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グローバル株式市場の振り返り(2023年8月)―ファクターとセクターの観点から
2023/09/06

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概要

8月のグローバル株式市場をファクターとセクターの観点から振り返ります。



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■   ファクター

世界の株式市場は、上旬は、米国国債の格下げや米国経済の底堅さを示す経済指標の発表などを受けて米国金利が上昇したことや、ユーロ圏や中国の景況感悪化などが嫌気され下落しました。中旬にかけても、7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で利上げの継続が示唆されたことに加え、英国の追加利上げ観測、中国経済の先行き懸念などを背景に、株式市場は下落基調となりました。その後は、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の講演で9 月の利上げが見送られるとの観測が強まったことや、主要半導体銘柄の好決算などを背景に株式市場は反発しましたが、月間では下落となりました。こうした中で、財務体質が健全で収益性の高い銘柄からなるクオリティ、これまでパフォーマンスのよかった銘柄からなるモメンタムなどが相対的に下落幅が小さく、小型株の値動きの影響を大きく受ける均等配分、セクター内でバリュエーションの低い銘柄からなるエンハンスト・バリューなどが苦戦しました。

過去1年では、クオリティエンハンスト・バリューが堅調だった一方で、低ボラティリティー均等配分が苦戦しました。

また、8月はいずれも相対的に大型株が小型株より、グロースがバリューより優勢でした。過去1年でも大型、グロースが相対的に優勢でした。

                                                                                                                                                                                                                                                                                       

 

■   セクター

8月も原油価格が上昇となったことなどからエネルギーが堅調だったほか、ヘルスケア情報技術コミュニケーション・サービスなど比較的成長性が高いとみられているセクターが相対的に小幅な下落にとどまる一方で、公益事業素材金融などバリュー(割安な)銘柄の多いセクターが苦戦しました。

過去1年では、情報技術の上昇が大きく、資本財・サービスも堅調でした。一方、金利上昇や金融不安による資金調達や主に商業用不動産の市況への影響が懸念された不動産が大きく苦戦したほか、公益事業も苦戦しました。

 


                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    

ファクターとは

ファクターとは、株式や債券など資産や個別銘柄のリターンを過去、長期にわたり生み出してきたとされるリターンの源泉です。リターンやリスクの要因を説明する共通の要因(特性)のことです。ここでは、以下の主なファクターを獲得するように作られたMSCIの各指数を用いて分析しています。

 

均等配分:グローバル株価指数(時価総額基準)の採用銘柄を均等配分で投資した場合のパフォーマンスを示す。小型株の構成比が時価総額基準の指数に比べて高くなる傾向にある。

モメンタム:過去6ヵ月、12ヵ月など過去において、パフォーマンスのよかった銘柄。(使用している指数では、構成銘柄は通常年2回のペースで見直されます。)

エンハンスト・バリュー:各セクターの中で、利益、資産、キャッシュフローの観点で株価が割安な銘柄

高配当:相対的に配当利回りの高い銘柄

クオリティ:利益率、財務体質、業績の安定性の点で優れている銘柄

低ボラティリティー:ポートフォリオのリスクを最小化することを目的に最適化した銘柄からなるもので、株価のボラティリティー(変動)やベータ等の低い銘柄が多い

大型株、小型株:時価総額が相対的に大きい銘柄、小さい銘柄

グロース:業績の成長性の高い銘柄

バリュー:株価の割安な銘柄


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