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- 6月FOMC、ウォーシュ新議長のデビュー戦はいかに
6月のFOMCでは、市場予想通り、政策金利が3.50%-3.75%で据え置かれた。一方、声明文からフォワードガイダンスが削除された。発表内容を見ると、ドットチャートや経済見通しはタカ派寄りで、インフレ見通しは概ね上方修正された。ただし、利上げの有無は今後の原油価格や賃金動向などが判断の鍵となりそうだ。なお、ウォーシュ新議長は5つのタスクフォース設置を表明し、FRB改革の方向性を示した。
6月のFOMC、市場予想通りの据え置きながらフォワードガイダンスは割愛
米連邦準備制度理事会(FRB)は6月16日-17日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、市場予想通り政策金利(フェデラルファンド(FF)金利)の誘導目標を3.50%-3.75%で据え置くことを決めた。今回のFOMCは、前回と異なり反対票がなく、全会一致での決定となった。
声明文は大幅に短縮され、金融政策の今後の方針(フォワードガイダンス)は削除された。一方で、四半期経済予測(SEP)や、政策金利見通し(ドットチャート、図表1参照)は公表された。ただし、5月に就任したウォーシュ新議長は、予想されていたことだが、自らの予測を提示しなかった。
6月FOMC:経済見通しはタカ派寄りだが、確認すべき点も残っているようだ
今回のFOMCの注目点は、声明文におけるフォワードガイダンスの取り扱い、ドットチャートや中東情勢を踏まえたFOMC参加者の経済見通し(図表2参照)、そしてなんといっても、FRB改革の方向性を示したウォーシュ議長の会見であった。
まず、前回のFOMCで3名もが反対票(残りの反対票は利下げ主張)を投じる原因となったフォワードガイダンスは声明文から除外された。前回までのフォワードガイダンスでの利下げ示唆が3名の反対票の理由であったことや、ウォーシュ議長がフォワードガイダンスに否定的な見解を示してきたことから、削除は両者に都合のよい対応だろう。市場でもフォワードガイダンス削除はある程度見込まれていたようで、筆者にもサプライズはない。
次に、ドットチャートや経済見通しはややタカ派(金融引き締めを選好)寄りであった。前回(3月)のドットチャートでは26年年内の利上げ想定はゼロであった。しかし今回は合計9人(3回1名、2回5名、1回3名:利上げ1回分を0.25%でカウント)が利上げ予想に転じた。年内据え置き予想は8名で数の上では最大グループだ。最頻値ではドットチャートが据え置き示唆と言えなくもない。しかし、従来通り中央値で見ると、9番目と10番目の平均を取って0.5回の利上げが今回の妥当な解釈だろう。このように、ドットチャートからは、足元の据え置きの次の行動として利上げが想定され、従来の利下げ方向から転じた点でややタカ派的だった。
また、ウォーシュ議長は会見でインフレ率が物価目標を5年も超え続けていることを指摘するなど、会見にも一部、タカ派的な面があった。
FOMC参加者の経済見通しも、インフレ見通しが上方修正された点で、タカ派寄りであった。特に26年のインフレ率は前回の2.7%から3.6%へ大幅に上方修正された。より懸念されるのはエネルギーなど変動が大きい項目を除いたコアインフレ率で、来年の見通しは2.5%と、前回の2.2%から引き上げた。当初数週間と言っていた米国のイランに対する軍事作戦が想定以上に長期化し、原油価格が上昇したことから、26年のインフレ見通しの修正は短期的要因かもしれない。しかし、来年の見通しの上方修正には注意が必要だ。賃金上昇など二次的波及効果による物価上昇への懸念が反映された可能性もあるからだ。FOMC直後には金利上昇などが市場で観察されたのは、インフレ長期化への懸念が意識された可能性もある。失業率は最近のデータを反映する格好で4.3%へと下方修正された。労働市場を気にすることなくインフレ対応ができるサインともみられよう。
ただし、本当に年内2回~3回の利上げが必要なのか、筆者には疑問が残る。そもそも、6月FOMCの後は年内4回しかFOMC開催が予定されていないのに、一人も利上げ票を投じなかった。インフレ懸念が差し迫った利上げ予想でもなさそうだ。
何を待っているのだろうか。判断のカギは今後の原油価格や賃金動向などだろう。原油価格によるインフレ押し上げは、米国とイランの間で停戦合意の過程にあることから、影響が低下する可能性もある。今後の展開を見守りたいところだ。
賃金上昇は、先の米雇用統計では確認されなかったが、米国景気は底堅く、遅れて賃金が上昇すれば根強いインフレの原因となる懸念もある。様子見で据え置きを続けるとしても、インフレに最大限の注意を払う必要があると筆者は見ている。
今回のFOMCのもう1つの主役、FRB改革は5つのタスクフォースで対応
今回がデビュー戦となったウォーシュ議長の会見は注目度が高かった。金融政策については、ドットチャートについて、「(半数が)26年末までに現行水準かそれ以下になるべきと考えている」と指摘するなどハト派(おそらく本音)コメントもあった。
ウォーシュ議長の方向性が示されたのはFRB改革に関するもので、5つのタスクフォースを設定する考えが示された(①FRBのコミュニケーション、②バランスシート問題、③データの活用方法、④生産性と雇用、⑤FRBのインフレの枠組み)。
①~⑤の項目自体はウォーシュ議長の過去の言動から想定されるものだが、具体的内容はタスクフォース設置がこれからということで、記者会見では不明確だった。ただし、①で話題となっているドットチャートについては、タスクフォースが新たな内容を決定するまで従来通り(ご本人は提出しないだろうが)に予想が示されそうだ。また、FOMC後の記者会見も従来通り開催される。⑤のインフレの枠組みでは2%の物価目標は変更の対象ではないとも説明した。利上げの有無とともに、このタスクフォースの進捗状況にも注目が集まりそうだ。
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