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- 日銀7月会合、据え置き予想ながら注目点も多い
6月のコアCPIは前年比1.6%上昇と市場予想通りだが、特殊要因を除いたCPIは2.7%上昇と高めで推移した。食料や携帯電話通信料が物価を抑えた一方、サービス価格では診療報酬改定が押し上げ要因となった。原油価格はホルムズ海峡の事実上の封鎖などで再び上昇リスクが高まっている。7月の日銀会合では据え置きが見込まれるが、追加利上げ姿勢と、不確実性に対する日銀の認識を確認したい。
日本の6月のCPIは物価目標を下回る伸びにとどまった
総務省が7月24日に発表した6月の消費者物価指数(CPI)は、変動の大きい生鮮食品を除いたコアCPI(日銀が注目する指標の1つ)が前年同月比で1.6%上昇と、市場予想に一致した一方で、5月の1.4%上昇を上回った(図表1参照)。総合CPIは6月に前年同月比で1.7%上昇した。
日銀はコアCPIから特殊要因(総務省公表値から、「特殊要因」として①消費税率の変更、②教育無償化政策、③2021年の携帯電話通信料の引き下げ、④旅行支援策、⑤ガソリンや電気・ガス代等の負担緩和策の影響を除いて算出)するCPI試算値を28日に発表した。6月分は前年同月比で2.7%上昇と、前月から横ばいだった。
日本のCPIは落ち着いているが、潜在的な物価上振れリスクが懸念される
日銀は7月30日-31日に金融政策決定会合(会合)の開催を予定している。日銀は前回の会合で利上げしたこともあり、今回の会合では、筆者を含め、多くの市場関係者の間で据え置きが見込まれている。注目はその後だ。日銀は年内、9月、10月、12月にも会合の開催を予定している。
日銀の金融政策は利上げのペース(次の利上げまでの期間や利上げ幅)、利上げの最終到達レート(ターミナルレート)が当面の注目点だ。これまで利上げは半年に一度という緩やかなペースが、市場で幅広く共有されていた。しかし、物価上昇圧力が根強いこと、為替は日銀の政策目標ではないが、円安圧力を受け(図表2参照)、前回利上げから半年後の12月としていた見通しから、10月利上げの見通しが強まった。物価など経済指標も、概ね利上げ前倒しを支持する内容と見られる。
6月のCPIは2%を下回る緩やかな伸びだったが懸念もある。主な下押し要因を項目で見ると、「生鮮食品を除く食料」は寄与度差(前月と今月の寄与度の差)が-0.09%ポイントと押し下げ寄与が大きかった。食料の中身を見ると、コメ(米類は5月の前年同月比4.9%下落から6月は8.7%下落)などがインフレを鈍化させた品目として挙げられる。
ガソリンや電力を含むエネルギーは6月が0.1%の下落と、前月の大幅下落から下落幅が縮小した。政府の価格変動抑制策の効果もあり、原油価格などの変動に比べ、日本国内のエネルギー価格は比較的抑制されているようだ。
サービス(一般と公共サービス)は6月が前年同月比1.0%上昇と、5月の1.0%上昇から横ばいだった。ただし、項目別では上げ下げがあった。一般サービスに含まれる通信・教養娯楽関連サービスが前年同月比で2.5%上昇と、5月の4.2%上昇から大幅に鈍化し、前月と比べた時の押し下げ要因となった。中身を見ると、通信料(携帯電話)が主な押し下げ要因だった。一方で、公的医療サービスの価格を定めた診療報酬が6月に改定されたこともあり、診療代が押し上げ要因となった。
6月のCPIを見る限り、原油価格上昇の影響は政策対応もあり二次的波及効果も含め比較的抑制されている。また、この夏についても、政府の電気・ガス代抑制政策により、電気料金などはある程度抑えられる可能性がある。
ただし、安心はできない。原油価格は7月になり再び上昇する動きを見せている(図表3参照)。ここ数日は再び下落しているが、米国とイランの停戦交渉の進展度合いに右往左往している状況だ。両国の戦闘は当初に比べ緩和の方向とみられるが、問題なのは対立が長期化していることだ。ホルムズ海峡の事実上の封鎖は続いている。これに対し日本も含め各国は、これまで原油備蓄放出など様々な対策で原油価格上昇に対応してきたが、このような対応の持続性には疑問も残る。戦闘の長期化はインフレ圧力を高めかねない。
円安圧力も懸念材料だ。米国の金融政策に対する観測が引き締め方向に転じたことに伴い、日米金利差が円安要因として意識されている。輸入物価指数の上昇は原油価格上昇など価格要因が主な背景ながら、図表2にあるように、円安の寄与も無視できない。円安への対応が必要だ。
日本のCPIは、足元インフレ懸念が低いようにも見える。しかし、図表1に点線で示した特殊要因を除いたコアCPIは、足元まで2%を上回り続けており、この数字が実態に近いだろう。政策による物価安定は、持続性という点で注意が必要だろう。
日銀7月会合では、追加利上げの時期と不確実性に対する認識に注目
7月の日銀会合は何が注目点だろうか。景気認識は展望レポートなどで確認したいが、日銀短観などこれまでに発表された指標から、景気の底堅さや、賃金の底堅さが示唆されそうだ。また円安が基調的物価へ与える影響への日銀の認識にも注目したい。このような背景のもと、筆者は、追加利上げの時期を10月と見込んでいる。ただし、日銀が足元の株式市場の下落や中東情勢などの不確実性に対しどのような認識なのかを確認したい。
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