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米8月CPIから想定される9月FOMCとその後の展開
梅澤 利文
2026/09/14

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概要

8月の米CPIで注目度が高かったコアCPIは市場予想を上回り、9月FOMCでの利上げ観測は短期金融市場で高まった。CPIの内訳ではエネルギーは押し上げ要因であった。また、サービスの寄与度がやや拡大した。とくにFRBが重視するスーパーコアは加速した。ただし、物価を押し上げた品目の中には一時的要因もあり、9月利上げの可能性は高まったが、その後は物価次第の運営も想定される。




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米8月のCPIで、コアCPIの前月比の伸びは0.3%上昇と市場予想を上回った

米労働省が9月11日発表した8月の消費者物価指数(CPI)は、総合ベースで前年同月比3.4%上昇し、市場予想、前月に一致した(図表1参照)。エネルギーや食品など変動の大きい項目を除くことで物価の基調的な動向を示すとされるコアCPIは2.4%上昇し、市場予想と一致した一方で、7月の2.5%上昇からわずかに鈍化した。

短期的な動向を示す前月比の伸びは8月が0.4%上昇と、市場予想に一致したが、7月の0.1%上昇を上回った。足元の物価の趨勢を見極めるうえで注目度が高かったコア指数は季節要因をならした前月比の上昇率が0.3%となり、市場予想、7月(ともに0.2%上昇)を上回った。

8月の米CPIではガソリン価格などエネルギーが主な押し上げ要因だった

9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)における利上げの有無を占ううえで注目度が高かった8月のCPI、特にコアCPIの前月比の伸びが0.3%上昇と、市場予想を上回ったことなどを受け、短期金融市場が織り込む、9月FOMCでの利上げ見通しは8割超へと上昇した。インフレの改善ペースは緩やかで、筆者も9月利上げの可能性は相当高まったとみている。ただし、市場は利上げを、わずかではあるが、完全には織り込んでいない。この背景について確認する必要があるとみている。

総合CPIの前月比の伸びを、エネルギー、食品、財、及びサービスの4項目に分け、各項目の寄与度からCPIの伸びの内容を確認する(図表2参照)。

図表2から明らかなように、足元の前月比の伸びの押し上げ要因はエネルギーの寄与が大きい。8月のエネルギーは、ガソリン価格の上昇などを主因に、前月比で2.1%上昇した。

CPIの別の変動項目である食品は8月が0.1%の上昇と小幅な伸びにとどまり、寄与度はゼロに近い。

次に、コアCPIに含まれる財とサービスを確認する。まず、財は8月の伸びが前月比で0.1%上昇し、前月の0.2%上昇から鈍化した。8月の財価格の鈍化に寄与したと思われる主な品目には8月に0.2%下落した「医薬品・医療用品」があるが、これは処方箋を要しない医薬品の下落など特殊事情の影響が大きそうだ。一方で、関税に関連する品目として衣料品は横ばい、玩具は2.3%下落した。ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が2日のインタビューで、「関税の影響が、一部、過去のものとなりつつある」と指摘したことと整合的とみられよう。

しかし、関税は過去としても、今後の価格動向が気になる品目もある。「コンピューター・周辺機器」は8月に前月比で3.8%上昇した。AI投資が過熱する中、半導体などの価格上昇が波及した可能性が考えられる。財価格の変動要因となることが多い「中古車」は0.4%上昇と、7月と同じ伸びだった。ただし、前年同月比では2.3%下落と、水準としては弱含みの面もある。一方、「新車」は8月が前月比0.3%上昇と、7月の0.1%上昇を上回った。

財は関税関連品目の懸念後退や、 「医薬品・医療用品」の下落などで全体としては前月の伸びを下回ったが、一部の品目の価格転嫁の動きには注意が必要だ。

8月のサービス価格の伸びは気になる水準だったが、持続性も注視したい

サービスの寄与度は小幅に拡大した。伸び率でみると、サービスは8月前月比で0.3%上昇し、前月の0.2%上昇を上回った。気になるのは米連邦準備制度理事会(FRB)が重視するとされるスーパーコア(サービスから住宅などを除く、図表3参照)が、前年同月比で3.0%上昇と、前月を上回り鈍化ペースが遅いことを示唆した。また、前月比では0.5%上昇と、気になる水準の伸びとなった。

スーパーコアに含まれず、ウェイトが大きい「帰属家賃」は8月が前月比0.2%上昇と、「賃料」(0.2%上昇)とともに緩やかな伸びにとどまった。

反対に押し上げ要因となった品目を確認すると、「宿泊費」は前月比で2.4%上昇した。「レンタカー」も2.2%上昇した。「航空運賃」は7月の2.2%上昇に続き、8月も2.7%と大幅に上昇した。「郵送・配送費」も0.6%上昇と比較的高く、燃料価格高騰の波及が影響したものと考えられる。その他の品目では「上下水道・ゴミ収集」や、「授業料」も押し上げ要因だった。さらに、8月のサービス項目の中で上昇率が特に高かった品目が「携帯電話料金」で、前月比5.9%上昇した。背景として、通信会社による料金プランの変更(値上げや割引の縮小など)が指摘されている。

サービスは、帰属家賃は落ち着き、カーリースや自動車保険などが下押し要因となったものの、上記の品目などが押し上げ要因となり、全体では0.3%上昇と、鈍化とは言い難い水準だった。9月利上げの必要性は高いとみる。ただし、「携帯電話料金」など一過性の上昇品目もあり、持続的な物価の加速とは言い難い。仮に9月利上げをしても、その後は物価次第の政策運営とみている。


梅澤 利文
梅澤 利文
ピクテ・ジャパン株式会社
シニア・ストラテジスト

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)


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