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2022年4月のバイオ医薬品市場
2022/05/25

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概要


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バイオ医薬品関連企業の株価動向

4月のナスダック・バイオテック指数(ドルベース、配当含まず)は下落しました。

2022年4月は、世界の株式市場が総じて軟調な展開となりました。このような中、バイオ医薬品株式も大きく下落しました。とくに中小型株は、過度に売られ、下落率が大きくなりました。リスク回避や安全資産への逃避の動きが広がり、財務面や治験面でリスクがあると見なされた企業の株式は売りが際立ちました。

株価が大きく変動した銘柄としては、バイオクリスト・ファーマシューティカルズ(米国)、ナノストリング・テクノロジーズ(米国)、モデルナ(米国)などが挙げられます。バイオクリスト・ファーマシューティカルズは、D因子阻害剤の治験について、安全性の懸念を理由に被験者組み入れの停止を発表したことを受けて、当薬剤は主力製品ではないにもかかわらず、株価が急落しました。ただし同社については遺伝性血管浮腫の画期的な経口薬オルラデヨの将来性が期待されています。

ナノストリング・テクノロジーズは、販売部門の拙速な組織再編を断行したことが裏目に出て、1-3月期決算が低調な結果となるとの事前予告を行ったことを受けて、株価が大きく下落しました。ただし、今期の減収は短期的には同社の株価にとって逆風となっても、同社の市場における優位的な立場は変わらないとみられます。

今後のバイオ医薬品市場見通し

バイオ医薬品セクターについては、2022年は新しいリーダーの下で米食品医薬品局(FDA)への信頼が高まり、状況が好転するものと考えます。また大手医薬品企業や大手バイオ医薬品企業は多額の現金を有しており、魅力的な技術や治療薬候補などを持つバイオ医薬品企業とのM&Aや業務提携などの動きが注目されます。他方、バイオ医薬品株式市場は、このところ米国株式市場を下回るパフォーマンスとなっていますが、バリュエーション(投資価値評価)が再び魅力的な水準となり、センチメント(市場心理)も弱気であることから、長期的な価値を見出す機会となっている可能性があると考えます。ただし現在は、ウクライナ情勢の動向や米国の金融引き締めの動きなどがバイオ医薬品株式にも影響を与える可能性があり、注意が必要と考えます。

長期的には、医薬品に関連する医療費についての議論が大きく変化していることがわかります。いくつかの国では治療の有効性に応じて医療費を支払う制度(価値に基づく医療)が利用されていますが、処方薬で最大のマーケットである米国においても、従来の出来高払い方式ではなく、同様の制度を求める声は、ますます大きくなっています。医薬品企業と同様に政府、規制当局、保険業者は、医薬品の開発においてイノベーションを抑制することなく、医薬品の費用を効率的に管理することができる妥協案を見つけることを必要としています。最も重要な利害関係者である患者は、破産のリスクにさらされることなく、高品質の治療を受けたいと考えています。これは、治療薬の開発といった科学的側面だけでなく、ビジネスモデルや先進的な思考、価値に基づいた契約といった側面においてもイノベーションを生む良い機会となると考えます。

 


                                                                                                                                                                                                                                       

バイオ医薬品関連企業の売上高は新型コロナ・ワクチンの売上減などが影響し相対的に低い伸びに

バイオ医薬品関連企業の売上高は、新興国の企業を上回って堅調に成長してきました。(図表6参照)

                                                                                                                                                                                                                                  

一方、今後の売上高の伸びについては、2023年以降、モデルナ(米国)、ビオンテック(ドイツ)の新型コロナウイルス・ワクチンの売上が大幅に減少すると予想されていることが影響し、米国企業や先進国企業を下回ると予想されています。(図表7参照)ただし、バイオ医薬品関連企業については、引き続き多くの有望な治療薬候補を有しており、新薬の承認後の業績寄与が期待されています。

 

売上高の伸びに沿って株価も上昇

過去の実績では、バイオ医薬品関連企業の株価は、売上高の伸びとともに上昇してきたことがわかります。(図表8参照)

 

バリュエーション

新薬の開発動向が順調に推移していることやバイオ医薬品企業の業績が景気動向に左右されにくい特性などが注目されて株価が上昇しており、PSR(株価売上高倍率)で見たバリュエーション(投資価値評価)の水準も上昇しています。(図表9参照)

個別の銘柄・企業については、あくまでも参考であり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。


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