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インフレと金融/経済史⑯~脱グローバル化の時代④ 第二次トランプ政権~
2026/03/24

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概要


第二次トランプ政権による貿易関税の強化が与える物価動向への影響は不透明な部分が多く、インフレが粘着性をもって継続する可能性に留意する必要があります。


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■第二次トランプ政権の通商政策

「インフレと金融/経済史」の最終号となる今回は、第二次トランプ政権の通商政策とインフレ率の動向について説明いたします。2024年の大統領選で勝利し、2025年1月に第二次トランプ政権が誕生しました。トランプ大統領は「MAGA(Make America Great Again)、米国を再び偉大に」をスローガンに掲げ、米国ファーストを基本とする保護主義的な政策を全面的に打ち出して返り咲きました。就任から1年が経過し、経済、通商、エネルギー、移民などのさまざまな分野で選挙公約を着実に実現してきたトランプ政権において、世界経済や物価動向に大きな影響を与えている政策が「(貿易)関税」だといえます。第一次政権の際は主なターゲットは中国でしたが、第二次政権では、米国は世界中の国々と不利な条件での貿易を行っていると主張し、すべての国に対して関税を強化する通商政策を実行しました。関税は「輸入品に課される税」として定義されており、その納税義務者は輸入業者となります。よって関税を負担するのは輸出する側ではなく、輸入する側である点に注意が必要です。関税は国の法律で定められた税率(国定税率)と条約(WTO注1、EPA注2)に基づいて定められた税率が存在し、輸入する価格や数量を基準に課されます。関税自体は輸入業者が支払うコストであるため、輸入品が一般市場に流通する際にはそのコストが小売価格に転嫁される可能性が高く、さらに輸入品の値上がりはその競合相手である国内製品の価格引き上げを促すため、結果として高い貿易関税は物価に上昇圧力をかけるといえます。また、2018年に起きた米中貿易戦争のように、一方が高い関税を課せば、もう一方も報復として同じように関税を課すようになります。このような報復合戦が大国同士で起きてしまうと世界のサプライチェーンに与える影響も大きく、世界全体でインフレが高進するリスクも想定されます。                   

注1:世界貿易機関 注2:経済連携協定

米国の実行関税率は第二次トランプ政権誕生後に大きく跳ね上がりました(図表1、2)。CPI(消費者物価指数)やPPI(生産者物価指数)自体は2022年と比較すると緩やかに推移しています(図表1、2)。しかしながら、関税の影響がどの程度顕在化しているか、あるいは将来の物価にどの程度の影響を与え続けるかは不透明な部分が多く、今後も物価動向を注視する必要があるといえます。また、通商政策の強化はやはり保護主義的な側面が強く、これにより発生するリショアリング(国内回帰)やニアショアリング(近隣国移転)、経済のブロック化などの動きはまさに脱グローバル化であるといえ、このような時代にはインフレが粘着性を持って続く可能性に留意し、資産を長期的に保全していく資産運用の在り方を考える必要があるといえます。

※2026年2月20日、米国の連邦最高裁判所はトランプ大統領による国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税措置を違法とする判決を下しました。その後、トランプ大統領は世界一律で15%の関税を設ける方針を示しました(2026年2月24日時点)

図表1:米国CPI(消費者物価指数)と米国実行関税率の推移
(月次、期間:2022年1月末~2026年1月末)


出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ・ジャパン作成

図表2:米国PPI(生産者物価指数)と米国実行関税率の推移
(月次、期間:2022年1月末~2026年1月末)

出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ・ジャパン作成

                                                   

 

 

 



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