新興国市場モニター:世界国債インデックスに湾岸諸国を組入れ | ピクテ投信投資顧問株式会社

新興国市場モニター:世界国債インデックスに湾岸諸国を組入れ

2019/07/03新興国債券

ポイント

新興国の話題といえば、中国、トルコおよびアルゼンチンに集中していましたが、ひとつの重要な話題が抜け落ちていました。それは、産油国である湾岸協力理事会(GCC)諸国が、主要な国債指数に組入れられたことです。

 

指数への入り口

2019年1月31日、GCC諸国のうちサウジアラビア、UAE、カタール、クウェート、およびバーレーンの5カ国が、新興国債券指数であるJPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数への、9ヵ月間の組入れ局面に入りました。この組入れは、主要な米ドル建ての新興国の債券指数に対する史上最も大きな変更となります。同じGCC諸国であるオマーンは、既に2018年に組入れられています。
今回組入れられる5カ国の時価総額は、指数の11.4%を占めることになり、1年間では大きな変動要因となります。対照的に、中国は6年かけて指数に占める構成比が2%から10%に引き上げられました。ここでは、債券投資家が、何を理解しなければいけないかについて解説します。

GCCの経済は集中が進む

サウジアラビアは、GCC諸国のリーダー格で、経済的には国内総生産(GDP)が全体の44%を占めています。同様に、UAEは25%、カタールは14%、クウェートは9%、オマーンは5%、バーレーンは2%の比率となっています。図表1に示しているように、国際連合(UN)は一国の経済が特定の産業等への集中度合いを調査していますが、世界で最も集中した経済の上位6カ国のうち、5カ国がGCC諸国です。

図表1: 国連の国別集中度指数
時点:2017年

 

※指数は0から1の範囲に分布して、1に近いほどその国の経済が特定の産業等に集中していることを示します。

出所:ピクテ・アセット・マネジメント

経済が特定の産業等に集中している理由は、図表2の通り、GCC諸国が現在も原油セクターに大きく依存しているからです。

図表2: GCC諸国のGDPの内訳
時点:2018年

 

出所:ピクテ・アセット・マネジメント

結果として、GCC諸国の経済は原油価格の変動に影響を受けやすく、図表3にあるように、GDP成長率の変動率が高くなっています。

図表3: GDP成長率の変動率と経済の集中度合い

 

※輸出品の集中度合いは、サービスを除く

出所:ピクテ・アセット・マネジメント

多様化

原油価格安が、一時的なものではなくて恒常化しつつある状況下、GCC諸国にとって経済の多様化を図ることは必須の課題となっています。GCC諸国は、多様化の目標に対して図表4aに示されているように、着実に前進しています。UAEには、原油依存度の高いアブダビが含まれますが、最も多様化が進んでいます。

図表4a:国別集中度指数の進展

 

出所:ピクテ・アセット・マネジメント

図表4bの世界銀行の発表するビジネス環境ランキングでは、ここでもUAEが他のGCC諸国をリードしていて、世界190カ国中第11位と、大変価値のある順位となっています。一方他のGCC諸国は、更なる取組が必要です。例えばサウジアラビアは、2005年以来数多くの改革を実施してきましたが、現状順位は振るいません。

図表4b: 世界銀行 ビジネス環境ランキング

 

出所:ピクテ・アセット・マネジメント

今後、全てのGCC諸国は、それぞれの国の「2030年の展望」において経済の多様化を目標としています。しかし、現在結果が求められています。例えば投資家は、付加価値税の導入やビジネス環境や労働市場の再構築、および補助金の削減等を見守る必要があります。

なぜGCC諸国が指数に組入れられたのか

GCC諸国は、かつて新興国市場の指数の適格性について、あまりにも金持ち過ぎると見られていました。ところが、指数の作成者であるJPモルガンは、購買力平価を指数作成の考え方に取り入れたことから、GCC諸国も指数に対して適格となりました。
また指数に組入れられた背景として、原油価格の低迷によって、GCC諸国は債券市場での資金調達を余儀なくされ、今や世界的に最大の債券発行国になっていることです。GCC諸国の債券発行高は、地域のGDPの4%から5%に達しています。

影響度合いは?

原油価格に対するベータ値の要素を、JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数に加味したところ、2019年9月までに概ね1,200億米ドル相当の債券が指数に加わることとなります。指数の構成国は過去最大の72カ国まで上昇します。発行体と発行形態の数は、それぞれ52から731、14から168まで増える見通しです。
クウェート、カタールおよびUAEの信用格付はAA格であることから、指数の格付の加重平均は、現行のBB+から投資適格のBBB-まで上昇します。これは、これまで指数構成国のブラジル、ロシア、およびトルコの信用格付の引下げを相殺する効果があります。

図表5:米ドル建て10年国債と信用格付

 

出所:ピクテ・アセット・マネジメント

図表5が示すように、信用格付と債券利回りはGCC諸国のなかでもまちまちです。クウェート、カタール、サウジアラビアおよびUAEは、相対的に高い信用格付と低い債券利回りですが、バーレーンとオマーンは逆となっています。

幅広い観点から投資家のパフォーマンスに対して、GCC諸国の指数への組入れがどのような影響を与えるかを判断するには早過ぎます。しかしながら様々な市場指数によると、年初来のJPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数のリターンは7.65%であり、債券指数の中でトップであり、現地通貨建て新興国債券指数であるJPモルガンGBI-EM グローバル・ディバーシファイド指数の2倍近いパフォーマンスとなっています。

“全体として、高い信用格付、低いリスク、一般的に強固な財務基盤、ならびに米ドル建てで発行されていることから、GCC諸国は新興国の国債市場全体と比較して魅力的な市場と考えます”

(※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。)

 

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