Article Title
投資信託の基礎知識を身に付けよう
森永 康平
2020/01/31

Share

Line

LinkedIn

URLをコピー


概要

過去の記事「なぜ資産運用には投資信託がオススメなのか?」では、手軽に分散投資や積立投資ができるため、投資未経験者や初心者には投資信託がオススメと書きました。しかし、投資信託も金融商品の1つであるため、どのようなものかを理解しないまま購入するのは恐いという方もいるかと思います。そこで、今回は投資信託の基礎知識を一緒に学んでいきましょう。



Article Body Text

投資信託にかかるコストは?

個人投資家が購入することができる投資信託は非常に数が多く、取り扱い本数が多いネット証券であれば、約2,700本の中から選ぶことが可能です。これだけ数が多いと、何を選べばいいか分からないと思うかもしれませんが、選ぶ際の基準の1つにコストが挙げられます。コストは言い換えれば手数料のことです。

投資信託に係る手数料は大きく分けて3つあります。1つ目が(販売)買付手数料というものです。投資信託を購入する際に、購入金額に対して1%や3%など一定の料率がかかります。しかし、最近はこの買付手数料がかからない投資信託も多くなってきていて、そのような投資信託を「ノーロード」と呼んだりもします。ネット証券の中では全ての投資信託をノーロードにしている所もあります。

2つ目の手数料は投資信託の管理費用というものです。投資信託を保有している間、投資信託の純資産総額に対して、毎日差し引かれていく費用になります。信託報酬という表記をされることもあります。一般的にはどの投資信託も信託報酬が差し引かれていくものですが、その料率は0.2~3.0%ぐらいと幅広く設定されています。

最後の3つ目は信託財産留保額というもので、投資信託を売却する時にかかる手数料です。この手数料はかからない投資信託の方が多くなっています。どの投資信託を購入したとしても、将来どれぐらい儲かるのか、損をするのかは誰にも正確に予測はできませんが、どれぐらいコストがかかるかというのは購入時点で確実に算出できます。そのような観点から、コストを徹底的に抑えることが期待リターンを高める1つの方法であるとはいえるでしょう。

投資信託は大きく分けて2種類?

コスト以外にも、種類で投資信託を選ぶ方法があります。投資信託は大きく2種類に分けることが出来ます。1つ目はインデックスファンドと呼ばれる投資信託です。インデックスとは株価指数のことを指し、日本の株価指数であれば日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)、米国の株価指数であればNYダウやS&P500などが有名です。  インデックスファンドは、これらの株価指数に連動するように運用されています。日経平均が1年間で5%上昇したとすると、日経平均に連動するインデックスファンドも、ほぼ同じ上昇率を記録します。つまり、日経平均を構成する225銘柄に投資するようなイメージです。

もう1つはアクティブファンド呼ばれる投資信託です。こちらはインデックスファンドとは違い、なるべく多くのリターンを上げられるように、様々な工夫を凝らす投資信託です。たとえば、日本の中小型株だけに投資をしたり、AI関連の企業だけに投資をしたりします。インデックスを意識して運用はしないため、先程の例のように日経平均が1年間で5%上昇したとしても、アクティブファンドは20%上昇しているかもしれませんし、逆に20%下落しているかもしれません。

また、投資している資産や国でも分類することができます。株式に投資するものもあれば、債券や原油、金などに投資している投資信託もありますし、バランス型とよばれる投資信託は1本の投資信託で国内外の株式や債券に分散投資しています。

極端な考え方を持つのはやめよう

この数年間で個人投資家がブログやSNSで情報を発信するようになり、新聞や雑誌以外にも投資情報を簡単に得ることができるようになりました。個人投資家の発信する情報には、未経験者だった方が経験を積んでいく過程を記録しているものもあり、とても身近に感じながら、自分も読者として成長することが出来るかもしれません。また、同時にプロと呼ばれる人達のコメントも昔とは比較にならないほど多く目にする機会が増えました。

これは投資未経験者や初心者には歓迎すべき環境であると思いますが、一方で間違った情報や極端に偏った意見などもあるのが実情です。取得できる情報は増えたものの、一方で玉石混合の情報から的確に取捨選択する能力が求められています。

ここ数年でよく目にする意見の1つに「インデックスファンドこそ正義であり、アクティブファンドは悪」かのような極端な意見を目にします。その論拠にはアクティブファンドのコストがインデックスファンドより高いこと、長期で保有するとコストが割高なのにインデックスファンドよりパフォーマンスが悪いことなどが挙げられています。

誤った意見とは思いませんが、極端な考え方だとは思います。アクティブファンドの方がインデックスファンドよりコストが割高なのは事実ですが、コストを考慮しても1年間でインデックスファンドの何倍も大きいリターンをあげるアクティブファンドもあります。また、一度購入した投資信託をずっと保有し続けなければいけないというルールもなく、流れを見ながら売買してもいい訳ですから、長期で保有し続けたらアクティブはインデックスに負けるという前提もおかしいでしょう。

投資を始めると情報収集をする習慣もつくかと思いますが、世の中の情報をすべて鵜呑みにするのではなく、あくまで参考として参照し、最終的には自分の頭で考えて、自分の目的やスタイルにピッタリな投資信託を見つけましょう。

森永 康平
株式会社マネネCEO
経済アナリスト

証券会社や運用会社にてアナリスト、ストラテジストとして日本の中小型株式や新興国経済のリサーチ業務に従事。
業務範囲は海外に広がり、インドネシア、台湾などアジア各国にて新規事業の立ち上げや法人設立を経験し、事業責任者やCEOを歴任。現在は複数のベンチャー企業のCOOやCFOも兼任している。
​著書に『親子ゼニ問答』(角川新書)
日本証券アナリスト協会検定会員。


●当資料はピクテ・ジャパン株式会社が作成した販売用資料であり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。取得の申込みにあたっては、販売会社よりお渡しする最新の投資信託説明書(交付目論見書)等の内容を必ずご確認の上、ご自身でご判断ください。
●投資信託は、値動きのある有価証券等(外貨建資産に投資する場合は、為替変動リスクもあります)に投資いたしますので、基準価額は変動します。したがって、投資者の皆さまの投資元本が保証されているものではなく、基準価額の下落により、損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料に記載された過去の実績は、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。




関連記事


資産運用を幅広く考えるタイミング

つみたてNISAを活用した子育て世代の資産運用

金価格上昇の背景を考える

新NISAの年代別活用方法と注意点

外資系金融機関で働く私たちの資産運用のリアル 第7回:2022年の振り返り

投資を長く続ける秘訣