「日本版スチュワードシップ・コード」への取り組み方針


ピクテ・ジャパン株式会社は、機関投資家としての受託者責任を果たすべく、平成26年に「「責任ある機関投資家」の諸原則<<日本版スチュワードシップ・コード>>」(以下、日本版スチュワードシップ・コード)への受け入れを表明し、その後平成29年改訂版コードにも準拠しつつ、スチュワードシップ活動に取り組んでまいりました。

当社は、2020年3月24日に公表された「日本版スチュワードシップ・コード」(再改訂版)の趣旨に賛同し、改定内容を踏まえて当社の日本企業の上場株式に関する取り組み方針を以下の通り更新いたします。




原則1 機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たすための明確な方針を策定し、これを公表すべきである。

当社は、中長期の視点で運用を行う機関投資家として、調査活動を通した投資先企業の状況把握や事業環境認識に基づく対話、議決権行使等により、当該企業の企業価値の向上やその持続的成長を促し、顧客・受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図っています。またサステイナビリティの観点からESGに関わる論点に目配りし、当該企業の持続可能性と企業価値向上をどう両立させていくか重視しております。

調査活動においては、投資先企業の状況をより理解すると同時に選定・モニタリングをすべく、企業業績、事業戦略、資本効率、競争環境、規制リスク、経営陣、ESGへの取り組み等を検証し、深い理解に基づく対話、議決権行使に活かしています。

 

原則2 機関投資家は、スチュワードシップ責任を果たす上で管理すべき利益相反について、明確な方針を策定し、これを公表すべきである。

ピクテ・グループでは、上場株式を発行しないこと、上場企業を顧客とする銀行業務・投資銀行業務を行わないこと、により利益相反を回避しています。したがって、ピクテ・グループに属する当社のスチュワードシップ活動において利益相反の発生する可能性のある状況は、当社、ピクテ・グループの運用商品の顧客・販売会社等が投資対象企業である場合に限定されています。

当社では、議決権行使の判断を含むスチュワードシップ活動は、営業部門等の他の部門から独立した運用部門が行います。

スチュワードシップ活動に関する利益相反に関しては、営業部門・運用部門等の他の部門から独立した法務コンプライアンス部がモニタリングを行い、問題があると判断する場合には関係部署に改善を指示するとともに、経営会議に報告します。また、運用リスク管理委員会が利益相反の管理状況について年次評価を行い、その結果を経営会議に報告します。

 

原則3 機関投資家は、投資先企業の持続的成長に向けてスチュワードシップ責任を適切に果たすため、当該企業の状況を的確に把握すべきである。

当社は、投資先企業の状況を的確に把握するため、経営陣の資質、ESGへの取り組み、企業業績、事業戦略、資本効率、競争環境、規制リスク等、非財務面の事項を含む多岐にわたる項目の検証を行っています。アクティブ運用を行う機関投資家として、公開情報に加え、決算説明会や工場見学会等への参加、経営陣やIR担当者との個別ミーティング等を通して状況把握に努めています。

投資先企業のモニタリング・精査を継続的に行い当該企業の状況把握に努めるため、当社においては経験豊富な運用部門のファンドマネージャーおよびアナリストが当該業務を担当することが必要と考えます。

 

原則4 機関投資家は、投資先企業との建設的な「目的を持った対話」を通じて、投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題の改善に努めるべきである。

当社では個別企業のボトムアップ調査にあたって、経営陣との対話を含む多くの個別ミーティングの機会を通して投資先企業との認識の共有に努めています。またESG要因を含むサステイナビリティに関する対話では、企業価値の向上とどう両立させるかを重視して対話を行っております。なお、投資先企業の状況や当該企業との対話を踏まえ、経営・業績に問題があるなど当該企業の企業価値が毀損されるおそれがあると考えられる場合には、顧客・受益者の利益保全のために、経営陣に対し対話を通しての提言、議決権行使における会社提案への反対、保有株式の売却等、状況に応じて必要な行動をとります。

当社では、集団的エンゲージメントに関しては、機関投資家が投資先企業との間で対話を行うにあたって必要と判断される場合に限り、例外的に、ピクテ・グループの関係会社と共同で第三者とともに行うこともあり得ます。

当社は、投資先企業との対話において未公表の重要事項は受領しません。法人関係情報に該当しうる情報を受領した場合には、法務コンプライアンス部に報告し、厳格に管理します。

 

原則5 機関投資家は、議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針を持つとともに、議決権行使の方針については、単に形式的な判断基準にとどまるのではなく、投資先企業の持続的成長に資するものとなるよう工夫すべきである。

当社は、顧客・受益者の投資リターンの拡大を図ることを目的に、投資先企業の持続的な企業価値向上とその価値の毀損の防止に資するべく、原則としてすべての保有株式について議決権を行使しています。議決権行使にあたっては、当社の「議決権行使に関する方針」に基づき判断しています。なお、「議決権行使に関する方針」は定期的に見直しを行っています。

当社では、議決権行使助言会社のサービスを適切な議決権行使を行う上での多様な論点を参照すべく利用しています。当社ではその助言を参考にしながら、ファンドマネージャーおよびアナリストによる調査および企業との対話の内容などを考慮した上で、自社の「議決権行使に関する方針」に基づいて判断しています。

当社は、「議決権行使に関する方針」、「議決権行使結果」を、ホームページにおいて公表しています。「議決権行使結果」においては、原則として全ての投資先企業の行使結果および議決権行使助言会社の名称・活用方法について、議案の主な種類ごとの集計結果に加え、個別の投資先企業及び議案ごとの行使結果と賛成・反対理由を公表します。

 

原則6 機関投資家は、議決権の行使も含め、スチュワードシップ責任をどのように果たしているのかについて、原則として、顧客・受益者に対して定期的に報告を行うべきである。

当社では、スチュワードシップ・コードへの取り組み方針を適宜見直して公表しています。また、個別開示を含む議決権の行使結果も定期的にホームページ上に開示しています。なお、議決権行使や投資先企業との対話といったスチュワードシップ活動については、記録を残しています。

 

原則7 機関投資家は、投資先企業の持続的成長に資するよう、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解のほか運用戦略に応じたサステイナビリティの考慮に基づき、当該企業との対話やスチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力を備えるべきである。

当社では企業の調査にあたり、ESGを始めとするサステイナビリティ要因と企業価値向上をいかに両立させるかという観点を重視しており、対話もその視点からなされるよう配慮しております。

体制としては、投資政策委員会が議決権の行使状況やエンゲージメントの実施状況などスチュワードシップ活動全般について、運用リスク管理委員会が利益相反の管理について、年次評価を行います。その結果は経営会議へ上程されて必要な経営行動が検討されるとともに、当社のホームページ上で開示します。

また、当社は、グローバルに資産運用ビジネスを展開するピクテ・グループの他の運用部門等との積極的な人材交流やノウハウ共有を通じ、スチュワードシップ活動に伴う判断を適切に行うための実力向上に努めます。

 

原則8 機関投資家向けサービス提供者は、機関投資家がスチュワードシップ責任を果たすに当たり、適切にサービスを提供し、インベストメント・チェーン全体の機能向上に資するものとなるよう努めるべきである。

当社は本原則の対象外でありますが、趣旨を理解し必要に応じて議決権行使助言会社などと意見交換を行い、より効果的な議決権行使および対話につとめてまいります。

 

2020年9月23日改訂