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自分のお金を他人に増やしてもらうということ
森永 康平
2020/04/26

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概要

投資という言葉にネガティブな印象を持っていたり、過度にリスクを感じている人が未だに多い印象を受けます。どうしても投資には損益が絡んできてしまうため、「儲かった」や「損をした」という話が中心になってしまい、なかでも投資家が大損をしたというような記事は読まれやすいため、極端な例が世の中に出回りやすいことが理由でしょう。今回は投資を「自分のお金を他人に増やしてもらう」行為として捉えてみようという話をしたいと思います。



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これから伸びる業種に投資 

これから伸びる産業はどこだろうか、という話を学生としていると、やはりAIやビッグデータ、FinTechなど流行りの産業が挙げられます。それでは就職活動ではそれらの業界に就活するのかと聞くと、自分はエンジニアじゃないから就職活動は別の業界で進めるという回答を聞きます。筆者が話をする生徒が経済学部という文系の学生が多いので、その傾向は尚更強いのかもしれません。

しかし、自分自身がこれから伸びる産業で働けなかったとしても、投資を通じて伸びる産業の恩恵を享受することは可能です。既にAIやビッグデータ、FinTechに関する企業は上場していますし、今後も増えていくことでしょう。

わずかであれ、それらの企業に投資をすれば立派な株主になります。企業の業績が伸びれば株価が上昇して含み益が発生するかもしれませんし、なかには配当というかたちでの収入をもたらしてくれる企業もあるかもしれません。  株式投資は勝つか負けるかのギャンブルではなく、このように労働者として関われなくても、これから伸びていく企業に自分のお金を増やしてもらうことにもつながるのです。

優秀な経営者にお金を増やしてもらう

また、企業だけではなく、優秀な経営者に投資をすると考えれば、自分のお金をその優秀な経営者が増やしてくれるという考え方も出来ます。筆者が運用会社で株式のアナリストをしていたときは、よく上場企業の経営者と経営企画部や財務部の部長が会社を訪問してくれて、直近の決算について詳しく説明してくれていました。

お客様のお金を預かるのが運用会社ですから、なぜその企業に投資したのか、という質問に対しては論理的に回答できるよう、企業の業績やその企業が属する産業の分析をしていましたが、経営者との質疑応答の中で、この経営者は自社のサービスやプロダクトに対して熱い想いと豊富な知識を持っているな、と感じさせてくれる企業には投資をしたいと思ったものでした。

優秀な経営者は勉強量も非常に多く、金融や経済の専門家でもないのに、リーマンショックが起こる直前に不動産への投資を引き上げたり、在庫を減少させるように指示をするなど、危機が訪れる前に回避したり、危機が起きた後の対応もスピーディーであったことが多くありました。投資を通じて優秀な経営者にお金を増やしてもらうという考え方も出来るでしょう。

世界の成長に便乗する

投資のメリットは簡単に世界中へアクセスできるという点もあるかと思います。日本は少子高齢化が進み、人口も減少していく。しかもガラパゴスだから世界では闘えない、と日本の行く末にネガティブな見通しを持つ方も多いかと思います。しかし、投資という観点では、それなら伸びる国や地域に投資をしようという意思決定も可能です。自分が日本を飛び出して、伸びる国や地域で生活をして働くというのは言葉やお金の問題で難しいかと思いますが、投資ならそれが可能なのです。

いまはネット証券で扱っている金融商品の種類も豊富になり、手数料も低くなってきましたから、誰でも外国株や外国債券に投資をすることも出来ます。投資信託を活用すれば、少額から複数の国や地域、資産に投資をすることも可能です。

GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)、マイクロソフトやセールスフォースなどの有名なグローバル企業に投資をすることも出来ますし、具体的にこの企業というものがなくても、新興国の株式市場に投資しようなどの意思決定も可能です。

忘れてはいけない分散投資

自分が伸びると思う企業や産業、優秀だと思う経営者の企業、そして成長すると思われる国や地域に投資をして、自分のお金を増やしてもらうという話をしてきました。しかし、同時に忘れて欲しくないのは、これまでの連載でもずっと言い続けていますが、分散をするということです。

自分がいいと思う企業や国・地域はそれほど多くはないかもしれません。しかし、だからといって、投資資産を1か所に集中させるのは危険です。必ずしも自分の思い通りになるとは限りませんし、今回の新型コロナウィルスや、2011年の東日本大震災、2001年のアメリカ同時多発テロなど、予想できないことが起きる可能性も排除できないからです。

もし投資してみたいなと思う企業が1社しかなければ、投資資産の8割ぐらいはインデックスファンドで積立投資をしながら、残りの2割ぐらいの資金でその会社の株を買ってみてもいいかもしれません。とにかく、投資先は分散をするということを忘れないようにしましょう。

森永 康平
株式会社マネネCEO
経済アナリスト

証券会社や運用会社にてアナリスト、ストラテジストとして日本の中小型株式や新興国経済のリサーチ業務に従事。
業務範囲は海外に広がり、インドネシア、台湾などアジア各国にて新規事業の立ち上げや法人設立を経験し、事業責任者やCEOを歴任。現在は複数のベンチャー企業のCOOやCFOも兼任している。
​著書に『親子ゼニ問答』(角川新書)
日本証券アナリスト協会検定会員。


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