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グローバル株式市場の振り返り(2023年5月)- ファクターとセクターの観点から
2023/06/08

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概要

5月のグローバル株式市場をファクターとセクターの観点から振り返ります。



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■   ファクター

米国の利上げ局面は終わりに近いと見られながらも利上げの継続が見込まれ、また、米債務上限の引き上げを巡る不透明感もあり、5月は全体として小幅な動きとなりました。こうした中で、財務体質が健全で利益率の高い銘柄からなるクオリティのみが堅調でした。米国など主要国・地域の景気鈍化が懸念される中で、AI(人工知能)の成長性などが注目され上昇した大手テクノロジー銘柄が属していることも背景にあると見ています。一方、これまでパフォーマンスがよかった銘柄(現状ではエネルギーやヘルスケア・セクターの銘柄が多い)からなるモメンタム高配当、小型株の値動きの影響を大きく受ける均等配分が苦戦しました。

過去1年でも同様にクオリティのみが堅調だった一方で、モメンタム、高配当、均等配分が苦戦しました。

また、5月は大型株が小型株に対して優勢でしたが、グロースがバリューに対して優勢となりました。過去1年でも大型、グロースが相対的に優勢でした。

                                                                                                                                                                                                                                                                                       

 

■   セクター

5月は情報技術、コミュニケーション・サービスが堅調で、エネルギー、素材、生活必需品が苦戦しました。

情報技術、コミュニケーション・サービスは、米国など主要国・地域の景気鈍化が懸念される中で、AI(人工知能)の成長性などが注目された米国の大手テクノロジー銘柄を中心に堅調な展開となりました。一方、景気変動の影響を受けやすい素材、エネルギーなどのシクリカル・セクターが軟調でした。中国のゼロ・コロナ政策解除後の回復が予想ほど強くないとの見方や、米国などの利上げや金融不安を背景にした銀行の貸し出し態度の厳格化など、実体経済への影響が懸念されたようです。

過去1年では、情報技術の上昇が大きく、資本財・サービスも堅調でした。一方、金利上昇や金融不安による資金調達、主に商業用不動産の市況への影響等が懸念された不動産が大きく苦戦したほか、素材も苦戦しました。



 

ファクターとは

ファクターとは、株式や債券など資産や個別銘柄のリターンを過去、長期にわたり生み出してきたとされるリターンの源泉です。リターンやリスクの要因を説明する共通の要因(特性)のことです。ここでは、以下の主なファクターを獲得するように作られた各指数を用いて分析しています。

 

均等配分:グローバル株価指数(時価総額基準)の採用銘柄を均等配分で投資した場合の
                 パフォーマンスを示す。小型株の構成比が時価総額基準の指数に比べて高くなる傾向にある。

モメンタム:過去6ヵ月、12ヵ月など過去において、パフォーマンスのよかった銘柄
                (使用している指数では、構成銘柄は通常年2回のペースで見直される)

エンハンスト・バリュー:各セクター、利益、資産、キャッシュフローの観点で株価が割安な銘柄

高配当:相対的に配当利回りの高い銘柄

クオリティ:利益率、財務体質、業績の安定性の点で優れている銘柄

低ボラティリティー:株価のボラティリティー(変動)や下落幅が小さかった銘柄

大型株、小型株:時価総額が相対的に大きい銘柄、小さい銘柄

グロース:業績の成長性の高い銘柄

バリュー:株価の割安な銘柄


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