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ESGとスモールビジネスの融合を通じてユニークな投資機会を探る
2021/12/13

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概要

アラン・デヴィニュ氏は、2013年、太陽光発電に特化するアマレンコを共同創業者の一人として設立し、最高経営責任者を務めています。同社は現在、世界10ヵ国に145人の従業員を擁しており、投資額は5億ユーロを上回ります。



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太陽エネルギーは最も潤沢なエネルギー資源であり、継続的に地球に降り注ぐ太陽エネルギーは17万3,000テラワットと、世界のエネルギー使用量の1万倍を上回ります。こうした理由から、再生可能エネルギーは2035年までに世界の電力生産の半分以上を占めることが予測され、化石燃料からの移行の過程における主要なエネルギー源となっています。

 

アイルランドに本拠地を置く独立系電力会社アマレンコの共同創業者達が、起業の好機が到来したことを直感したのは2013年のことです。同社は、農家、地域の規制当局、産業界、不動産開発業者等と密接に連携し、太陽光発電に資金を投じ、発電所の建設および操業を開始し、エネルギー源としての太陽光の埋もれた経済的優位性を発掘しました。

 

アマレンコがこれまでに手掛けた太陽光発電プロジェクトは2,000件を超えますが、進行中のプロジェクトはこれを遥かに上回り、アイルランドに建設中の8ヵ所の太陽光発電所 や、スペインでの50メガワットの太陽光発電所の買収案件等が含まれます。

 

CEOを務めるデヴィニュ氏は次のように述べています。「共同創業者である私達4人は、将来、太陽光が主要なエネルギー源になると考えていましたが、2012年当時にはまだ賭けの域を出ず、確証があったわけではありませんでした。しかし、競争力を高めるチャンスがあると考えました。現在では、1キロワット時あたり2セント以下のプロジェクトもあります。英国では電気料金は12〜20ペンスです。つまり、ソーラーインフラで生産される電気料金は際立って安いのです。」

 

また、エネルギー源の中で二酸化炭素排出量が最も少ないのも太陽光です。「気候変動対策の必要性を考えると、エネルギー構成の脱炭素化が必須であることは明らかです。化石燃料は今でもエネルギー源の85%を占めているわけですから、太陽光発電が劇的に増えていくことが私達にはわかっていたのです。」

 

「最後に触れておきたいのは、太陽光がエネルギー源のなかで、唯一、複数の機能を有するということです。風力タービンやガス・タービンの目的は発電を行うことに過ぎませんが、太陽光発電パネルを屋根の上に設置すれば、発電を行うと同時に建物あるいは家畜を守ることが可能です。また、駐車場を太陽光の利用が可能な設計にし、どこでも、何にでも、充電することも可能です。」

 

「こうした特性は、エネルギー源としての太陽光の特異性を際立たせるものであり、私達が起業を判断する際の基準になりました。私達は全員一致で、太陽光発電と太陽光の利用を可能とする建築物に特化した事業を起こすことを決めたのです。」

 

アマレンコに続き、先見性のある企業が、起業の目的を達成しつつ利益を上げるにはどうしたらよいのでしょうか?デヴィニュ氏は、成功の鍵は、適切な株主を持つことにあると述べています。「そうした株主がいなければ、考え方を変えるよう株主を説得するか、あるいは、株主を変えてしまうかです。事業目標が明確に定まったら資金を調達しなければなりませんが、資金の管理担当者が考えを経営者と共有していることも必要です。」

 

「生態系や環境保護に関する考えが異なる等の理由で、20年間の投資リターンが目標の12%に届かず、11.5%に留まることがあり得る、という認識をすべての利害関係者が共有することが必要なのです。投資期間を20年ではなく、30年から50年に延ばしたら、リターンは15%を上回るかもしれません。11.5%は短期のリターンに過ぎず、長期的にはより大きな価値が創出されるということを全員が理解していなければなりません。」

 

もっとも、持続可能性という考え方が元々事業の核心になかったとしたら、企業のリーダーはESGの考えが長期戦略に組み込まれているかどうかをどのように確認したらよいのでしょうか?

 

「どのような企業でも、社会や環境に及ぼす負荷を軽減し良い影響を与えるにはどうしたらよいか、を自問することで認識を変えることが可能です。」とデヴィニュ氏は述べています。

 

「最初のステップでは、それぞれの企業に最も適した要因、現在の成功を基に成功を積み上げていくことを可能にする要因を選ぶことです。例えば、過剰な供給やリサイクルを行わないことで環境を破壊するプラスチックを大量に使用する業界に属する企業が、環境保護に取り組むことを決めたとします。そうした場合は、小さいことから初めて、これまでの行動をどう変えられるかを評価・査定することです。」

 

次のステップでは、企業の行動が社会に及ぼすインパクトを測定し、追跡することです。「弊社では主要業績評価指標(KPI)を使っています。今日使ったプラスチックの10%が廃棄物として処分されたとしたら、これを、9%から8%へと減らしていくにはどうしたらよいか?を考えるということです。これがESGのロードマップの構築方法です。」

 

デヴィニュ氏は、目標が高過ぎる場合について、「最悪の状況は、目標が高過ぎるため、これを達成することが出来ず、全員がやる気を失ってしまうことです」と警告しています。

 

プラスチックで環境を汚染している10大企業の社内関与を調査した財団、Changing Markets Foundationの分析結果も同様の見方を示唆しています。1990年に世界最大級の飲料会社が誓約したのは、2015年までにソフトドリンクのペットボトルの25%をリサイクルボトルに換えるということだったのですが、30年以上経っても、目標からは程遠い状況です。

 

「世界は危機的な状況にありますが、ことを急ぎ過ぎると何をしても失敗に終わるということになりかねません。ですから、「今すべてを変えるつもりだ。」などと言わずに、小さなことから初めて少しずつ進んでいくのがいいのです。」

 

 

 

アラン・デヴィニュ略歴

2000年:フランス国立水・環境工学エンジニアリング大学(ENGEES)卒業

2000年:フランスの電力大手エンジーの投資先企業に入社、技術部門および販売部門担当マネージャー

2003年:同社、取締役事業本部長

2007年:韓国のサムスン入社、会長室勤務

2013年:アマレンコ(アイルランド)創業、共同創業者

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