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当面は懸念材料も多いが、明るい兆しも
2020/07/03

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概要

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けた株安の流れの中で、特に資源国であるブラジルは資源の需 要減少、価格下落ででマイナスの影響を受けると懸念されたことなどから株式および通貨レアルも大きく下落しました。足元では国内の感染拡大や経済情勢に対する懸念はあるものの、中国の生産活動再開などを受けて、外需が回復の兆しをみせていることは、プラス材料と考えられます。



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2020年年初来は下落

2020年年初来のブラジル株式市場は3月後半にかけて、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、世界経済の先行き懸念が高まる中、投資家がリスク回避姿勢を強めたことなどから、世界のその他の株式市場と同様に下落基調となりました。

さらに、ブラジルは原油や鉄鉱石などの資源国でもあります。最初に感染が確認された中国では、感染の中心地である武漢の都市封鎖や旧正月の長期休暇の延長などにより、経済活動が停止しました。中国はブラジルにとって最大の貿易相手国であり、その中国で経済活動が停止したことは大きな痛手となりました。
さらに、欧米に感染が拡大し世界的にも生産活動が停滞・停止したことで、原油をはじめとした資源需要の減少懸念から、資源価格が下落しました。

こうした資源の需要減少や価格下落は、ブラジル経済にとってマイナスになるとの懸念もあり、ブラジル株式・通貨レアルの下落要因の一つとなりました。その後、足元にかけては、株式・通貨ともに底打ち感もみられています。

 

 足元では懸念材料が山積だが・・・

ブラジルは、足元で新型コロナウイルスの感染拡大が続いています。6月後半には1日の新規感染者数が3万~4万人台と加速しており、6月30日時点で累積感染者数は134万人以上、 累積死者数5.8万人と米国に次ぐ世界第2位の感染国となっています。感染拡大が長引いた場合、国内経済にさらなるマイナスの影響が及ぶ可能性が懸念されます。既に、国際通貨基金(IMF)では2020年度のブラジルの経済成長率予想を前年比-9%と大きなマイナス成長を予測しています。

財政悪化も懸念されます。ブラジルでは3月後半に7,500億レアル(名目GDPの約10%に相当する金額、財政支出のいわゆる真水部分は同4.8%に相当)規模の緊急経済対策の実施を発表し、その後4月にはこれを1兆1,168億レアルまで拡充すると発表しています。こうした経済対策により2020年の基礎的財政収支赤字が拡大することが見込まれています。

ブラジルの感染拡大の状況、国内経済の動向や経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)の悪化懸念などは、今後もブラジル株式や通貨レアルの重石となる可能性があるため、注視が必要であると考えます。 


 

・・・ただし、反発の兆しも

当面は、感染拡大の状況や経済情勢などによってブラジル株式や通貨レアルは値動きが大きくなる可能性が残されており、注視が必要な状況は続くとみられますが、足元ではブラジル株式にとって明るい兆しもみえています。

中国をはじめ世界的に経済活動が再開していることなどを背景に、ブラジルの輸出は回復しています。

過去の実績では、中国の建設活動の上昇と商品価格の推移には連動性がみられました。足元でも、中国の経済活動が再開し需要も徐々に回復がみられることなどを受けて、商品価格は反発の兆しをみせています。

出所:ピクテ・アセット・マネジメント


最大の貿易相手国である中国をはじめ世界の経済活動が再開することで、資源需要の回復や商品価格の反発の兆しがみられることは、ブラジル経済にとってプラスの材料となることが期待され、ブラジル株式や通貨レアルの下支えとなる可能性もあるとみられます。



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