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インフレと金融/経済史②~東西冷戦期① 第一次オイルショック~
2025/08/28

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概要

第一次オイルショックにより原油価格が約4倍近く高騰したことで、世界は激しいインフレに直面し、世界経済は悪化しました。




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■東西冷戦

今回は1970年代から1990年代はじめごろのインフレと金融市場の史実について解説いたします。前号で説明したとおり、ピクテではこの期間をインフレの時代と捉えています。この期間は第二次世界大戦後からはじまった東西冷戦(1989年12月に終結)が続いた時代でした。東西冷戦は、米国に代表される資本主義や自由主義を支持した西側諸国と、ソ連(ソビエト社会主義共和国連邦)に代表される社会主義を支持した東側諸国との間で長期にわたって続いた激しい対立を指します。米国とソ連が直接武力衝突することがなかったことから冷戦(冷たい戦争)といわれますが、実際には第三国を介して間接的に戦争に関わった代理戦争が頻発しました。その代表例として挙げられるのが、朝鮮戦争やベトナム戦争、アフガニスタン紛争やアンゴラ内戦等です。そして、この東西冷戦で発生した地政学的リスクの高まりにより、間接的に影響を受けた出来事が原油価格の高騰に伴い世界に激しいインフレをもたらした第一次オイルショックです。

■第一次オイルショック

第一次オイルショックとは、1973年10月に起きた第四次中東戦争(イスラエルVSエジプト、シリア等のアラブ諸国)をきっかけとして、原油価格が約4倍に引き上げられたことによる世界経済の混乱のことです。「中東戦争」とは、ユダヤ人国家のイスラエルと周辺のアラブ諸国との間で1948年の第一次から1973年の第四次まで起きた大規模な戦争のことです。この戦争の歴史について概略を説明します(図表1)。19世紀末より、世界中に離散していたユダヤ人が、各地での迫害などをきっかけに、先祖の住んでいた聖地エルサレムのあるパレスチナに帰還し、そこにユダヤ人国家を建国しようとする運動が盛んになっていきました(シオニズム運動)。第一次世界大戦中の1917年11月、英国政府がシオニズム支持を表明したバルフォア宣言で英国政府はパレスチナにユダヤ人居住地を建設することに賛成しその支援を約束、ヨーロッパから多くのユダヤ人がパレスチナに向かいました。第二次世界大戦後の1947年11月に国連総会はパレスチナを分割してユダヤ人国家とアラブ人国家を置くパレスチナ分割決議を可決しました。ただし実際には決議後すぐに内戦が勃発し分割は実現しませんでした。1948年5月、英国・米国の支援を受けてイスラエルが独立を宣言、現在のイスラエルが建国されました。しかし周辺のアラブ諸国側はその独立を認めず、建国の翌日、イスラエルとアラブ諸国による第一次中東戦争が始まり、1973年までに四度の大規模戦争が発生しました。

1973年の第四次中東戦争の際に、石油輸出国機構(OPEC)加盟産油国のうち、ペルシャ湾岸6ヵ国が米国やオランダ等、イスラエル支援国への原油輸出停止と原油生産量削減、さらに原油公示価格を1バレル3.01米ドルから5.12米ドルへ70%引き上げることを発表しました。さらに1974年1月になってOPEC加盟のペルシャ湾岸産油国は、原油公示価格を5.12米ドルから11.65米ドルに引き上げ、原油公示価格はほぼ4倍近くになり、これにより発生した激しいインフレと世界経済の悪化が第一次オイルショックです(図表2)。当時、日本は高度経済成長期にありましたが、このオイルショックにより完全に終焉し、深刻な景気後退とインフレに直面しました。当時、日本は25%近いインフレ率を記録し、米国でも10%を超えるインフレ率が記録されました(図表3)。        


図表1:第一次オイルショックまでの流れ



図表2:原油価格の推移
(月次、1971年1月~1974年12月)


出所:世界銀行のデータを基にピクテ・ジャパン作成

図表3:日米の物価上昇率推移
(月次、1971年1月~1974年12月、前年同月比)


出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ・ジャパン作成

図表4(ご参考):日米の政策金利推移
(月次、1971年1月~1974年12月)


出所:ブルームバーグ、日本銀行のデータを基にピクテ・ジャパン作成

                                    

 

 



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