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グローバル株式市場の振り返り(2023年3月)― ファクターとセクターの観点から
2023/04/04

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概要

3月のグローバル株式市場をファクターとセクターの観点から振り返ります。



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■   ファクター

3月は米国のシリコンバレー銀行(SVB)の破綻などで金融不安が高まったことから、収益性が高く財務体質が良好なクオリティや値動きの振れの小さい低ボラティリティーなどが相対的に堅調でした。一方、小型株の値動きの影響を大きく受ける均等配分や、モメンタム、エンハンスト・バリューが苦戦しました。

過去1年では高配当、エンハンスト・バリュー、低ボラティリティーなど下値耐性が比較的強いと言われているファクターの下落が小さく、モメンタム、クオリティ、均等配分が苦戦しました。大手のテック銘柄の苦戦がクオリティの重荷となりました。

3月は大型株が小型株に対して優勢で、グロースがバリューに対して優勢でした。SVBの破綻で比較的時価総額が小さく、バリュー銘柄の多い米国の中小銀行の株価が下落したことで小型バリューが大きく苦戦しました。過去1年では大型、バリューが相対的に優勢でした。

                                                                                                                                                                                                                                                                                       

■   セクター

3月は情報技術、コミュニケーション・サービス、公益事業が堅調で、金融、不動産、エネルギーなどが苦戦しました。

SVBの破綻により金融不安が高まり、銀行株を中心に金融の下落が目立ちました。米国の金融政策について、ここからの大幅な利上げ観測はなくなり、今年末にむけては、利下げ予想も高まりました。こうした中で、米長期金利の低下で米国の大手テック銘柄が見直されたことが情報技術コミュニケーション・サービスの堅調さの背景だとみています。また、業績の安定した公益事業も堅調となりました。これからは銀行の貸し出し態度の厳格化など金融不安の実体経済への影響が気になるところです。引き続き業績悪化リスクには注意が必要です。

過去1年では、依然としてエネルギーの上昇が大きく、不動産、コミュニケーション・サービス、一般消費財・サービスなどが苦戦しました。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                      

                                    

ファクターとは

ファクターとは、株式や債券など資産や個別銘柄のリターンを過去、長期にわたり生み出してきたとされるリターンの源泉です。リターンやリスクの要因を説明する共通の要因(特性)のことです。ここでは、以下の主なファクターを獲得するように作られた各指数を用いて分析しています。

均等配分:グローバル株価指数(時価総額基準)の採用銘柄を均等配分で投資した場合のパフォーマンスを示す。小型株の構成比が時価総額基準の指数に比べて高くなる傾向にある。

 

モメンタム:過去6ヵ月、12ヵ月など過去において、パフォーマンスのよかった銘柄

エンハンスト・バリュー:各セクターの中で、利益、資産、キャッシュフローの観点で株価が割安な銘柄

高配当:相対的に配当利回りの高い銘柄

クオリティ:利益率、財務体質、業績の安定性の点で優れている銘柄

低ボラティリティー:株価のボラティリティー(変動)や下落幅が小さかった銘柄

大型株、小型株:時価総額が相対的に大きい銘柄、小さい銘柄

グロース:業績の成長性の高い銘柄

バリュー:株価の割安な銘柄


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