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2022年2月のバイオ医薬品市場
2022/03/25

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概要


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バイオ医薬品関連企業の株価動向

2月のナスダック・バイオテック指数(ドルベース、配当含まず)は下落しました。

2022年2月のバイオ医薬品市場は、1月に続き不安定な展開となりました。米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げやロシアのウクライナ侵攻を巡るリスクが強まる中、株式市場が不安定な状況となったためです。一方、新型コロナウイルスの感染状況に対する投資家の関心はすっかり薄れた格好です。バイオ医薬品関連では、1月は多くのバイオ医薬品企業や緊急を要さない選択的手術関連銘柄が苦戦を強いられましたが、2月は状況が徐々に改善しつつあるように思われます。地政学リスクを巡る状況が読みにくい環境で市場に対する下押し圧力が増していますが、バイオ医薬品市場には、地政学リスクの影響を相対的に受けにくい傾向があり、一部で、底入れの兆しが見え始めています。未上場企業の資金調達がプライベート・エクィティ市場を下支えする状況が続く一方で、株式公開(IPO)市場は停止しかねない状況にあり、バイオ医薬品企業の経営陣は、運営コストの見直しか、独立企業としての将来について判断を迫られています。

株価が大きく上昇した銘柄としては、イントラセルラー・セラピーズ(米国)、アーカス・バイオサイエンシズ(米国)等が挙げられます。イントラセルラー・セラピーズは統合失調症治療薬カプリタについて、双極性障害によるうつ症状への適応拡大が2021年12月に米食品医薬品局(FDA)に承認され、週次の処方件数が加速度的に伸びていることが好感されました。アーカス・バイオサイエンシズは、目立った材料がない中、株価が堅調な推移となりました。

株価が大きく下落した銘柄としては、ユナイテッド・セラピューティクス(米国)、ギリアド・サイエンシズ(米国)等が挙げられます。ユナイテッド・セラピューティクスは、肺高血圧症治療薬タイベイソDPIの承認審査期間が延長されたことが嫌気されました。副作用に関する追加情報を薬のラベルに掲載するよう求められる可能性も考えられますが、発売後は、良好な売上が予想されます。ギリアド・サイエンシズは、2021年通期決算が予想を下回り、2022年見通しが小幅に下方修正されたことから株価が下落しました。

今後のバイオ医薬品市場見通し

バイオ医薬品セクターについては、2022年には米食品医薬品局(FDA)への信頼が高まり、状況が好転するものと考えます。また大手医薬品企業や大手バイオ医薬品企業はM&Aの原資となる多額の現金を有していることも注目されます。他方、バイオ医薬品株式市場は、このところ米国株式市場を下回るパフォーマンスとなっていますが、バリュエーション(投資価値評価)が再び魅力的な水準となり、センチメント(市場心理)も弱気であることから、長期的な価値を見出す機会となっている可能性があると考えます。ただし現在、ウクライナ情勢の緊迫化により、株式市場が不安定となっており、バイオ医薬品株式も影響を受ける可能性がある点には注意が必要です。

長期的には、医薬品に関連する医療費についての議論が大きく変化していることがわかります。いくつかの国では治療の有効性に応じて医療費を支払う制度(価値に基づく医療)が利用されていますが、処方薬で最大のマーケットである米国においても、従来の出来高払い方式ではなく、同様の制度を求める声は、ますます大きくなっています。医薬品企業と同様に政府、規制当局、保険業者は、医薬品の開発においてイノベーションを抑制することなく、医薬品の費用を効率的に管理することができる妥協案を見つけることを必要としています。最も重要な利害関係者である患者は、破産のリスクにさらされることなく、高品質の治療を受けたいと考えています。これは、治療薬の開発といった科学的側面だけでなく、ビジネスモデルや先進的な思考、価値に基づいた契約といった側面においてもイノベーションを生む良い機会となると考えます。

バイオ医薬品関連企業の売上高は相対的に高い伸びが見込まれる


バイオ医薬品関連企業の売上高は、新興国の企業を上回って堅調に成長してきました。(図表6参照)

バイオ医薬品関連企業については、①有望な治療薬候補の良好な治験結果の発表、②大型の新薬の承認、③新薬販売開始後の業績寄与の拡大などを背景に、今後3年間で年率5.7%の相対的に高い売上高の伸びが見込まれています。(図表7参照)

売上高の伸びに沿って株価も上昇

過去の実績では、バイオ医薬品関連企業の株価は、売上高の伸びとともに上昇してきたことがわかります。(図表8参照)

バリュエーション

新薬の開発動向が順調に推移していることやバイオ医薬品企業の業績が景気動向に左右されにくい特性などが注目されて株価が上昇しており、PSR(株価売上高倍率)で見たバリュエーション(投資価値評価)の水準も上昇しています。(図表9参照)

個別の銘柄・企業については、あくまでも参考であり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。


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