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実践的基礎知識 リスク編( 1 ) <投資とは?>
2016/06/16

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概要

投資とは債券や株式などの各資産が持つお金を増やす力を使って、時間をかけてお金を増やすものです。うまくいっていればお金が増えますが、うまくいっていなければお金が減ることもあります。それではギャンブルと同じではないかと感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、投資とギャンブルは全く異なるものです。




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投資はギャンブルのようなもの?

日本証券業協会が実施した「証券投資に関する全国調査(個人調査)」によると、投資信託保有未経験者の投資信託を購入しない理由に「十分な知識をまだ持っていない」に次いで、「ギャンブルのようなもの」という回答がありました。投資信託を通して投資を行うことは本当に「ギャンブルのようなもの」なのでしょうか。今回は投資とギャンブルの違いについてご説明します。 投資といえば株式投資、ギャンブルといえばルーレットなどが代表的なもので、どちらもうまくいっていればお金が増えますが、うまくいっていなければお金が減ることもあります。それでは投資とギャンブルの違いを具体的に数字で確認していきましょう。

投資とギャンブルの違いは「期待値」にあります。期待値とは起こりうる値の平均値のことです。サイコロで考えてみましょう。

サイコロには1から6の目があり、サイコロを振り続ければ各目が出る確率は1/6となります。出た目の平均値は3.5に限りなく近い値となり、この3.5がサイコロの目の期待値です。つまり、期待値は「まぐれがほとんど起こらないほどたくさんの回数を試した時の平均値」といえます。

投資は期待値がプラスのものにお金を投じるもので、ギャンブルは期待値がマイナスのものにお金を投じるものです。

期待値がマイナスのものにお金を投じ続ければ、最初のうちはまぐれでお金が増えることがあっても、次第に結果は期待値に近づいていき、お金は減っていくことになります。一方、期待値がプラスのものにお金を投じ続ければ、最初のうちはまぐれでお金が減ることがあっても、次第に結果が期待値に近づいていき、お金が増えていくことが期待できます。

投資とギャンブルの違い

では投資とギャンブルの違いを具体的に比べてみましょう。まず投資は債券投資で考えてみます。例えば、クーポン6%の10年債を発行価格の100円で購入したとします。償還まで10年間この債券で運用すれば、短期的には金融政策の変更など、運用期間の途中でいろいろなことが起こり、一時的に値下がりすることもあるかもしれませんが、10年分の利息収入の積み上がりで10年間の平均年率リターンは6%になります。投資とは投資対象の資産が持つ本源的なリターンを時間をかけて捉えて、それによって資産を増やそうとするものです。

一方、ギャンブルはどのような仕組みでしょうか。まずギャンブルには運営者がいて、参加者から集めたお金から運営者の儲けを差し引いて、残りをギャンブルの勝ち負けによって再分配する仕組みです。当然ながら運営者は必ず儲かります。

分かりやすいルーレットで考えてみましょう。ルーレットには1から36の数字があり、そのどれかを選んで当たれば掛け金が36倍になります。この場合の期待値は36×1/36=1となります。この場合は運営者を含め公平です。

しかしながら、実際のルーレットには運営者の儲け分である緑の0と00という2つの数字があります。当たる確率は1/38ですが当たっても36倍にしかならないため、やればやるだけ賭けられたお金の2/38の5.26%が運営者の儲けとなり、残りの94.74%がルーレットの参加者に配分されます。運営者の儲けが差し引かれているルーレットは、やればやるほど賭けたお金の94.74%しか返ってこなくなる、ということは、ルーレットの期待値は-5.26%ということです。このように期待値がマイナスのものにお金を投じ続けると、やればやるほどお金が減っていく可能性が高くなります。

投資と投機の違い

それでは投資と投機の違いは何でしょうか。大きな違いは時間です。債券投資で利息収入を積み上げていく例のように、投資は投資先の資産がもつ本源的なリターンを時間をかけて積み上げ、その力によってお金を増やそうとするものです。一方、投機は短期の価格変動を利用した売買を繰り返してお金を増やそうとするものです。短期売買を10年20年と繰り返していった場合、勝ち続けるのがどんどん難しくなり、後半に大きな金額で負けてそれまでの勝ちを吹き飛ばしてしまったり、大きな金額を運用することでそれまでのような判断ができなくなったりする可能性があります。つまり、投機は運用期間が長くなるほど不利になっていきます。

ギャンブルや投機との違いを考えると、投資とは運用期間が長くなるほど投資先の資産がもつ本源的なリターンの積み上がりが大きくなり、運用期間が長くなるほど有利なものです。また、運用期間が長くなるほど過去の長期間の平均値に近づくことが期待できます(投資は期待値がプラスのものにお金を投じることです)。

投資は時間を味方につけて、とよくいわれますが、人気のものを追いかけて短期売買を繰り返しお金を増やすことがいかに難しいか実感できます。投資はやはり長期で期待値がプラスのものにお金を投じる、ということが重要だと考えられます。



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