Article Title
第3回:子供の教育資金って、どのくらい上昇しているの?(前編)
渡久地 海
2021/11/18

Share

Line

LinkedIn

URLをコピー


概要

前回、現在の子供の教育資金がどのくらいかかるのかについて見てきました。今回は、学年別の教育資金の上昇ペースについて見ていきたいと思います。分かったことは、上昇ペースはまちまちですが、近年の教育資金の上昇率は、預金金利や学資保険の返戻率※よりも高かったということです。

※返戻率(%)=(祝い金+満期保険金)÷(支払保険料総額)×100

Article Body Text

将来用意する教育資金

前回のポイントとして、「将来用意する教育資金は、現在の金額ではなく、お子さんがその年齢に達した時に必要になる金額」であるとお伝えしました。それを式で考えると、図表1のように表すことができます。この式のポイントは、年間の教育資金の上昇率(下落率)です。もちろん、この値を正確に予測することは難しいですし、進路によっても大きく変わります。ただ、学年別の教育資金に関する時系列データが公表されていますので、それらを用いて大まかなトレンドはつかめると思います。まずは、公立の幼稚園から高等学校までの教育資金について見ていきましょう。なお、各学年の教育資金は総額で示しており、幼稚園・中学校・高等学校は3年間、小学校は6年間の合計となっています。

図表1:将来必要になる教育資金の式

将来必要になる教育資金

 =(今の教育資金)×(1+年間の教育資金の上昇率(下落率)(お子さんがその年齢に達する年数)

公立学校の教育資金

2018年度の公立学校にかかる教育資金は、2012年度と比べて幼稚園を除く全ての学年で上昇しました(図表2)。各学年の中で最も総額が高くなる小学校を見てみると、2012年度が1,829,736円だったのに対し、2018年度は1,926,809円となっています。6年間で5.3%の上昇となり、一年間当たりで見ると0.9%の上昇でした。先ほどの図表1の式に当てはめると、以下のように表すことができます。公立学校の教育資金はあまり上昇していないと思っていましたが、それなりに上昇していたことが分かります。

 

2018年度公立小学校の教育資金 1,926,809円

=(2012年度公立小学校の教育資金 1,829,736円)×(1+0.9%(6年)

 

図表2:公立学校の教育資金総額(合計)の推移(期間:2012年度~2018年度、単位:円)

 

出所:文部科学省「平成30年度子供の学習費調査の結果について」のデータを用いてピクテ投信投資顧問が作成

私立学校の教育資金

次に私立学校を見ていきましょう。2018年度の私立学校にかかる教育資金は、2012年度に比べて全ての学年で上昇しています。特に小学校の教育資金の上昇は大きく、2012年度の8,538,499円に対し、2018年度は9,592,145円となり、6年間で12.3%の上昇率となりました。一年間当たりの上昇率は2.0%になります(図表3)。これも図表1の式に当てはめると次のように表すことができます。金額もさることながら、年間2%の上昇は、現在の日本の経済状況や金利水準を考えると、高いと言えます(前編終了)。

 

2018年度私立小学校の教育資金9,592,145円

 =(2012年度私立小学校の教育資金 8,538,499円)×(1+2.0%)(6年)


図表3:私立学校の教育資金総額(合計)の推移(期間:2012年度~2018年度、単位:円)

出所:文部科学省「平成30年度子供の学習費調査の結果について」のデータを用いてピクテ投信投資顧問が作成

渡久地 海
ピクテ・ジャパン株式会社
シニア・コンサルタント

明治大学経営学部を卒業後、日系証券会社でリテール業務に従事し、外資系銀行を経て、2014年よりピクテへ入社。入社後はフィールド・マーケティング部にて勉強会やセミナーの講師を務め、2015年より資産運用推進室へ。2018年より投信営業第一部にて投信営業に従事し、2021年から資産運用推進部にて主に販売会社の営業員や一般投資家向けのコンテンツ作成を行う。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)。



●当資料はピクテ・ジャパン株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。
●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。
●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

手数料およびリスクについてはこちら



関連記事


資産運用を幅広く考えるタイミング

つみたてNISAを活用した子育て世代の資産運用

金価格上昇の背景を考える

新NISAの年代別活用方法と注意点

外資系金融機関で働く私たちの資産運用のリアル 第7回:2022年の振り返り

投資を長く続ける秘訣





最新情報をメールでお知らせ

利用規約をご確認いただき、ご同意いただける場合は「利用規約に同意します。」にチェックをつけた後、メールアドレスをご登録ください。



※メールアドレスを含む個人情報の取扱いについては個人情報保護方針をご確認ください。