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日本銀行と金融政策⑪~金融政策による経済効果②~
2025/02/27

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概要


1999年から2008年までの金融政策は日本経済の構造的問題の解決に十分な効果があったとはいえず、金融政策の限界が露呈してしまったともいえます。


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■1999年~2008年の金融政策と株価

今回は前回に引き続き、金融政策の変遷が経済や株価にもたらした影響について、1999年から2008年の期間に焦点を当ててご説明いたします。1990年代初頭にバブル景気が崩壊すると、日本経済は長期的な停滞局面に入りました。いわゆる「失われた10年」です。経済停滞に伴い、長期的なデフレが進行したことをうけ、日本銀行は金利を段階的に引き下げ、1999年2月にはゼロ金利政策を導入、「無担保コールレート翌日物(以下、オーバーナイト金利)をできるだけ低めに推移するよう促す」としました(図表1)。これにより、一時的に日経平均株価が上昇し、さらに米国でのITバブルの影響により通信関連銘柄を中心に上昇がみられました。


図表1:無担保コールレート翌日物と日経平均株価の推移(月次、1999年1月~2008年12月)


出所:日本銀行、ブルームバームのデータを基にピクテ・ジャパン作成

一方、バブル崩壊後の不良債権問題もあり、日本の民間金融機関からの貸し出しはゼロ金利政策導入後も増えず(図表2)、流動性供給の低下が成長の抑制を招きました。さらに、先述のITバブルの崩壊が日本経済にも大きな影響を及ぼし、輸出入の大幅な低下等が景気の調整を一段と深いものにし、強いデフレ圧力がかかりました。そこで日本銀行は2000年8月に引き上げたオーバーナイト金利を2001年に再び引き下げ、景気回復を政策面でさらにサポートすべく「量的金融緩和」を開始しました(図表3)。このときより、金融市場調節の主たる操作目標はオーバーナイト金利から日銀の当座預金残高に変更され、実際に量的金融緩和政策導入後から、預金残高が著しく増加していることがわかります。しかしながら、日本経済はバブル崩壊の後遺症をひきずり、構造的な問題を抱えていたため、2003年ごろまでは低迷が続き、緩和策の目立った効果も出ず、株価の低迷は続きました。ここでの構造的な問題とは、企業においては負債の返済を優先させたため設備投資に消極的であったこと、民間金融機関においても不良債権問題から貸出に積極的でなかったこと、さらに景気低迷からデフレ圧力がかかっていたこと等があげられます。


図表2:国内銀行の総貸出額と前年比の推移(年次、1999年~2008年)



図表3:日本銀行当座預金残高と日経平均株価の推移(月次、1999年~2008年)


出所:日本銀行(図表2、3)、ブルームバーグ(図表3)のデータを基にピクテ・ジャパン作成

その後、次第に量的金融緩和政策の効果が出始め、世界経済の回復も相まって日本の企業業績の改善がみられると、民間金融機関からの貸出も同様に上向き始め、景気の回復とともに日経平均株価は2007年まで力強い伸びを示しました。しかしながら、2008年に発生したリーマン・ショックをきっかけに再び景気は大きく減退、株価も大きく落ち込みました。

1999年から2008年までの金融政策と日経平均株価の推移をみると、金融政策が短期的には株価に影響する局面がありましたが、ゼロ金利政策が日本経済の構造的な課題(民間金融機関の不良債権問題、デフレ等)を解決できず、量的金融緩和政策導入後も外部要因(世界経済等)に日本経済が左右され、即効性があったとはいえないことから、金融政策の限界が市場に露呈してしまったともいえます。

           

 

 




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