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- ニュージーランド中銀、利上げの背景と今後の課題
ニュージーランド中銀は9月会合で政策金利を0.25%引き上げ2.75%とした。背景にはCPI上昇により物価目標レンジを上回るインフレ圧力が挙げられる。ただし、コアインフレや賃金には過度な懸念を示していない。中銀の見通しではCPIは2027年頃に目標中心値へ収束する見込みで、追加利上げの可能性を残しつつも急がない姿勢だ。需給ギャップのマイナスが見込まれる中、市場との対話が焦点となろう。
ニュージーランド中銀、2会合連続で利上げを決定
ニュージーランド(NZ)準備銀行(中央銀行)は9月1-2日に開催した金融政策委員会(以下、会合)で、市場予想通り、政策金利を0.25%引き上げ2.75%にすることを決定した(図表1参照)。利上げは7月会合に続き2会合連続となる。ニュージーランド中銀のインフレ対応姿勢が示された。
ニュージーランド中銀は5月会合までは据え置きを続けていた。その5月会合ではブレマン総裁を含む3名が据え置きを支持し、残り3名が0.25%の利上げを支持した。最終的にはブレマン総裁の決定票で据え置きとなった。一方、今回の9月会合では全会一致で利上げが決定された。インフレ抑制の必要性が高まったことなどが背景である。
ニュージーランド中銀は物価目標を上回るインフレに対応策を示した
世界的に金利上昇が注目されている。こうした中、来週(9月第2週)には欧州中央銀行(ECB、10日)、そしてその翌週には米連邦準備制度理事会(FRB、15-16日)と、日銀(17-18日)に会合の開催が予定されている。ECBと日銀は9月会合での利上げはほぼ間違いないと見込まれており、関心は9月以降の金融政策にシフトしているようだ。一方、FRBも9月利上げの可能性は高いとみるが、決め打ちはできないと筆者はみている。
こうしたイベントを前に、ニュージーランド中銀は今回の会合で追加利上げを決定した。その背景と教訓を確認する。
まず、利上げの理由はインフレ懸念だ。ニュージーランドの消費者物価指数(CPI)は4-6月期が前年同期比で4.1%上昇と物価目標の範囲(1-3%)から逸脱した(図表2参照)。インフレ水準からすれば利上げは待ったなしと言えよう。ただし、ニュージーランド中銀はインフレが上昇した背景として中東情勢悪化による燃料価格の上昇を指摘する一方で、エネルギーなど変動の大きい項目を除いたコアインフレ率や、インフレ期待、賃金などの上昇には、過度な懸念を抱いていないようだ。
次に、物価の見通しについては政策委員会のメンバー6人のうち4人は物価上振れリスクを指摘した一方で、残り2人は概ね均衡と、やや見方が分かれた。ニュージーランド中銀が示したインフレ見通しによるとインフレ率は年内は高止まりした後、2027年半ばに物価目標レンジへ復帰し、目標の中心値には2027年後半に到達すると見込んでいる。ただし、物価の不確実性は高く、上振れ懸念もあることから今後の金融政策については、中期的にインフレ率が物価目標に収束するよう運営するとして、追加利上げの可能性を示唆した。
物価抑制が使命ながら、ニュージーランド中銀はバランスを重視しそうだ
ニュージーランド中銀が示した、政策金利の見通しは前回(5月会合)から大きな変化はなかった(図表3参照)。ニュージーランド中銀の見通しからは、年内追加利上げはあったとしても1回、来年の追加(2回目)利上げは五分五分程度と思われる。会合後の記者会見でブレマン総裁は、金融政策の先行きについて追加利上げの可能性が高いと指摘した。次の一手は利上げ方向だが、利上げに積極的とは言い難い。短期金融市場に織り込まれた市場の利上げ予想を見ると、2027年3月までには2回の追加利上げが行われることを見込んでいる。ニュージーランド中銀は今回の会合で示した追加利上げ見通しでは市場の期待とのギャップを埋めなかった。ニュージーランド中銀の追加利上げを急がない姿勢が、9月会合直後のニュージーランドドル安の一因ではないかと思われる。
もっとも、追加利上げを急がない背景の1つとして、ニュージーランド経済がインフレ圧力を急速に押し上げるほど強くないとの判断もあるようだ。ニュージーランド中銀は景気について、輸出は堅調に推移し、消費も緩やかな回復を見込んでいる。また、2026年1-3月期のGDP(国内総生産)成長率は前年同期比で1.5%増とプラスを確保している。2024年後半から2025年前半までマイナス成長が続いた頃に比べて底堅い。しかし、インフレ圧力の目安とされる需給ギャップ(潜在的な経済の供給力と、個人消費などの総需要との差)は2024年7-9月期からマイナスが続いている。インフレ率は足元上昇しているが、住宅など内需回復は鈍く、需給ギャップの観点からは、インフレ圧力が強いとは言い難い。また、ニュージーランド中銀が示した需給ギャップの見通しを見ると、2028年末までマイナスが続くとの見方に大きな変化はない。
ニュージーランド中銀の使命は物価安定が根底だが、追加利上げは景気と物価のバランス次第となりそうだ。ただし市場との認識ギャップについては、今後も対話が求められそうだ。なお、対話の必要性は通貨安に直面する金融当局に共通する課題と思われる。そのような国では、金融政策以外の政策も含め、市場と政策の適切さについて市場との対話が必要ではないだろうか。
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