世界の富裕層に支持されてきた
「目利き力」とは?

世界の富裕層に支持されてきた
「目利き力」とは?

世界の富裕層に支持されてきた
「目利き力」とは?


第4回

プレミアム・ブランド運用チーム
シニア・インベストメント・マネージャー
キャロライン・レイル




歴史や文化は、「目利き力」の源泉



ー200年を超えて語り継がれてきたピクテの思想とは、どのようなものだと思いますか?

200年以上の歴史を持つピクテにとって、「信頼」はとても重要な言葉です。

お客様から信頼されるためには、「卓越」した存在でなければなりません。まずは優れた専門性が認められない限り、お客様から大切な資産をお預かりすることは出来ません。

ピクテが大切にしている「卓越性」とは、お客様の大切な資産をしっかり守り抜く事です。長い歴史を経て、しっかりお客様の資産を守り抜いてきた事で、ピクテはこの「卓越性」を証明してきました。

このようにして、「卓越性」を磨き上げて、「信頼」を築くという思想は、200年を超えて語り継がれてきたピクテの大切な考え方です。



ーキャロライン自身も、先輩の運用者から実際に何かを語り継がれましたか?

私自身も、お客様の大切な資産をお預かりする運用者として、卓越した存在でなければなりません。

私は、上司に言われたある言葉に励まされ、運用のプロが持つべき卓越性とは何かを理解したことがありました。その言葉は、「どんな小さな事でも、全てを知っておきなさい」というものでした。

運用者は、投資先の企業について、原材料の仕入れ先から、製造、流通、そして商品を販売するお客様の事まで、どんな小さなことでも全てを知っておく必要があるということです。

さらには、事業だけにとどまらず、それに関わる「人」についてもしっかり理解しておく必要があります。

このように、ピクテが重要視している「卓越性」は、具体的なアドバイスによって、次の世代へと脈々と受け継がれているように思います。



ーピクテは、少数のパートナーが出資をして共同で経営を行うパートナー制が特徴ですが、これによりどのような企業文化が醸成されていると思いますか?

私たちは、非常に長期的な時間軸で行動しています。これは、揺らぐ事がない、とても強い文化であると思います。

2002年にピクテに入社して以降、様々な出来事がありました。例え、短期的に環境が大きく変化し、市場が慌しくなる局面でも、私たちは常に冷静であり続けることができました。それは、長期的な時間軸で物事を考える文化が醸成されていたからでした。

新しい従業員を採用する際も、このような価値観に基づいて行動しているかをしっかり確認しています。

200年の歴史を持つピクテには、短期的な変動では決して揺らがない、筋金入りの長期思考が文化として醸成されていると思います。



プレミアム・ブランド戦略における「目利き力」


ー強いブランド力を持つ企業に投資する、プレミアム・ブランド戦略の責任者として求められる能力や素質とは、何だと思いますか?

私たちは、卓越したブランド力を持ち、高い利益率と持続的な成長を実現できる企業を「目利き」する事を目指しています。

そのためには、先ほどの「どんな小さな事でも、全てを知っておきなさい」という言葉にも表れているように、細部へのこだわりが求められます。なぜなら、一流の商品やサービスは、やはり細部へのこだわりが徹底されているからです。そのこだわりに気付き、正当に評価するには、やはり運用者もこのような素質を持っていなければなりません。

また、運用者自身も、高品質なブランドに情熱を持っていることも重要です。投資先の企業の経営者と話をする際、同じ情熱や関心を持っていることで信頼関係が生まれ、投資判断に大きく影響するような情報を聞きだせることもあります。

「細部へのこだわり」そして「情熱」。これらは、プレミアム・ブランド戦略を運用するにあたり、求められる素質です。



ーキャロラインにとって、プレミアム・ブランド企業が提供する一流の商品やサービス、すなわち「ラグジュアリー」とは何を意味しますか?

私にとって「ラジュグアリー」とは、憧れの的となる最高級のブランドや、幸せな経験をさせてくれるサービスを意味します。

最高級のブランドは、非常に品質が高く、供給量が少ない事が特徴です。そのため、多くの場合、時が経っても価値が大きく劣化しません。また、一部の製品は、流通市場の方が高い価格で売買されていることもあります。

一方、最近特に注目しているのが、高級ホテルで過ごす特別な一日や、シャンパンを飲みながら過ごすひと時など、「幸せな時間」を意味する、経験するラグジュアリーです。

私自身としても、このような経験するラグジュアリーに特に価値を感じています。興味深いことに、エルメスなど最高級ブランドを有する企業も、経験をテーマにして、ポジティブな感情や幸せな気分を演出する動きが見られます。

このように、ラグジュアリーの定義は多様化し、経験重視の「幸せな時間」にお金を使う人が増えています。プレミアム・ブランド戦略は、これらの投資機会をしっかり捉え、お客様にリターンを提供することを目指しています。



ーこの戦略は、他社が真似できない、ピクテならではのものだと思いますか?

はい、そう思います。

先ほどもお話しましたが、ピクテが大切にしている「卓越性」とは、お客様の資産をしっかり守り抜くこと、つまり、「資産保全」です。これは、ピクテのプライベートバンクとしての起源とも深く関係しています。そしてこの価値観は、プレミアム・ブランド戦略のコンセプトと非常によく合致しています。

高級ブランドの中には、エルメスのように、200年近い歴史を持つ企業もあります。彼らのような企業にも同じように、「資産保全」や「価値の創造」といった考え方が根付いています。

先ほども少しお話しましたが、供給量が限られている高級品は、時間が経過しても価値が大きく毀損しません。例えば、エルメスのような高級ブランド品やフェラーリのような高級車、または高級な腕時計などがイメージしやすいと思います。

これはまさしく「資産保全」が意味するところであり、彼らはこの価値観に基づき「価値を創造」しているのです。

プレミアム・ブランド戦略は、このような価値観を有している企業に投資します。そのことにより、長期でお客様の「資産保全」を実現するとともに、弛まぬ企業努力によって生み出される「新たな価値」が魅力的なリターンを提供しています。

ピクテも同様に、「資産保全」を重視する価値観を200年以上にわたって貫いてきました。このような歴史や文化が背景にあるプレミアム・ブランド戦略は、他社が真似できない、ピクテならではの投資戦略であると思います。



プレミアム・ブランドとESG


―プレミアム・ブランド戦略は、ESGをどのように考慮して運用していますか?

長きにわたって価値が持続する「資産保全」を実現するプレミアム・ブランドを見極めるのに、ESGの観点は非常に重要になります。

例えば、環境に対する影響の観点から、大量生産・大量販売を中心とする従来型の自動車メーカーには投資していません。同様の観点から、クルーザー企業も投資対象から除いています。

私たちは投資先の企業とESGについてよく議論をします。そして、企業がどのような取り組みを行っているかを見て、正しい方向に成長しているかを見極めます。

今日まで議論してきた中で分かった事は、彼らの多くはESGがもたらす時代の変化をしっかり認識しており、生産方法やマーケティング方法を改善する努力をしているという事です。

現在、ESGは非常に強力なトレンドとなっています。企業の弛まぬ努力や、私たち投資家がESGを考慮して企業を選別することで、世界は着実に正しい方向に向かっていると感じます。

私個人としては、小さな取り組みではありますが、電気自動車を運転しています。また、質の悪いものを頻繁に買い換えるより、ずっと使えるような高品質なものにお金をかけて、少しでも環境に貢献しようと思っています。

このような観点からも、今後、長く使えて、しかも価値が大きく毀損しないような高品質の製品がますます注目され、プレミアム・ブランド企業の成長を後押しするかもしれません。




キャロライン・レイル

プレミアム・ブランド運用チーム
シニア・インベストメント・マネージャー

パリ第9大学にて金融経済の修士号を取得後、米国リーマンブラザーズに入社。5年間ヘッジ・ファンドの運用経験を積んだのち2002年ピクテ・アセット・マネジメント入社。パリに生まれ、高級ブランドを身近に感じながら大学時代まで同地にて過ごした経験も活かし、プレミアム・ブランド・ファンドの運用に特化。運用経験年数 27年。




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