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実践的基礎知識 金融/経済史編( 11 )<バブル崩壊から金融再編③>
2020/09/25

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概要

バブル崩壊から金融再編(1991年〜2003年)③
アジア通貨危機・ロシア財政危機・LTCM破綻等があり、米連邦準備制度理事会(FRB)は5.5%から4.75%に利下げを行い、ITバブルが発生。過熱していたITバブルに歯止めをかけるため、FRBは一転4.75%から6.5%に利上げを行いITバブルは崩壊しました。今回はITバブルの発生と崩壊、米国企業不正会計問題、同時期に台頭してきた新興国の状況について見ていきましょう。




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ITバブルの発生と崩壊

1990年代末期から2000年初頭にかけて、インターネット関連企業の株価が本源的な価値からは説明がつかない水準まで暴騰したことをIT(インターネット・テクノロジー)バブルと呼びます。アメリカのインターネット・通信関連銘柄が多いNASDAQ(ナスダック)総合指数は、1996年頃は1,000ポイント台で推移していましたが、2000年3月には5,000ポイント台まで上昇しました。ところが期待感による資金流入で大幅に割高な水準まで買い上げられたインターネット関連企業の株価は反落に転じ、2002年には元の1,000ポイント台に逆戻りしました。

米国企業不正会計問題

2001年12月にはエンロンショックが発生しました。エンロン社は、アメリカのテキサス州に本社を構えて、総合エネルギー事業とITビジネスを手がけていましたが、巨額の不正取引と不正会計による粉飾決算の結果破綻に追い込まれました。エンロンは、数社のエネルギー会社が統合されて1985年に設立され、デリバティブと呼ばれる最先端の取引技法を駆使して成長していきました。ところが電力の販売において同量の売りと買いを計上して売り上げを水脹れさせるといった不正に手を染め、監査法人や顧問法律事務所も結託した結果、簿外債務を含めると負債総額400億米ドルを超える超大型倒産となりました。

また、2002年7月には、大手電気通信事業者であるワールドコムが、エンロンを越える負債総額410億米ドルで倒産しました。同社はM&A(企業の買収・合併)を通じて急成長し、6万人を超える従業員を抱え、世界65カ国で事業を展開しました。この成長を支えたのがITバブルによる株価の上昇でしたが、ITバブルの崩壊による株価の急落でワールドコムの財務状況も急速に悪化しました。

米国企業不正会計問題(つづき)

そのため自社の株価を下支えするため、成長性と収益性を良く見せるための粉飾決算に手を染めました。倒産時には110億米ドルもの資産を過大に計上していることが内部監査で判明し、当時史上最大の倒産と見なされました。

アジア通貨危機・ロシア財政危機・LTCM破綻等があり、米国FRBは5.5%から4.75%に利下げをしていましたが、ITバブルが発生、IT革命により生産性が向上してインフレなき成長が続くという「ニューエコノミー論」が世の中を席巻しました。しかし、インフレ率は上昇し、過熱していたITバブルに歯止めをかけるため、FRBは4.75%から6.5%に利上げを行いました。そしてITバブルは崩壊し、不正会計問題に端を発した会計不信や同時多発テロ、イラク戦争などもあり、2001年~2003年の間にFRBは6.5%から1.0%への大幅な利下げを行いました。

新興国の台頭

アジア通貨危機やロシア財政危機のあと、新興国は再び高度成長路線に戻りました。2003年初めにはBRICs(ブリックス)という言葉が世界中をかけめぐり、これはブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国の英語国名の頭文字を取ったものでした。これらの国は世界全体の人口の40%以上を占める人口大国であることに加えて、資源大国でもあるため今後の世界経済の成長の重要なエンジンになると期待されていました。

新興国台頭の大きなきっかけとなったのが、中国の世界貿易機関(WTO)への加盟です。WTOとは、自由貿易促進を目的として、1995年に設立された国際機関です。自由貿易については、第二次世界大戦後「関税及び貿易に関する一般協定(GATT)」という条約ができましたが、国際機関ではないことと、貿易紛争を処理する規制力が弱かったことからWTOに移行しました。GATT発足時に加盟したのが当時の中華民国(現台湾)であり、中華民国は台湾に移行してからGATTから脱退しました。中国はこの脱退を認めず、中国は発足時より参加していたという地位をGATTに求めましたが、GATTに受け入れられず、中国は長く自由貿易の枠組みの外の地位しか認められていませんでした。WTO発足後、2001年に中国はやっと加盟を認められました。加盟後の中国の輸出入は2ケタの伸びを見せ、世界経済の成長に大きく寄与しています。



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