%減と、3月の0.2%増を下回り、マイナス圏となった。前月比ベースでマイナスとなることは珍しくないが、前年比ベースではほぼ3年ぶりだ。
この結果を受け、2つの点に注目している。1点目は消費への影響だ。米個人消費は底堅い。株高による資産効果や、雇用市場の安定化、足元ではトランプ減税などがあげられるが、過去のプラスの実質賃金も下支え要因だったと見ている。今後の消費への影響を注視したい。
2点目は企業の賃金引上げ意欲だ。中東情勢を受け条件反射で賃金を引き上げる企業は稀だろうが、長期化した場合には対応も求められそうなことから、企業の賃上げ余力にも注目したい。
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