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2022年6月のバイオ医薬品市場
2022/07/26

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概要


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バイオ医薬品関連企業の株価動向

6月のナスダック・バイオテクノロジー指数(ドルベース、配当含まず)は上昇しました。

2022年6月のバイオ医薬品セクターは、株式市場が全面安の展開となる中、上昇しました。景気敏感セクターから、業績が景気変動に影響されにくいディフェンシブ性の高いセクターや売られ過ぎのセクターに資金が流入したことに加え、企業のファンダメンタルズ(基礎的条件)に関連する好材料やM&A(合併・買収)関連のニュースが相次いだことが追い風となりました。公表されたM&A案件に加え、買収する側にもされる側にも多くの銘柄が候補として浮上しており、今後のM&A活動の活況が期待されます。こうした環境では、大型株よりも買収される側として恩恵を受ける中小型株が注目されると考えます。

株価が大きく上昇した銘柄としてはターニング・ポイント・セラピューティクス(米国)、アルジェンX(オランダ)、シージェン(米国)等が挙げられます。ターニング・ポイント・セラピューティクスは、ブリストルマイヤーズスクイブ(米国)による買収発表が好感され大幅上昇となりました。アルジェンXは、新薬の販売が順調に推移していることが好感されました。シージェンは、メルク(米国)による買収観測が浮上し、株価が上昇しました。

株価が大きく下落した銘柄としてはイルミナ(米国)、カリブー・バイオサイエンシズ(米国)、ホライゾン・セラピューティクス(アイルランド)などが挙げられます。イルミナは、設備投資の見通しや最高財務責任者(CFO)の退社を巡る懸念を背景に株価が下落しました。カリブー・バイオサイエンシズは、がん治療薬候補のフェーズ1治験で良好なデータが得られたものの、その効果が長続きしなかったことが嫌気されました。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                            

今後のバイオ医薬品市場見通し

2022年6月は相対的に堅調なパフォーマンスとなりましたが、依然としてバイオ医薬品株式市場は軟調な状況にあります。しかし、これまでバイオ医薬品株式市場の追い風として期待されてきた良好な治験結果の公表やバイオ医薬品企業をターゲットとしたM&A(合併・買収)が、足元、動きだしています。IPO(新規株式公開)は低調ですが、独自の技術を持つなど成長が期待されるバイオ医薬品企業は独創的な方法で資金調達を行い始めています。短期的なパフォーマンスは、マクロ環境や将来のインフレ期待および経済成長に対する見方に影響を受けていますが、バリュエーション(投資価値評価)の低下に加え、良好な治験結果の発表とM&Aの動きがみられることはバイオ医薬品株式市場にとって良い兆候であると考えます。

長期的には、医薬品に関連する医療費についての議論が大きく変化していることがわかります。

いくつかの国では治療の有効性に応じて医療費を支払う制度(価値に基づく医療)が利用されていますが、処方薬で最大のマーケットである米国においても、従来の出来高払い方式ではなく、同様の制度を求める声は、ますます大きくなっています。医薬品企業と同様に政府、規制当局、保険業者は、医薬品の開発においてイノベーションを抑制することなく、医薬品の費用を効率的に管理することができる妥協案を見つけることを必要としています。最も重要な利害関係者である患者は、破産のリスクにさらされることなく、高品質の治療を受けたいと考えています。これは、治療薬の開発といった科学的側面だけでなく、ビジネスモデルや先進的な思考、価値に基づいた契約といった側面においてもイノベーションを生む良い機会となると考えます。

                                                                                                                                                                                                                                       

バイオ医薬品関連企業の売上高は新型コロナ・ワクチンの売上減などが影響し相対的に低い伸びに

バイオ医薬品関連企業の売上高は、新興国の企業を上回って堅調に成長してきました。(図表6参照)

一方、今後の売上高の伸びについては、2023年以降、モデルナ(米国)、ビオンテック(ドイツ)の新型コロナウイルス・ワクチンの売上が大幅に減少すると予想されていることが影響し、米国企業や先進国企業を下回ると予想されています。(図表7参照)

ただし、バイオ医薬品関連企業については、引き続き多くの有望な治療薬候補を有しており、新薬の承認後の業績寄与が期待されています。

売上高の伸びに沿って株価も上昇

過去の実績では、バイオ医薬品関連企業の株価は、売上高の伸びとともに上昇してきたことがわかります。(図表8参照)

バリュエーション

バイオ医薬品企業の業績が景気動向に左右されにくい特性などが注目されて2021年夏頃までは株価が上昇し、PSR(株価売上高倍率)で見たバリュエーション(投資価値評価)の水準も上昇していました。しかし2021年秋以降はFDAの承認申請に対する予想外の決定などがマイナス要因となったことに加え、今年に入りナスダック市場の下落が大きくなる中、ナスダック・バイオテクノロジー指数も下落したことから、PSRも低下しています。(図表9参照)

(将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更される場合があります。)

 

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