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米国大統領選挙 序盤のポイント
市川 眞一
2020/03/11

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概要

米国の大統領選挙は、3月3日のスーパー・チューズデーを経て、民主党の候補がジョー・バイデン前副大統領とバーニー・サンダース上院議員に絞られた。同党は各州に割り当てられた総計3,979人の代議員を候補者が奪い合う。次の山場はフロリダ州などで予備選・党員集会が行われる3月17日だが、最終的に候補が決まるのはニューヨーク州などが予備選を行う4月28日になる可能性が強い。過去の大統領選挙では、民主党の勝ちパターンは、候補者の属性として、1)40代~50代前半、2)政策的には中道、3)北東部以外の出身・・・の3つだった。今回の有力候補は、バイデン氏の政治スタンスが中道である他、いずれもそれ以外の条件には適合していない。特にサンダースは民主党内で最左派であり、公約として富裕層及び企業への大幅増税を打ち出している。11月3日に行われる本選を予測するのは難しいが、戦後、現職と新人が戦った大統領選挙は、現職の7勝3敗だった。従って、トランプ大統領が有利と見られるものの、当面、市場は民主党候補の政策に神経質にならざるを得ないだろう。



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米国大統領選挙の序盤戦は、民主党の候補者選びが最大の焦点だ。スーパーチューズデーを経て、バイデン氏とサンダース氏の一騎打ちとなったが、この2人は過去の勝ちパターンには合致しない異例の候補である。トランプ大統領は民主党候補を意識せざるを得ず、新型コロナウイルス問題もあって、11月3日の本選へ向け景気対策を強化する可能性が強い。

民主党の候補者選びのプロセスは、各州に割り当てられた全米3,979人の代議員を奪い合うことで行われる。スーパーチューズデーの次は、フロリダなど5州で予備選・党員集会が行われる3月17日が重要だ。ただし、バイデン、サンダース両氏の一騎打ちは、4月28日にニューヨークなど6州で予備選が行われるまでもつれる可能性が強い。

スーパーチューズデーを終えた段階で、バイデン前副大統領が代議員670人を獲得、サンダース上院議員の574人にやや先行している。ただ、まだ僅差であり、逆転の可能性は十分にあるだろう。これまでのところ、サンダース氏は若年層、ヒスパニック系に強く、白人及び黒人を主な支持層とするバイデン氏とは好対照だ。

戦後の大統領選挙において、初当選時の年齢を見ると、共和党は平均62歳、民主党は47歳である。つまり、有権者は共和党大統領に経験と安定、民主党大統領に若さと変化を求めてきたのだろう。また、民主党の場合、政策的には中道、主たる政治的根拠地が北東部でない候補が共和党に勝つ重要なパターンだった。

スーパーチューズデーの時点で、民主党の有力候補は4人だったが、その平均年齢は76歳である。また、政治的根拠地はいずれも北東部だ。つまり、民主党の過去の「勝ちパターン」には適合しない候補者と言えよう。特にサンダース氏の場合、政治的立場は最左派で、党内では異端だ。ただし、2016年に共和党の指名を勝ち取ったトランプ現大統領も異端の候補だった。

米国大統領選挙の本選は、各州に人口比例で割り当てられた538人の選挙人を奪い合う。もっとも、伝統的に共和党が強いレッド・ステート、民主党の地盤であるブルー・ステートはほとんど動かない。そうしたなか、フロリダやオハイオなど選挙毎に変化するスウィング・ステートが、結果を大きく左右してきた。

リアルクリア・ポリティクスの集計によれば、現段階においてサンダース氏、バイデン氏のいずれもトランプ大統領の支持率を上回っている。ただし、トランプ大統領は低所得の白人層と言う非常に強固な岩盤支持層を有しており、世論調査の結果は必ずしも結果に結び付かない可能性が強い。過去の現職対新人の大統領選挙が現職が7勝だった。

サンダース氏が民主党内で支持を集めている背景は、米国の富の格差にあると見られ、長期的に米国の政治・経済へ影響を及ぼすことも考えられる。本選へ向けてはトランプ大統領が有利と見られるが、両党の候補共に「大きな政府」的政策を打出す可能性が強い。それは、短期的には市場にもプラスだが、長期的には金利上昇などマイナス面が大きいのではないか。


市川 眞一
シニア・フェロー

日系証券の系列投信会社でファンドマネージャーなどを経て、1994年以降、フランス系、スイス系2つの証券にてストラテジスト。この間、内閣官房構造改革特区評価委員、規制・制度改革推進委員会委員、行政刷新会議事業仕分け評価者など公職を多数歴任。著書に『政策論争のデタラメ』、『中国のジレンマ 日米のリスク』(いずれも新潮社)、『あなたはアベノミクスで幸せになれるか?』(日本経済新聞出版社)など。


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