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第4回:子供の教育資金って、どのくらい上昇しているの?(後編)
渡久地 海
2021/12/21

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概要

前回は、高等学校までの直近の教育資金の動向について見てきましたが、今回は大学の教育資金の動向を見ていきたいと思います。


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大学の教育資金

国立大学の入学金と授業料の合計は、2012年度から2,425,200円で据え置きとなっています。一方、2018年度の私立大学の入学金と4年間の授業料の合計は3,866,569円となり、2012年度の3,705,076円と比べて、4.4%上昇しています。一年間当たりでみると0.7%の上昇となりました(図表1)。

図表1:大学の入学金と授業料(4年間)の合計の推移(期間:2012年度~2018年度、単位:円)

出所:文部科学省「平成30年度私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」のデータを用いてピクテ投信投資顧問が作成

番外編として、ハーバード大学の授業料の推移についても掲載したいと思います。2012年の年間の学費は36,305ドルであったのに対し、2020年の学費は47,730ドルとなっています。8年間で31.5%上昇しており、1年間当たりでみると3.5%の上昇となっています(図表2)。これは、日本の私立大学の学費の上昇率よりも速いペースです。では、ドルベースではなく日本円に換算した場合はどうなるでしょうか。

図表2:ハーバード大学の学費の推移(期間:2012年~2020年、各年の年末時点ドル円レートを使用)

出所:Harvard University Factbook(https://oir.harvard.edu/fact-book/tuition)のデータを用いてピクテ投信投資顧問が作成 

各年の年末のドル円レートを使って日本円に換算してみると、状況は大きく変わります。2012年は3,149,459円だった学費が、2020年には4,928,123円まで上昇しており、この間の上昇率は56.5%に上ります。1年間当たり5.8%も上昇しており、ドルベースで見たよりも値上がりのスピードは速くなっています。その要因は、円安です。2012年末に1ドル=86円だったドル円レートは、2020年末に1ドル=103円まで円安が進みました。

円安になるということは、円の価値・購買力が落ちることを意味し、現地通貨ベースでの価格が変わっていなかったとしても、海外のモノやサービスを購入するために以前よりも多くの円が必要になります。もちろん学費の上昇以上に円高が進めば、円換算でみると学費が下がったというケースも想定されます。しかし、今後更に円安が進むのであれば、円換算のハーバード大学の学費は現地のドルベースの学費以上に上昇すると言えます。

近年の教育資金の上昇率は、預金金利よりも高い


このように教育資金の大まかなトレンドを見てきましたが、近年、平均的な教育資金は概ね上昇傾向にあると言えそうです。教育資金の上昇率は様々ですが、少なくとも現在の預金金利や学資保険の返戻率よりも高い状況にあることは理解すべきだと思います。また海外の学校への進学を検討している場合は、現地通貨の価格動向のみならず、為替レートも考慮する必要があります。日本円で準備しておいて入学が決まった時点で現地通貨に替えるか、また当初から現地通貨で用意しておくかなども検討しておいた方が良いでしょう。


渡久地 海
ピクテ・ジャパン株式会社
資産運用推進部 シニア・コンサルタント

明治大学経営学部を卒業後、日系証券会社でリテール業務に従事し、外資系銀行を経て、2014年よりピクテへ入社。入社後はフィールド・マーケティング部にて勉強会やセミナーの講師を務め、2015年より資産運用推進室へ。2018年より投信営業第一部にて投信営業に従事し、2021年から資産運用推進部にて主に販売会社の営業員や一般投資家向けのコンテンツ作成を行う。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)。



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