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戦時中に分散投資の重要性を知る
森永 康平
2022/03/31

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概要

2月24日に始まったロシアによるウクライナへの軍事侵攻。ロシアとウクライナ両国間の緊張が高まっているという話は前からあり、「軍事侵攻は起こらない」「南東部で衝突が起こる」など、専門家による様々な予測を聞くことが出来ましたが、実際には初日から首都のキエフを含む複数の都市で戦火が上がりました。このロシアの軍事侵攻に対して、先進各国は経済制裁で対抗したことにより、株式市場だけではなく、債券、為替、コモディティと多くの市場が大きく動きました。このような非常事態だからこそ、分散投資の重要性が実感できます。



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分散投資の重要性

分散投資というと、1つの企業に投資をすると危険なので、複数の企業に投資をすることと考えている方もいることでしょう。それは間違ってはいません。ただし、もっと分散をすることで、リスクを抑えることが出来ます。たとえば、投資先の国や地域を分散すること。他にも投資する資産を分散すること。株式だけではなく、債券やコモディティなど。また、複数の企業に分散する際に、企業の業種を分散することも効果的です。

軍事侵攻と経済制裁によって、株式市場は世界的に下落傾向にあります。仮に株式にだけ投資していれば、資産を減らすこととなったでしょう。しかし、ロシア株に投資をしていたら壊滅的なダメージを受けていた一方で、その他の国であれば、そこまで大きなダメージを受けなかったことを考えれば、やはり株式に投資をするだけであっても、国・地域を分散することの重要性を知ることが出来るでしょう。さらに、たとえば原油や小麦、金などのコモディティにも投資をしていればどうでしょうか?資産を増やすこと、または株式の下落をカバーすることが出来たでしょう。

 

ロシア・ウクライナ情勢で起こったこと

ロシア・ウクライナ情勢は執筆時点では依然として先行きが分からず、いつどのような形で結末を迎えるのかは分かりませんが、おそらく今後も似たようなことは起こるでしょう。ロシアがウクライナに侵攻する可能性が報じられているとき、同時に報じられていたのは中国が台湾へ侵攻する可能性でした。

今後も似たようなことが起こると考えれば、ロシア・ウクライナ情勢で起こったことをしっかりと整理して把握することが今後の投資生活においても重要です。まず、多くの専門家ですら想像していなかった侵攻初日から複数の都市で戦火が上がったという事態に対して、株式市場は大きく下落しました。その後は戦況に応じて株価も乱高下しましたが、1日の変動率が非常に高くなりました。

また、今回は資源国であるロシアが大規模な経済制裁の対象となっていたこともあり、原油や小麦などのコモディティ市場は一気に上昇することとなりました。一方でロシアの株式市場と通貨ルーブルは前例がないほどの急落となり、投資家達を驚かせたことでしょう。

仮にまた他の国にそのようなケースが発生した場合、その国の株式市場はどうなるのか。コモディティ市場は今回のように上昇するのか。このようなことを今から考えておくのも頭の体操としてよいのではないでしょうか。

 

投資の世界に絶対はない

当たり前のことを言いますが、投資の世界に絶対はありません。ロシアとウクライナの両国間で緊張感が高まっているということは多くの人が認識していましたが、2月24日に軍事侵攻するということや、初日から複数の都市で戦火が上がると予測できていた人はいません。そして、先進各国がどのような経済制裁をするのか、それによってロシアの株式市場やコモディティ市場がどのような値動きをするのかも予測できないはずです。そして、ロシア・ウクライナ情勢が落ち着いた場合、次に世界の株式市場に大きな影響を与えるイベントが何になるかも分かりません。

だからこそ、投資資産は株式だけでなく債券やコモディティも対象にし、国・地域も複数に分散する必要があるのです。

森永 康平
株式会社マネネCEO
経済アナリスト

証券会社や運用会社にてアナリスト、ストラテジストとして日本の中小型株式や新興国経済のリサーチ業務に従事。
業務範囲は海外に広がり、インドネシア、台湾などアジア各国にて新規事業の立ち上げや法人設立を経験し、事業責任者やCEOを歴任。現在は複数のベンチャー企業のCOOやCFOも兼任している。
​著書に『親子ゼニ問答』(角川新書)
日本証券アナリスト協会検定会員。


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